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40日目 約束の対価が重すぎるよ!!
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「約束ってあれ? あの、登校中に話してた・・・」
「そう! それに決まってるじゃん!」
確かに、僕と一美はある約束をした。それは・・・僕の話し方を見れば分かるかもしれないが、大きく分けて二つのことを約束したんだ。一つ目は、呼び方。僕は、彼女のことを一美と呼び、彼女は僕のことを龍馬君と呼ぶことを認めること。
なんでこんなお願いをしたのかは、僕にも分からない。同じ部屋の八重樫さんに対して、何かしらの対抗心を燃やしているのは、流石の僕でも分かったが。それでも、次の要求が理解することができなかった。
「私と、君との間に隠し事はなし!もし、それを破ったら龍馬君が保健室で話してた寝言の話を、クラスを越えて全学年に向けて暴露する。もう忘れたの?」
「それさ、朝も話したと思うんだけど、僕だけがダメージ大きくない? 一美ノーダメージじゃん。仮に、僕に対して嘘をついてたとしても」
そう返すと、彼女は無邪気な笑みを浮かべてみせた。
コンコン・・・
つま先を地面にぶつけ、少しズレていた靴の位置を正す。話の方向性をリセットするように、高らかになった音は瞬く間の間に冷たい地面に吸収されていく。
「う~ん。その件なんだけど、私昼休みの間考えてたの! どうしたら、私と龍馬君の間に対等な約束事を結べるかなって!」
「昼休みに考えてくれてたの? あっ! もしかして、そのことに集中して、僕が厄介ごとに巻き込まれている時、見て見ぬふりをしてたんじゃないの!? 助け舟を求めるように、一美の方に視線を送ったのに!!」
「え? 私と昼休み目線合ってたっけ?」
「合ったよ!! そしたら、自分で何とかしなさい!、みたいな勢いで首を横に振られたよ? 証拠はないけど!」
「あ~、きっとあれね。色々考え事をしてて、これじゃないわね、って意味で首を横に振ったんだと思うわ。だって、龍馬君と目線が合ったの記憶にないもの。いい考えを思いついて、伝えようと思ったら龍馬君教室から姿消してたし!」
なるほど。どうやら、僕が彼女に見捨てられていたと言うことはなさそうだ。だけど、周りが見えなくなるまで必死に考え事ってするのか? そんなに考え抜かれて出された意見って、ちょっと怖いんだけど・・・。
「・・・それで、何か妙案でも浮かんだの?」
「浮かんだわ!!」
下駄箱に響き渡る大声。これは、簡単には発散していきそうになかった。この場所で残響がいくつも残り、遅れて鼓膜を何度も震わせる。
「もし、私が嘘を吐くことがあれば・・・龍馬君と付き合ってあげる! それなら、多分だけど釣り合うんじゃないかな?」
「対等通り越して、圧倒的に天秤が一美の方に振り切ったよ!!!」
今度は僕が大声を上げてしまった。久々の大声で、喉の奥が言い終わった後の今でも、少し痛い。でも、叫ばずにはいられなかった。だって、彼女の家は僕とは釣り合わないほど大金持ち。それは、身分の高い人で、イケメンな人からの求婚も引くて数多だろう。そんな彼女と付き合うなんて、約束の対等としても重すぎる!
「え? 私と付き合いたくないの?」
「そう言うことじゃないんだけど・・・。とにかく、もう一回ちゃんと考えてください。そして、もう一度話し合いましょう!」
「え~。結構真剣に考えたんだけどな~。誕生日プレゼントを選ぶときくらい!」
「その時の真剣さが、僕には分かりません・・・」
さて、こんな話をしながら、今日は帰路に着こうかと身体を出口に向けた瞬間。
「あ! こちらにいらっしゃいましたか・・。探しましたよ・・北村君」
「高野さん? 私たちに何か御用でしょうか? もう帰ろうかと話をしてたところなんですが・・?」
僕が返事を返す前に、一美が先に返事を返したようだ。二人の間になぜか火花散るほどの、視線の交錯が見られる。え、この二人って仲悪いのかな? なんて邪推をしてしまうほどの、睨み合いで合った。
「あなたには用はありません。私が、いつあなたに話しかけましたか?」
「一緒に帰ろうとしている友達に話をかければ、それは私にも声をかけたのと同義では?」
「埒が明きませんね。北村君! 先生が学級代表の件で招集をかけているんです。一緒に着いてきてもらえないでしょうか?」
「先生が——? それは、サボるのは無理そうだね」
「ちょっ、ちょっと! 先にしてた私との約束よりも、そこの女を取るわけ!?」
「そんな言い方しないでよ・・、一美。僕だって早く帰りたいけど、先生からの呼び出しを無視するのは良くないことじゃん」
「なら! 私ここで待っとこうか? すぐ終わるだろうし、なんなら付いていってもいいわよ!」
「部外者は早く帰ってください。それに、下校時間はとうの昔に過ぎています。学級代表として、強く!! 即刻帰宅することを言い渡します」
「あんたに聞いてないじゃない! 私は、男子学級代表の龍馬君に聞いているのよ!!」
