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25日目 小さすぎる声〜照れを添えて〜

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「それで、その向かいが私の部屋。出来る限り、入ってこないようにお願いしたいわね。一応、私の私物なり、着替えとかも置いてて見られて気持ちのいいものじゃないの。これは別にあなただからと言うわけではないわ。常識的に考えての話ね」

 一通り自分の部屋で満喫して、廊下に出た時に生徒会長からそう声をかけられる。その顔は至って真剣だ。いや、それこそ当たり前の話なんだが。

「わ、分かってますよ。逆に、先輩には僕が人の部屋に勝手に入っていくような人に見えますか?」

「——それは分からないわね。人の心って中々読めないモンだから・・・」

 少し間があった気がしたぞ、今。え、僕ってそんな変態に見えるもんなのだろうか。決してそうじゃないと、ここで断言しておきたい気分だ。でも、彼女はそんなことを一切気にする様子はない。スタスタと歩き、突き当たりにある扉に近づく。そして、右手でドアノブを僅かに開け、扉の先を少し垣間見させる。

「見てわかる通り、ここから先は洗面所になるわ。まず、洗濯機やら洗面台があるこの場所。洗濯機は二台あるから取り合うことはないと思う。だけど、洗面台は一つしかないから、時間が重なると結構めんどくさいことになりそうね。早起きを共に心がけましょう。そしてなんだけど、この場所を起点として二つ扉があると思うんだけど、左手にある両開きの扉がお風呂につながっていて、奥にある小さな扉がお手洗いにつながっているわ。脱衣所は特に用意されてないから、この後にでも時間割をしておきましょうか」

「なるほど。分かりやすい説明ありがとうございます。玄関から続く廊下を見ると、この部屋って狭いのかな。って不安に思っていたんですが、そんなことはなさそうで安心しました。これは、快適に暮らせそうですね」

 笑みを浮かべて、僕は彼女にそう話しかける。しかし、返ってきたのは冷静な真顔から発さられる小さな声だった。それは、もはや呟きと同類。周りに騒音を上げるものもなく、限りなく静寂であったにもかかわらず、僕は彼女の言葉を聞き取ることができなかった。だが、彼女の頬が少し赤くなったことには流石に気づいたが。

「だって、この部屋、生徒会長仕様になっているから」

 彼女は、僕のことを右手で少し奥に押すと、そのまま何も言わずに共有スペースに戻っていった。
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