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24日目 男子高校生が住む部屋ってどんなんだっけ?
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扉の先に進むと、その先には変わらずフローリングの廊下が奥まで伸びていた。とは言っても、そこまで長い廊下ではなく、向かい合うようにして設置された扉が人組み合って、突き当たりにもう一つ扉があり、合わせて、三つの扉がこの廊下から繋がっていた。大股で十数歩で歩けば、奥まで辿り着くほどの長さかな、と視認で認識する。前に立つ彼女は腰に手を当てて、どこから説明しようか順序を考えているようだった。
「えぇと、まずどこから説明しておこうかしら。そうね。一つひとつ説明していくとしましょうか」
そう彼女はいうと、まずは左手に設けられた扉を開く。開かれていく隙間から部屋の中が窺えるが、そこには特に何も家具が置かれている様子はない。ただの一室がそこには広がっていた。
「向かい合うようにしてあるこの扉の先はそれぞれの自室になるわ。君が左手の部屋で、右手の部屋が私の部屋。大きさはもしかしたら少し狭いかもしれないけど、不自由ってほどでもないと思うわ。備え付けの家具は、勉強用の机と、ベッド、そして壁にめり込むようにして備え付けられているクローゼットの三点。特に必要なものがあれば、各自買って部屋に設置するって感じ。まぁ、来たばっかで何が不自由なのか、不便なのかわからないと思うけど、いずれそこら辺の家具を集めてもらったらいいわ」
「なるほど・・・。ここが、今から過ごす部屋になるんですね・・・!」
彼女の隣を通り過ぎ、全身を部屋の中にへと入らせる。確かに、彼女の説明の通り、部屋には特にこれと言って特別なものは置かれていなかった。備え付けられた家具も、別にいやに高級品ではなくどこにでもあるような流通しているそれで、ほっと胸を撫で下ろす。僕は、好奇心に当てられて、あたりをぐるりと見渡す。壁紙は共同スペースと同様のもので、真っ白を基調としたものが一面に貼り付けられていた。すると、壁にあるものがかけられているのを発見した。それは、先程の彼女からの説明にはなかったものだ。
「あ、あの、あれは一体なんでしょうか?」
恐る恐るそれに向けて指で示しながら、後ろに立つ彼女の方を向いて問いかける。すると、ふっ、と笑みを見せながら得意げに彼女は答えてみせた。
「よく気づいてくれたわね。あれは、私からの些細な新入生に対しての贈り物よ。私ってあんまりこういったプレゼントとか今までしたことなかったの。でも、これを店で見た時ビビってきたわ。我ながら自分のセンスに驚いちゃった。気に入ってもらえたかしら?」
「は、はい。もちろん・・・」
そんな笑顔を見せられたらそう答えるしかない。
「はぁ——」
僕は誰にも気付かれないように一つため息をこぼして、部屋にかけられたそれを再び見つめる。自分のセンスの高さに驚いたのか。しかし、あれはどう見たって逆の意味としか捉えられない。白を基調とした壁紙にこれから一男子高校生が住む部屋にそぐわない、ピカソが描いた『ゲルニカ』の縮小版が、煌びやかな額縁に囲われて、そこにかけられていた。
「えぇと、まずどこから説明しておこうかしら。そうね。一つひとつ説明していくとしましょうか」
そう彼女はいうと、まずは左手に設けられた扉を開く。開かれていく隙間から部屋の中が窺えるが、そこには特に何も家具が置かれている様子はない。ただの一室がそこには広がっていた。
「向かい合うようにしてあるこの扉の先はそれぞれの自室になるわ。君が左手の部屋で、右手の部屋が私の部屋。大きさはもしかしたら少し狭いかもしれないけど、不自由ってほどでもないと思うわ。備え付けの家具は、勉強用の机と、ベッド、そして壁にめり込むようにして備え付けられているクローゼットの三点。特に必要なものがあれば、各自買って部屋に設置するって感じ。まぁ、来たばっかで何が不自由なのか、不便なのかわからないと思うけど、いずれそこら辺の家具を集めてもらったらいいわ」
「なるほど・・・。ここが、今から過ごす部屋になるんですね・・・!」
彼女の隣を通り過ぎ、全身を部屋の中にへと入らせる。確かに、彼女の説明の通り、部屋には特にこれと言って特別なものは置かれていなかった。備え付けられた家具も、別にいやに高級品ではなくどこにでもあるような流通しているそれで、ほっと胸を撫で下ろす。僕は、好奇心に当てられて、あたりをぐるりと見渡す。壁紙は共同スペースと同様のもので、真っ白を基調としたものが一面に貼り付けられていた。すると、壁にあるものがかけられているのを発見した。それは、先程の彼女からの説明にはなかったものだ。
「あ、あの、あれは一体なんでしょうか?」
恐る恐るそれに向けて指で示しながら、後ろに立つ彼女の方を向いて問いかける。すると、ふっ、と笑みを見せながら得意げに彼女は答えてみせた。
「よく気づいてくれたわね。あれは、私からの些細な新入生に対しての贈り物よ。私ってあんまりこういったプレゼントとか今までしたことなかったの。でも、これを店で見た時ビビってきたわ。我ながら自分のセンスに驚いちゃった。気に入ってもらえたかしら?」
「は、はい。もちろん・・・」
そんな笑顔を見せられたらそう答えるしかない。
「はぁ——」
僕は誰にも気付かれないように一つため息をこぼして、部屋にかけられたそれを再び見つめる。自分のセンスの高さに驚いたのか。しかし、あれはどう見たって逆の意味としか捉えられない。白を基調とした壁紙にこれから一男子高校生が住む部屋にそぐわない、ピカソが描いた『ゲルニカ』の縮小版が、煌びやかな額縁に囲われて、そこにかけられていた。
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