魔法学園最弱の俺が英雄に

結城 もみじ

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第十五話 決着

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 「さぁ。第二ラウンドといこうか」

 カケルがそう言うと、二人は少し後ずさりをしたように見えた。行動として現しているのではなく、気持ちが後ずさりしているように感じたのだ。そして、剣を構えると、相手も焦った様子で構えた。

 たった数秒も今は数分に感じられるほど、集中していた。観客もシーンと静まり返っていた。
 そして最初に仕掛けてきたのは、ゼクス達だった。

 「ヴォルルフ。挟んでも意味がない。だから交互に攻撃をして勢いを止めないぞ」

 「分かったよぉ!」

 ゼクスとヴォルルフは駆けながら、とっさに作戦を決めた。当然カケルには聞こえない声でだ。
 この時、二人は焦っていた。見知らぬ力を見せつけられて、しかも自分達の攻撃を容易く防いだのだから焦るのも当然だろう。それに、それぞれプライドがあるのだから焦る気持ちは、より一層高まる。

 これにまでない気迫でカケルに向かってくる。しかも最初の一手がどちらか分からないように、ポジションを変わるようにクロスさせながら走っていた。この作戦は試合でもよく使われており、攻撃、防御も無理なく出来ることで距離がある場合はだいたいはコレを使う。

 向かってくる二人を見ながらカケルはこう思った。『実に単純な動きだ。これは作戦というのか』と。確かに他の人が見たら作戦の一つと思うだろう。だが今のカケルの観察眼は恐らくこの世界一になっていた。ただクロスしながらに向かって来るだけ。しかもお互いが、剣で仕掛けるタイミングを計っている。こんな無駄なことをするなら、脚に強化魔法を付け一直線で向かってきた方が迫力も速さあるのに勿体ない。

 カケルはその場を動かず、ただ二人の動きを目で捕らえていた。そして剣が来る予測地点に盾を張る準備をした。

 ゼクス達は間合いに入った。
 最初に剣を向けたのはヴォルルフだった。ヴォルルフの剣はカケルの予測地点に吸い込まれるように振った。
 
 『ビンゴ!』
 カケルの予測が当たり、思ったように剣が振られてくる。
 もうこれは俺の勝ちだな。

 「これでもクラエェェェェ!」
 
 声の殆どが怒りで出来ていた。客席は歓声も上げずに、ただ見守っていた。
 ヴォルルフが吠えてワンテンポ遅れて来たのは、斬りつけた感触ではなく、『ギンッ』と会場に響く音だった。

 「なっなに!?」

 ヴォルルフは入れ替わる瞬間、またありえない光景を目にした。見た目は大きく見開いて動揺していた。
 そこには予測できるはずが無い攻撃をあの暗黒に包まれた盾で防いだのだ。驚いたのはまだある。それは、盾を大きく展開するのではなく、一部分限定で展開されていたのだ。まるでそこに来ると分かっているかのように。

 そこにすかさずゼクスの剣がカケルに振るわれるが、それも盾で防いだ。
 今回使った盾はオリハルコンのように硬い盾だ。流石に鉄剣に強化魔法を付けても破ることは出来なないだろ。まあ出来たら超人決定だがな〈笑〉。

 その後はカケルの防戦一方で仕掛けなく、ゼクス達は攻撃しかしてなかった。カケルの場合は攻撃を仕掛けれなかったではなく、仕掛けなかっただ。

 全く攻撃が読め過ぎている。全く工夫などしない。いや、ただがむしゃらに攻撃しているから頭から抜け落ちているだけか。全くもしこれが戦場だったらどうするんだよ。あれ?なんで俺戦場なんて言葉が出て来たんだ?まあ良いか。

 「じゃあ、そろそろ終わらせるか」

 カケルはこの時力に――マーズに飲まれかけていた。初めて使った事で力の制御が出来ていなく、ただ力任せになっていたのが原因だ。

 カケルは二人が攻撃しない隙を狙って盾を大きく展開して吹き飛ばした。
 そして腕をゆっくりと胸の高さまで上げると、盾が現れる時のように空間が歪んだ。
 歪んだ空間から現れたのは、眩い光に包まれた柄だった。カケルは柄を引き抜くと空間の歪みは何事もなかったように消えた。

 手にしていたのは、全てが白銀に色づいていた剣だった。
 剣を手にした姿はさながら伝説の英雄のようにも見えた。
 そう光輝く剣の名は“クラウソラス”この世には存在しない伝説の剣だ。
 その剣の一振りは全てを薙払い。二振りは天地を切り裂くと古くから言い伝えられてる。

 「では。次は俺のターンで良いかな?」

 その言葉を投げかけたと同時に、地を蹴り、二人の所へ駆けていった。
 脚に強化魔法を付けているので、ほぼ一瞬で付いた。

 ――なっ!――
 相手から動揺の声が漏れた。流石にあの速さには驚いたのだ。

 「おいおい。あんな速さ帝王と呼ばれている俺でも無理だぞあれは。強化魔法を脚に付けていたとしても無理だ。はっこりゃ無理だ。もうあれは化け物としか言えない」

 カケルは冷たい表情で剣を左下から右上へ薙払い、そのまま地へ振り下ろした。
 一回目の攻撃は何とは二人がかりで剣で防げたが粉々になってしまった。二振り目は二人で防御魔法を使い何とか防御に成功したが、二人とも魔力を全て防御魔法に使ってしまったので空っぽなのだ。

 その隙を逃すはずが無くカケルは剣を振り上げた。
 その行動を見た二人は尻餅をつき、手を挙げ降参をした。それを見た審判は試合終了の合図を送ったが、カケルは振り下げるのを止めなかった。

 「「ヒィィ!!」」

 二人から恐怖が混じった悲鳴が聞こえたが、その悲鳴も剣も止まった。
 ゼクス、ヴォルルフは体験したこと無い恐怖で気を失い、剣は寸止めだった。
 カケルは剣を手放すと、空間の歪みに飲み込まれていった。

 『あっこれはヤバイ……』と心で言い残すとバタリと後ろから倒れた。どうやら初めて力を使ったせいで、脳の情報処理や体が耐えきれなくなって倒れたそうだ。力はだんだんカケルから離れていき、かろうじてあった意識も次第に遠くへ行った。そして暗闇の中、またあの声と会った。

 「フフッ――どうだった?――私の力」

 ん?私って事は女の子なのか?まあ今は良いか。

 「どうだったかね。まあ凄かったよ。でもあれが本当の力では無いんでしょ?」

 「良く分かったね――そうよ――あれが本当の――力では無い」

 はぁやっぱりか。確かに使いこなせてない感覚はあったからな。

 「本当の力はもっと強力で凄いと」

 「そうよ――当たり前――だからこれから――使いこなせるように――頑張って」

 「努力するよ」

 そう声は言うと、ほんの少しだけ姿が見えた気がした……。
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