世界の深淵を0歳までの退化デバフをかけられた俺が覗くとき

卵くん

文字の大きさ
54 / 70
アルゴーの集落編 〜クーリエ 30歳?〜

X-54話 真実の壁

しおりを挟む
 俺は少し歩いた先にあった、それの目の前に今立っている。日常に溶け込んでいながら、誰もその深部を見ようとしない施設。この医療場に置いて、唯一生活臭を全開に醸し出しているそれは、この場に初めて来た時から何故か目についた井戸。

よく観察してみると、外面は延焼の影をおとしており、すすが石造の隙間にめり込んで、黒色のような灰色のような色彩を放っている。だが、一方でその内部は綺麗なもので、特別今回の火災の影響を受けている様子は、見られなかった。

「この井戸。この場所に来た時からなんか違和感を覚えたんだよな~」

 中の壁を見てみると何者かが上り下りをした跡だろうか。靴の形をしたまま壁にへばりついた土が乾燥して、等間隔に点々と下まで続いている。一見するとそれは乱雑についているように見えるが、じっくりと目を凝らしてみるとそれはある規則性を持っていることが判明した。

この井戸の内部の壁は円形状に蔓延らせており、赤い土壁でただ覆っているだけの簡素な作り。それゆえに足の置き場もなく、下まで降りるのは何も手助けがなければ困難を極める。だが、土壁に所々謎の亀裂が走っていることを俺は見逃さなかった。それは、極めて見つけにくくなっているが、よくみると階段状にジグザグした亀裂が下まで続いていた。

「何かをすれば、この亀裂が作動して階段が出てくるって寸法だな。でも、この井戸の入り口では身体を通すのは難しいだろうに」

 そう言いながら、俺は井戸の形を覆っている外面上の壁をこちら側に勢いよく引っ張る。それは、別に井戸を壊してやろうといった考えは一切なく、ただよりもっと中を見たくて力を入れただけだ。断じて、俺に破壊衝動はなかった。

だが、そのあとすぐ、俺の身体はおかしな行動を見せた。強固な壁につく手に力を入れたはずが、気がつけば尻から地面にぶつかってしまっていたのだ。それも、中々の勢いで倒れてしまったためか、痛みも相当のもの。さらに、偶然倒れこんだ先に大きめな石が地面から顔を出してしまっていたため、余計に痛みも増してしまう。

「いったぁぁ!!! 何で、こんな目にあうんだよ・・・!? 俺はただ中を見ようとしただけで——な。ってあれ? 俺は何で尻餅をつく羽目になっているんだ?」

 よくみると、俺の右の手のひらの中には、先ほどまで壁だと思い込んでいた物質が、ねっとりと粘着するようにして手のひらを覆っていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

一国一城の主を目指す!〜渇望の日々を超えて。

リョウ
ファンタジー
 何者かになりたかった。  だが現世でその願いは叶わず、男は敗北感と悲嘆を胸に沈んでいた。  そんな彼の前に現れたのは、一柱の女神。  導かれるまま異世界へ転移した男は、新たにレイと名乗り、剣も魔法も身分もない底辺から成り上がることを決意する。  冒険者として生きる術を学び、魔法を覚え、剣を磨き、人と裏社会を見極めながら、レイは少しずつ力を蓄えていく。  目指すのは、ただ生き延びることではない。  一国一城の主となり、この世界で“何者か”になること。  渇望を燃料に、知恵と執念で上へ上へと這い上がる、ファンタジー成り上がり譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...