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第3話 姫は滞在をご所望のようす
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「シェダル王国の錚錚たる戦士の皆様、この度はわたくしを助けてくださり、どうもありがとうございました。この感謝の気持ち、どのようにお伝えしたらよいか分かりません」
翌日、討伐隊として己を救ってくれた方々にお礼を申し上げたいと言ったライラのため、朝議の時間の一部を割いて、彼女を招き入れることとなった。
末席に膝をつき、両手を開いて頭を下げる風習は、メンカリナンの高貴な者の作法である。もっとも、服はシェダルの正装を着ているけれど。
壇上中央に座すイスカンダルが応える。
「よい。気にするな。そなたはドラゴンの腹に一週間も入っていながら生還した、奇跡の娘だ。魔石の助けがあったとはいえ、もしかしたら今後何かしら心身に支障をきたすことがあるかもしれない。しばらくは王宮内に滞在し、体調に留意されたい」
「イスカンダル国王陛下の寛大なるご配慮、大変ありがたく存じます」
かくして、ライラはしばらく、王宮内にいることを許されたのである。
「おい。……おい、ルゥルゥ」
ルゥルゥが一人立ち上がり、ライラの正面に立った。
影が差して何事かと見上げた彼女と目が合うと、絨毯の上に膝をついてますます近くでライラを見つめた。
どうしたのかと周囲も異変を察知する。
「ルゥルゥ、離れろ。ライラが怖がってる」
イスカンダルの言葉にはこれといった反応を示さず、そのまましばらく見つめた後、ルゥルゥは不思議そうに首を傾げた。
「数日間、魔石とくっついていたからかしら?」
「どうしたっていうんだ」
ライラの頰を触り、首を触り、腕を伝って両手を触り。
「なんだかこの子、魔力のバランスがとても変わってるの。こんな人間見たことない」
全身くまなく、それこそ値踏みするようにジロジロ視線を向けるルゥルゥ。見兼ねたアキルが彼女を諌める。
「ルゥルゥ、そういうのはイジメって言うんですよ」
「失礼ね、そんな趣味私にないわよ」
口を挟んだことで、ライラとアキルの目があった。
「申し遅れました。私は王弟のアキルと申します。この兄上陛下が筋肉馬鹿で魔獣退治に出てばかりなので、代わりに政の大半を私が請け負っています」
アキルが営業スマイル――と言ってもあまり売上は欲しくなさそうな――を浮かべながら、ライラに自己紹介をした。そこでようやくルゥルゥも、まだ挨拶もなにもしていなかったことに気が付いた。
「そうね、しばらく王宮に滞在するなら、あなたも私たちの名くらいは知っておかなくちゃね。私はルゥルゥ。筋肉馬鹿のイスカンダルと一緒に魔獣退治をしているの」
「ウェズンと申します。ルゥルゥと同じく陛下直属の魔獣討伐隊の一員です」
ルゥルゥに続いて挨拶をしたウェズンに、あら、とルゥルゥが口を挟む。
「ウェズン、そこは『陛下』じゃなく『筋肉馬鹿』って言うところよ」
「おいおいお前たち、国王に向かって筋肉馬鹿とは失礼だぞ。事実であってもそういうのは本人のいない場で言うものだ、事実であってもな!」
イスカンダルはそう言って笑った。アキルも呆れつつ、ため息混じりに笑っている。
そして、笑い合う彼らを見て、ライラひどく驚いた。
「み……皆様は主従関係なのですよね? イスカンダルさまを頂点に据え、そのほかの方々は彼の手足となる存在で――」
「そうだが」
一番近い席に座っていたウェズンが、あっさり答えるとさらにライラは驚いた。
「まあ……なんと仲のよろしいこと……私の国では、身分の違う者が笑い合うなど……」
ライラはこれまでメンカリナンの王宮で暮らしてきたが、笑い声など一度も聞いたことがなかった。たとえそれが下女同士であっても、「笑い声は耳障りだ」という彼女の父により、ひとたび笑い声が誰かの耳にでも入ろうものなら、翌日にはむち打ちか、よくて解雇という悲惨な状況が待っていた。