この状況。僕に収拾をつけることはできるのだろうか。二人の罵倒は、まだまだ止みそうになかった。
「そう! それに決まってるじゃん!」
確かに、僕と一美はある約束をした。それは・・・僕の話し方を見れば分かるかもしれないが、大きく分けて二つのことを約束したんだ。一つ目は、呼び方。僕は、彼女のことを一美と呼び、彼女は僕のことを龍馬君と呼ぶことを認めること。
なんでこんなお願いをしたのかは、僕にも分からない。同じ部屋の八重樫さんに対して、何かしらの対抗心を燃やしているのは、流石の僕でも分かったが。それでも、次の要求が理解することができなかった。
「私と、君との間に隠し事はなし!もし、それを破ったら龍馬君が保健室で話してた寝言の話を、クラスを越えて全学年に向けて暴露する。もう忘れたの?」
「それさ、朝も話したと思うんだけど、僕だけがダメージ大きくない? 一美ノーダメージじゃん。仮に、僕に対して嘘をついてたとしても」
そう返すと、彼女は無邪気な笑みを浮かべてみせた。
コンコン・・・
つま先を地面にぶつけ、少しズレていた靴の位置を正す。話の方向性をリセットするように、高らかになった音は瞬く間の間に冷たい地面に吸収されていく。
「う~ん。その件なんだけど、私昼休みの間考えてたの! どうしたら、私と龍馬君の間に対等な約束事を結べるかなって!」
「昼休みに考えてくれてたの? あっ! もしかして、そのことに集中して、僕が厄介ごとに巻き込まれている時、見て見ぬふりをしてたんじゃないの!? 助け舟を求めるように、一美の方に視線を送ったのに!!」
「え? 私と昼休み目線合ってたっけ?」
「合ったよ!! そしたら、自分で何とかしなさい!、みたいな勢いで首を横に振られたよ? 証拠はないけど!」
「あ~、きっとあれね。色々考え事をしてて、これじゃないわね、って意味で首を横に振ったんだと思うわ。だって、龍馬君と目線が合ったの記憶にないもの。いい考えを思いついて、伝えようと思ったら龍馬君教室から姿消してたし!」
なるほど。どうやら、僕が彼女に見捨てられていたと言うことはなさそうだ。だけど、周りが見えなくなるまで必死に考え事ってするのか? そんなに考え抜かれて出された意見って、ちょっと怖いんだけど・・・。
「・・・それで、何か妙案でも浮かんだの?」
「浮かんだわ!!」
下駄箱に響き渡る大声。これは、簡単には発散していきそうになかった。この場所で残響がいくつも残り、遅れて鼓膜を何度も震わせる。
「もし、私が嘘を吐くことがあれば・・・龍馬君と付き合ってあげる! それなら、多分だけど釣り合うんじゃないかな?」
「対等通り越して、圧倒的に天秤が一美の方に振り切ったよ!!!」
今度は僕が大声を上げてしまった。久々の大声で、喉の奥が言い終わった後の今でも、少し痛い。でも、叫ばずにはいられなかった。だって、彼女の家は僕とは釣り合わないほど大金持ち。それは、身分の高い人で、イケメンな人からの求婚も引くて数多だろう。そんな彼女と付き合うなんて、約束の対等としても重すぎる!
「え? 私と付き合いたくないの?」
「そう言うことじゃないんだけど・・・。とにかく、もう一回ちゃんと考えてください。そして、もう一度話し合いましょう!」
「え~。結構真剣に考えたんだけどな~。誕生日プレゼントを選ぶときくらい!」
「その時の真剣さが、僕には分かりません・・・」
さて、こんな話をしながら、今日は帰路に着こうかと身体を出口に向けた瞬間。
「あ! こちらにいらっしゃいましたか・・。探しましたよ・・北村君」
「高野さん? 私たちに何か御用でしょうか? もう帰ろうかと話をしてたところなんですが・・?」
僕が返事を返す前に、一美が先に返事を返したようだ。二人の間になぜか火花散るほどの、視線の交錯が見られる。え、この二人って仲悪いのかな? なんて邪推をしてしまうほどの、睨み合いで合った。
「あなたには用はありません。私が、いつあなたに話しかけましたか?」
「一緒に帰ろうとしている友達に話をかければ、それは私にも声をかけたのと同義では?」
「埒が明きませんね。北村君! 先生が学級代表の件で招集をかけているんです。一緒に着いてきてもらえないでしょうか?」
「先生が——? それは、サボるのは無理そうだね」
「ちょっ、ちょっと! 先にしてた私との約束よりも、そこの女を取るわけ!?」
「そんな言い方しないでよ・・、一美。僕だって早く帰りたいけど、先生からの呼び出しを無視するのは良くないことじゃん」
「なら! 私ここで待っとこうか? すぐ終わるだろうし、なんなら付いていってもいいわよ!」
「部外者は早く帰ってください。それに、下校時間はとうの昔に過ぎています。学級代表として、強く!! 即刻帰宅することを言い渡します」
「あんたに聞いてないじゃない! 私は、男子学級代表の龍馬君に聞いているのよ!!」
この状況。僕に収拾をつけることはできるのだろうか。二人の罵倒は、まだまだ止みそうになかった。
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