また、使用人同士の密告制度があるために、国王や重臣以外の者の耳に入ってもいけない。お互いがお互いを監視しているような、冷たく殺伐とした空気がメンカリナンには漂っていた。
戸惑うライラに、ルゥルゥが補足説明を加える。
「シェダルの国王は代々変わっているのよ。だって、いくら魔石が豊富で腕に自信もあるといっても、魔獣討伐なんてどうしたって命の危険が伴うもの。それなのに、この国の国王ときたら、前の国王さまもイスカンダルも、自ら先陣切って突っ込んで行く命知らずなんだもの」
「イスカンダルさま……が? 討伐の話はかねてより伺っておりましたが、てっきり陛下は後方で指示を出すお役かと」
兵士は駒であったとしても、国王は駒ではない。死んだら代わりなどいないのだ。
メンカリナンであってもその他の、たとえばアルニラム王国であっても、国王は後方に構えているのが戦術としては主流のはずだ。
「俺に後方は似合わん」
イスカンダルが、苦々しく吐き捨てた。
「体が疼くのよね」
「当然だろう! それに俺を見ろ、この、自信に満ち溢れた容姿! 俺が出ずして誰が出る? 俺が出て魔獣を倒していった方が、一番見栄えがするだろう!」
「……ライラさま、こういうところが我が国王が脳筋と呼ばれる所以です」
生き生きと話す国王とルゥルゥを尻目に、アキルが言った。
ライラだけに聞こえるように小声で呟いたはずが、思いがけず地獄耳なのか彼の耳に入ってしまったらしい。「アキル」と咎める声が響く。
「脳筋、だと? 脳みそが筋肉で何が悪い? 筋肉は自然の鎧だぞ。脳みそまで筋肉で出来ていたら、どこからどう見ても無敵だろう! だから俺は国王だし、だから俺は強いんだ」
頭脳派の弟に理論で打ち勝ったぞ! とでも誇りたいのか、イスカンダルは声を上げて楽しそうに笑い声を響かせた。
実際には、討伐隊の隊員であり彼の補佐官をしているウェズンの方が筋骨隆々でガタイがいい。しかし彼は言葉少なに控えているので、一般男性より多少マッチョ程度のイスカンダルの方が、ずいぶんと暑苦しく見える。シェダルの民はみな、イスカンダル国王のその熱さに魅せられているのだけれど。
反論するのもバカらしいと思ったのだろう、アキルは肘掛に体重を預け、はああと長いため息を吐いた。
「お? アキル、体調が悪いのか?」
「ええ、まあ。兄上の度を越した前向きさに少し目眩を覚えたのです」
「体調不良でも朝議に穴をあけようとしないその姿勢、素晴らしいな! だが、無理はするなよ? お前という人材の損失は我が国にとって危機となる」
「はあ」
ますますアキルは頭を抱えてしまったが、悠長に茶番に付き合っていられない事態が出来た。騒々しい足音と共に、兵士が一人やってきたのだ。
「伝令! アテナイ東上空に目測中型の天獣の影四体を捕捉、目標は魔石集積場だと推測!」
魔獣。伝令役は「天獣」と言ったが、それは魔獣を大別した呼び方である。
そもそも、「魔獣」とは、動物とは違い魔石を食べ魔法を駆使する獣の総称だ。空を飛ぶ能力のあるもの――ドラゴンなどが該当する――を「天獣」、水の中に棲息するものを「海獣」、そして、大地を走るものを「地獣」と分けて呼んでいる。これら全てをひっくるめて「魔獣」と呼ぶことが最も手っ取り早く、もっとも普及しているけれど。
会議室の空気が変わった。一瞬にして張り詰める。
そんな中でも笑みを絶やさない男、それがイスカンダルである。
「早速また来たか」
「近場です、出ますか?」
「もちろん」
ウェズンの問いに、イスカンダルは素早く頷いた。
「伝令役、天獣の種類はなんだと聞いた?」
「フラムドラゴン一頭、ヴァンドラゴン一頭、ガーゴイル二頭ではないかとの知らせです」
「そうか。……よし、本日の朝議はこれにて! ルゥルゥ、ウェズン、スレイマン、出陣の用意だ!」
イスカンダルは脇に置いた長剣を持ち、勢いよく立ち上がった。
名を呼ばれた討伐隊の者も、逆らうことなく後に続く。
「あ、あのっ!」
その流れを止めたのは、ライラ。ここで声をかけなければ、ここで彼の足を止めなければ、次に会えるのは今夜か、明日か、はたまた数日後か……つまり、わからないのだ。
遊びでないことは、ライラだって知っている。だが、それでも。
「イスカンダルさま、わたくしも連れていってくださいまし!」
「ライラはここに残れ」
ピシャリと断られてしまった。でも、と取り付ける場所を必死で探していると、イスカンダルがニヤリと笑った。
「それとも何か? 俺と離れるのが寂しいか?」
「はい!」
威勢の良い返事に、彼は固まった。「そんなことはない」と否定される前提で口に出した冗談なのに、まさかあっさり肯定されて、面食らった様子である。
「……あー……その、アキルじゃないが体調も本調子じゃないだろうし、今後のことはまたゆっくり考えよう。話ならまた聞いてやるから、とりあえず今日は体を休めておくんだ」
「…………」
ライラは両手を胸の前で合わせ、必死にイスカンダルを見つめた。琥珀色の大きな瞳には、うるうると涙をいっぱい溜めて。
部屋の出口はすぐ眼前。しかしイスカンダルは向きを変え、再び部屋の中央へ向かった。
ライラの近くへ片膝をつき、華奢な肩に手をかける。そして、穏やかな声で囁く。
「……帰ってくるから。必ず」
「本当でございますか……?」
「当然だ。今までも、これからも」
***
「私は侍女のベネトナシュと申します。ライラさまの身辺のお世話を仰せつかりましてございます。ライラさまにあたりましては、突然他国に連れてこられてご心配のことも多々おありかと思いますが、気兼ねなくなんでも聞いてくださいまし」
ベネトナシュは王宮に十年以上仕える侍女だ。王宮の侍女は「花嫁修行」の名目で王宮にやってきた貴族の娘もたくさんいるが、そういう者はたいてい数年、早い者では数ヶ月でやめていく。彼女はあまり裕福ではない平民の出であり、今でもずっと田舎の実家に仕送りをしているという。
すぐに辞める予定もなく、十年ものキャリアもある。更に言えば、要領よくなんでもこなすよく出来た侍女であるために、ライラ――「町娘」と自称しているものの、その身分は他国の王女――の世話も安心して任せるに至ったのだ。
姉御気質なのも手伝ってか、ライラも警戒はしなかった。
「では、」と言って、一つ彼女に尋ねることには。
「イスカンダルさまは、どうしてあんなに素敵なのですか?」
もちろん、ベネトナシュの先の言葉に偽りはなかった。
なんでも聞いて欲しい。そう思ってのことだった。
しかしそれはシェダルのことやこれからの生活についての質問を想定していたのだ。
「ええ?」
「さらさらの黒髪に、澄んだ青い目。自信に満ち溢れていて、でも、臣下に慕われ、大変お優しそうで……」
まさか、恋愛相談の紛いごとを引き受けることになるとは思ってもいなかった。
ライラは「町娘のライラ」ということになっているが、実際には「メンカリナンの王女シェヘラザード」であるということは、当然ながらベネトナシュも知っている――素性は知らないふりをしてくれといい含まれているだけで――。
素っ頓狂な声を出してしまったが、ベネトナシュは気を取り直し、再び笑顔を繕った。
「ええ、とても素敵な方ですわ。勇敢で、誰にも分け隔てなく優しく接してくださいますし、権力を無駄に振りかざすこともなく。だから我々は賢王と呼び、自らすすんであのお方に仕えているのです」
イスカンダルは、国外では「傭兵王」と呼ばれている。だが、そこには侮蔑もいくらか含まれているのかもしれない。
――金の為なら長い遠征にも耐えて、異形の獣を殺しにやってくる卑しい血に塗れた男――。
けれど、国内での呼び名は違う。
賢王、だ。国民に寄り添い尽力するその姿勢から、「賢い王」と呼ばれ親しまれ敬われているのだ。
ライラが手元に目を落とした。
「シェダルは素晴らしい国ですね。わたくしの国では国王の決定は絶対で、国王の機嫌を損ねたら、誰だって容易く死刑になり得ました。王宮内では誰も笑わず、私語もなく、いつも空気は淀んでいて……わたくしなど、部屋から出ることすら許されず、小さな窓から青く広がる空を見つめて――」
はっとして、ベネトナシュを見る。
彼女の顔がこわばっているのに気づくと、ライラはバツが悪そうに笑ってごまかそうとした。
「いいえ、なんでもございませんの。今のは忘れてくださいませね」
ライラが素性を隠そうとする理由。国に帰りたいと一言も口に出さない理由。
まだまだごく浅い付き合いながら、ベネトナシュには察してしまうところがあった。
「あの……」
「何でございましょう」
「ライラさま、私から質問をしても?」
「ええ、どうぞ。わたくしに答えられることならば」
暗くなった空気をなんとかするため、ベネトナシュは自ら話を持ちかけた。
「ライラさまはメンカリナンのご出身なのですよね? 私がメンカリナン人にお会いしたのはライラさまが初めてなのですが、あちらでは皆このようなお肌の色なんですか?」
シェダルでもルゥルゥほど肌の白い者は珍しいが、それでも皆、黄色と薄桃を混ぜたような、白か黒かで言えば白に近い色をしていた。
対するライラは、カカオ菓子のような褐色の肌。茶色とか、黒に近い色をしている。爪や唇は肉と血の色が透けた桃色をしているので、化粧も色粉も施していなくとも、素のままで化粧など不要なほど美しい。少なくとも、ベネトナシュの目にはそのように映った。
「いいえ、違います。メンカリナンも、ベネトナシュさま……ベネトナシュさんと同じような肌の色の民が大部分を占めています。わたくしの曽祖母がこの肌の色をしていたようで、それで」
しゃべっている途中で「私に敬称は不要です」とベネトナシュに言われたため、ライラは呼び方を「さん」に変えた。
「まあ、おばあさまの……。でも、黒い肌に銀色の髪だなんて、とても美しい組み合わせですね」
「う、美しい……? そのようなこと、誰にも言われたことなどなかった」
緩やかな弧を描く高い鼻。大きな目、小さな顔。華奢な体に実った乳房は、見事と言うほか形容できない。
なぜこの姫のことを母国では誰も褒めなかったのか、ベネトナシュは不思議でならなかった。しかし、まだ大した信頼関係も築けていない段階で、あまり深入りしてもいけない。
再びライラに話を戻す。
「ライラさま、これからは、私がこの長いお髪(ぐし)も結わせていただきますね。楽しみです、どんな髪型がよろしいかしら。どんな髪型でも、ライラさまなら絶対お似合いだわ」
そう言って笑いかけると、ライラは素直に頰を赤らめた。照れながら、己の髪をひとふさ手に取る。
「――さまも、イスカンダルさまも、そう仰って下さるかしら」
ますます顔を赤くさせ、我慢できず窓の外をライラがのぞいた。しかし、耳の端がどんどん赤くなっていくのが、ベネトナシュの目にはしかと映った。
「ライラさま、イスカンダル陛下が気になってしまうのですね?」
「……わたくしにとって、彼は救世主なのですもの」
「救世主?」
ライラはイスカンダルにより、ドラゴンの腹のなかから助け出されたということは、ベネトナシュも聞いていた。
どれだけの恩を感じているのかは本人にしか分からないが、己の主に好意を寄せている人がいて、喜ばしいと思わない者はいないだろう。もちろん、ベネトナシュだって同じだ。
「それより、イスカンダルさまはいつお帰りになるのでしょう」
「近場でしたら、何日もかかるようなことはないと思います。おそらく、今夜か、明日の夜にはお戻りになるのではないでしょうか」
ライラの母国にも魔獣は出るが、シェダルに現れる魔獣の数は他国のそれとは比べものにならないほど多い。だから、遠征から帰還してすぐ、また討伐に向かうなど、ライラには不安ばかりが募ってしまうのだ。
いささか無礼かという考えも頭をよぎったが、目の前の女性は今は単なる「町娘のライラ」であるということになっている。だとすれば、少しくらいは問題ないだろう。
ベネトナシュはそう結論づけ、ライラの肩に優しく触れた。
「ライラさま、大丈夫です。何事もなく、ご無事でお戻りになられますよ」
子供に語りかけるよう穏やかに言い、にこりと微笑んでみせたが、ライラの顔から不安の色が消えることはなかった。
翌日、討伐隊として己を救ってくれた方々にお礼を申し上げたいと言ったライラのため、朝議の時間の一部を割いて、彼女を招き入れることとなった。
末席に膝をつき、両手を開いて頭を下げる風習は、メンカリナンの高貴な者の作法である。もっとも、服はシェダルの正装を着ているけれど。
壇上中央に座すイスカンダルが応える。
「よい。気にするな。そなたはドラゴンの腹に一週間も入っていながら生還した、奇跡の娘だ。魔石の助けがあったとはいえ、もしかしたら今後何かしら心身に支障をきたすことがあるかもしれない。しばらくは王宮内に滞在し、体調に留意されたい」
「イスカンダル国王陛下の寛大なるご配慮、大変ありがたく存じます」
かくして、ライラはしばらく、王宮内にいることを許されたのである。
「おい。……おい、ルゥルゥ」
ルゥルゥが一人立ち上がり、ライラの正面に立った。
影が差して何事かと見上げた彼女と目が合うと、絨毯の上に膝をついてますます近くでライラを見つめた。
どうしたのかと周囲も異変を察知する。
「ルゥルゥ、離れろ。ライラが怖がってる」
イスカンダルの言葉にはこれといった反応を示さず、そのまましばらく見つめた後、ルゥルゥは不思議そうに首を傾げた。
「数日間、魔石とくっついていたからかしら?」
「どうしたっていうんだ」
ライラの頰を触り、首を触り、腕を伝って両手を触り。
「なんだかこの子、魔力のバランスがとても変わってるの。こんな人間見たことない」
全身くまなく、それこそ値踏みするようにジロジロ視線を向けるルゥルゥ。見兼ねたアキルが彼女を諌める。
「ルゥルゥ、そういうのはイジメって言うんですよ」
「失礼ね、そんな趣味私にないわよ」
口を挟んだことで、ライラとアキルの目があった。
「申し遅れました。私は王弟のアキルと申します。この兄上陛下が筋肉馬鹿で魔獣退治に出てばかりなので、代わりに政の大半を私が請け負っています」
アキルが営業スマイル――と言ってもあまり売上は欲しくなさそうな――を浮かべながら、ライラに自己紹介をした。そこでようやくルゥルゥも、まだ挨拶もなにもしていなかったことに気が付いた。
「そうね、しばらく王宮に滞在するなら、あなたも私たちの名くらいは知っておかなくちゃね。私はルゥルゥ。筋肉馬鹿のイスカンダルと一緒に魔獣退治をしているの」
「ウェズンと申します。ルゥルゥと同じく陛下直属の魔獣討伐隊の一員です」
ルゥルゥに続いて挨拶をしたウェズンに、あら、とルゥルゥが口を挟む。
「ウェズン、そこは『陛下』じゃなく『筋肉馬鹿』って言うところよ」
「おいおいお前たち、国王に向かって筋肉馬鹿とは失礼だぞ。事実であってもそういうのは本人のいない場で言うものだ、事実であってもな!」
イスカンダルはそう言って笑った。アキルも呆れつつ、ため息混じりに笑っている。
そして、笑い合う彼らを見て、ライラひどく驚いた。
「み……皆様は主従関係なのですよね? イスカンダルさまを頂点に据え、そのほかの方々は彼の手足となる存在で――」
「そうだが」
一番近い席に座っていたウェズンが、あっさり答えるとさらにライラは驚いた。
「まあ……なんと仲のよろしいこと……私の国では、身分の違う者が笑い合うなど……」
ライラはこれまでメンカリナンの王宮で暮らしてきたが、笑い声など一度も聞いたことがなかった。たとえそれが下女同士であっても、「笑い声は耳障りだ」という彼女の父により、ひとたび笑い声が誰かの耳にでも入ろうものなら、翌日にはむち打ちか、よくて解雇という悲惨な状況が待っていた。
また、使用人同士の密告制度があるために、国王や重臣以外の者の耳に入ってもいけない。お互いがお互いを監視しているような、冷たく殺伐とした空気がメンカリナンには漂っていた。
戸惑うライラに、ルゥルゥが補足説明を加える。
「シェダルの国王は代々変わっているのよ。だって、いくら魔石が豊富で腕に自信もあるといっても、魔獣討伐なんてどうしたって命の危険が伴うもの。それなのに、この国の国王ときたら、前の国王さまもイスカンダルも、自ら先陣切って突っ込んで行く命知らずなんだもの」
「イスカンダルさま……が? 討伐の話はかねてより伺っておりましたが、てっきり陛下は後方で指示を出すお役かと」
兵士は駒であったとしても、国王は駒ではない。死んだら代わりなどいないのだ。
メンカリナンであってもその他の、たとえばアルニラム王国であっても、国王は後方に構えているのが戦術としては主流のはずだ。
「俺に後方は似合わん」
イスカンダルが、苦々しく吐き捨てた。
「体が疼くのよね」
「当然だろう! それに俺を見ろ、この、自信に満ち溢れた容姿! 俺が出ずして誰が出る? 俺が出て魔獣を倒していった方が、一番見栄えがするだろう!」
「……ライラさま、こういうところが我が国王が脳筋と呼ばれる所以です」
生き生きと話す国王とルゥルゥを尻目に、アキルが言った。
ライラだけに聞こえるように小声で呟いたはずが、思いがけず地獄耳なのか彼の耳に入ってしまったらしい。「アキル」と咎める声が響く。
「脳筋、だと? 脳みそが筋肉で何が悪い? 筋肉は自然の鎧だぞ。脳みそまで筋肉で出来ていたら、どこからどう見ても無敵だろう! だから俺は国王だし、だから俺は強いんだ」
頭脳派の弟に理論で打ち勝ったぞ! とでも誇りたいのか、イスカンダルは声を上げて楽しそうに笑い声を響かせた。
実際には、討伐隊の隊員であり彼の補佐官をしているウェズンの方が筋骨隆々でガタイがいい。しかし彼は言葉少なに控えているので、一般男性より多少マッチョ程度のイスカンダルの方が、ずいぶんと暑苦しく見える。シェダルの民はみな、イスカンダル国王のその熱さに魅せられているのだけれど。
反論するのもバカらしいと思ったのだろう、アキルは肘掛に体重を預け、はああと長いため息を吐いた。
「お? アキル、体調が悪いのか?」
「ええ、まあ。兄上の度を越した前向きさに少し目眩を覚えたのです」
「体調不良でも朝議に穴をあけようとしないその姿勢、素晴らしいな! だが、無理はするなよ? お前という人材の損失は我が国にとって危機となる」
「はあ」
ますますアキルは頭を抱えてしまったが、悠長に茶番に付き合っていられない事態が出来た。騒々しい足音と共に、兵士が一人やってきたのだ。
「伝令! アテナイ東上空に目測中型の天獣の影四体を捕捉、目標は魔石集積場だと推測!」
魔獣。伝令役は「天獣」と言ったが、それは魔獣を大別した呼び方である。
そもそも、「魔獣」とは、動物とは違い魔石を食べ魔法を駆使する獣の総称だ。空を飛ぶ能力のあるもの――ドラゴンなどが該当する――を「天獣」、水の中に棲息するものを「海獣」、そして、大地を走るものを「地獣」と分けて呼んでいる。これら全てをひっくるめて「魔獣」と呼ぶことが最も手っ取り早く、もっとも普及しているけれど。
会議室の空気が変わった。一瞬にして張り詰める。
そんな中でも笑みを絶やさない男、それがイスカンダルである。
「早速また来たか」
「近場です、出ますか?」
「もちろん」
ウェズンの問いに、イスカンダルは素早く頷いた。
「伝令役、天獣の種類はなんだと聞いた?」
「フラムドラゴン一頭、ヴァンドラゴン一頭、ガーゴイル二頭ではないかとの知らせです」
「そうか。……よし、本日の朝議はこれにて! ルゥルゥ、ウェズン、スレイマン、出陣の用意だ!」
イスカンダルは脇に置いた長剣を持ち、勢いよく立ち上がった。
名を呼ばれた討伐隊の者も、逆らうことなく後に続く。
「あ、あのっ!」
その流れを止めたのは、ライラ。ここで声をかけなければ、ここで彼の足を止めなければ、次に会えるのは今夜か、明日か、はたまた数日後か……つまり、わからないのだ。
遊びでないことは、ライラだって知っている。だが、それでも。
「イスカンダルさま、わたくしも連れていってくださいまし!」
「ライラはここに残れ」
ピシャリと断られてしまった。でも、と取り付ける場所を必死で探していると、イスカンダルがニヤリと笑った。
「それとも何か? 俺と離れるのが寂しいか?」
「はい!」
威勢の良い返事に、彼は固まった。「そんなことはない」と否定される前提で口に出した冗談なのに、まさかあっさり肯定されて、面食らった様子である。
「……あー……その、アキルじゃないが体調も本調子じゃないだろうし、今後のことはまたゆっくり考えよう。話ならまた聞いてやるから、とりあえず今日は体を休めておくんだ」
「…………」
ライラは両手を胸の前で合わせ、必死にイスカンダルを見つめた。琥珀色の大きな瞳には、うるうると涙をいっぱい溜めて。
部屋の出口はすぐ眼前。しかしイスカンダルは向きを変え、再び部屋の中央へ向かった。
ライラの近くへ片膝をつき、華奢な肩に手をかける。そして、穏やかな声で囁く。
「……帰ってくるから。必ず」
「本当でございますか……?」
「当然だ。今までも、これからも」
***
「私は侍女のベネトナシュと申します。ライラさまの身辺のお世話を仰せつかりましてございます。ライラさまにあたりましては、突然他国に連れてこられてご心配のことも多々おありかと思いますが、気兼ねなくなんでも聞いてくださいまし」
ベネトナシュは王宮に十年以上仕える侍女だ。王宮の侍女は「花嫁修行」の名目で王宮にやってきた貴族の娘もたくさんいるが、そういう者はたいてい数年、早い者では数ヶ月でやめていく。彼女はあまり裕福ではない平民の出であり、今でもずっと田舎の実家に仕送りをしているという。
すぐに辞める予定もなく、十年ものキャリアもある。更に言えば、要領よくなんでもこなすよく出来た侍女であるために、ライラ――「町娘」と自称しているものの、その身分は他国の王女――の世話も安心して任せるに至ったのだ。
姉御気質なのも手伝ってか、ライラも警戒はしなかった。
「では、」と言って、一つ彼女に尋ねることには。
「イスカンダルさまは、どうしてあんなに素敵なのですか?」
もちろん、ベネトナシュの先の言葉に偽りはなかった。
なんでも聞いて欲しい。そう思ってのことだった。
しかしそれはシェダルのことやこれからの生活についての質問を想定していたのだ。
「ええ?」
「さらさらの黒髪に、澄んだ青い目。自信に満ち溢れていて、でも、臣下に慕われ、大変お優しそうで……」
まさか、恋愛相談の紛いごとを引き受けることになるとは思ってもいなかった。
ライラは「町娘のライラ」ということになっているが、実際には「メンカリナンの王女シェヘラザード」であるということは、当然ながらベネトナシュも知っている――素性は知らないふりをしてくれといい含まれているだけで――。
素っ頓狂な声を出してしまったが、ベネトナシュは気を取り直し、再び笑顔を繕った。
「ええ、とても素敵な方ですわ。勇敢で、誰にも分け隔てなく優しく接してくださいますし、権力を無駄に振りかざすこともなく。だから我々は賢王と呼び、自らすすんであのお方に仕えているのです」
イスカンダルは、国外では「傭兵王」と呼ばれている。だが、そこには侮蔑もいくらか含まれているのかもしれない。
――金の為なら長い遠征にも耐えて、異形の獣を殺しにやってくる卑しい血に塗れた男――。
けれど、国内での呼び名は違う。
賢王、だ。国民に寄り添い尽力するその姿勢から、「賢い王」と呼ばれ親しまれ敬われているのだ。
ライラが手元に目を落とした。
「シェダルは素晴らしい国ですね。わたくしの国では国王の決定は絶対で、国王の機嫌を損ねたら、誰だって容易く死刑になり得ました。王宮内では誰も笑わず、私語もなく、いつも空気は淀んでいて……わたくしなど、部屋から出ることすら許されず、小さな窓から青く広がる空を見つめて――」
はっとして、ベネトナシュを見る。
彼女の顔がこわばっているのに気づくと、ライラはバツが悪そうに笑ってごまかそうとした。
「いいえ、なんでもございませんの。今のは忘れてくださいませね」
ライラが素性を隠そうとする理由。国に帰りたいと一言も口に出さない理由。
まだまだごく浅い付き合いながら、ベネトナシュには察してしまうところがあった。
「あの……」
「何でございましょう」
「ライラさま、私から質問をしても?」
「ええ、どうぞ。わたくしに答えられることならば」
暗くなった空気をなんとかするため、ベネトナシュは自ら話を持ちかけた。
「ライラさまはメンカリナンのご出身なのですよね? 私がメンカリナン人にお会いしたのはライラさまが初めてなのですが、あちらでは皆このようなお肌の色なんですか?」
シェダルでもルゥルゥほど肌の白い者は珍しいが、それでも皆、黄色と薄桃を混ぜたような、白か黒かで言えば白に近い色をしていた。
対するライラは、カカオ菓子のような褐色の肌。茶色とか、黒に近い色をしている。爪や唇は肉と血の色が透けた桃色をしているので、化粧も色粉も施していなくとも、素のままで化粧など不要なほど美しい。少なくとも、ベネトナシュの目にはそのように映った。
「いいえ、違います。メンカリナンも、ベネトナシュさま……ベネトナシュさんと同じような肌の色の民が大部分を占めています。わたくしの曽祖母がこの肌の色をしていたようで、それで」
しゃべっている途中で「私に敬称は不要です」とベネトナシュに言われたため、ライラは呼び方を「さん」に変えた。
「まあ、おばあさまの……。でも、黒い肌に銀色の髪だなんて、とても美しい組み合わせですね」
「う、美しい……? そのようなこと、誰にも言われたことなどなかった」
緩やかな弧を描く高い鼻。大きな目、小さな顔。華奢な体に実った乳房は、見事と言うほか形容できない。
なぜこの姫のことを母国では誰も褒めなかったのか、ベネトナシュは不思議でならなかった。しかし、まだ大した信頼関係も築けていない段階で、あまり深入りしてもいけない。
再びライラに話を戻す。
「ライラさま、これからは、私がこの長いお髪(ぐし)も結わせていただきますね。楽しみです、どんな髪型がよろしいかしら。どんな髪型でも、ライラさまなら絶対お似合いだわ」
そう言って笑いかけると、ライラは素直に頰を赤らめた。照れながら、己の髪をひとふさ手に取る。
「――さまも、イスカンダルさまも、そう仰って下さるかしら」
ますます顔を赤くさせ、我慢できず窓の外をライラがのぞいた。しかし、耳の端がどんどん赤くなっていくのが、ベネトナシュの目にはしかと映った。
「ライラさま、イスカンダル陛下が気になってしまうのですね?」
「……わたくしにとって、彼は救世主なのですもの」
「救世主?」
ライラはイスカンダルにより、ドラゴンの腹のなかから助け出されたということは、ベネトナシュも聞いていた。
どれだけの恩を感じているのかは本人にしか分からないが、己の主に好意を寄せている人がいて、喜ばしいと思わない者はいないだろう。もちろん、ベネトナシュだって同じだ。
「それより、イスカンダルさまはいつお帰りになるのでしょう」
「近場でしたら、何日もかかるようなことはないと思います。おそらく、今夜か、明日の夜にはお戻りになるのではないでしょうか」
ライラの母国にも魔獣は出るが、シェダルに現れる魔獣の数は他国のそれとは比べものにならないほど多い。だから、遠征から帰還してすぐ、また討伐に向かうなど、ライラには不安ばかりが募ってしまうのだ。
いささか無礼かという考えも頭をよぎったが、目の前の女性は今は単なる「町娘のライラ」であるということになっている。だとすれば、少しくらいは問題ないだろう。
ベネトナシュはそう結論づけ、ライラの肩に優しく触れた。
「ライラさま、大丈夫です。何事もなく、ご無事でお戻りになられますよ」
子供に語りかけるよう穏やかに言い、にこりと微笑んでみせたが、ライラの顔から不安の色が消えることはなかった。
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