魔法学園最弱の俺が英雄に

結城 もみじ

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第二十九話 女の子の問題

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  「どうも」

 そこには、小さい体でそれは妖精のように美しく、背に生えている小さな翼でホバリングをしていた。
  カケルの上を飛んでいる妖精の正体はマーズであった。

 「マーズ。どうしてその様な体になってるの? この前見た時はしっかり人間の姿をしていたのに」

  カケルはマーズの姿に疑問を覚え、質問するが、それよりも真っ正面で腹を抱え、笑ってい堪えているモーリス学園長がどうしても気になる様子。
 モーリスは下を向いていた顔をカケルの方に上げると、再び笑い出した。今度は笑に耐えることが出来ず、口の中から何か勢い良く噴き出すかのように爆笑し始める。

  マーズが質問に答えることで笑いは収まった。

  「実は先程までは、この前の様に人間のしっかりとした体だったんですよ?ですが、そこにいる女性にイタズラをしてみよと、視線で伝えられたのでこの様な姿になってみたのです。どうですか?」

  「あーだから学園長は笑ってるんですね。やっと理解できました。それにしても人間姿でも、妖精の姿でも綺麗ですね」

 「それは良かったです」

  妖精の姿だからなのか、その笑顔は天使の微笑みにも見える。

  「いやー良いものを見せてもらったぞ。姿を見た時のお主の顔といったら……駄目だ思い出しただけでも笑が――」

  これで何度目か数えきれない程笑っては収まり、笑っては収まりのループが続いる。
  このままでは話の続きができそうにないと判断したカケルはモーリス学園長に話の続きをと頼む。

 すると、さっきまでの面持ちとはガラッと変わり、普段の真面目モードに切り替わる。
  そしてマーズも真面目モードになり妖精の姿から人間の姿に変わった。
  服装はミクトラの黒に対して、純白のワンピースを着ている。
 虚空の空間で見たより、髪は輝き、目は深い青色に染まっており宝石のようだ。

 「私が精霊を見せた理由は、お主と私は同士だと感じたからだ。私には魔眼と言って他人の魔力が見えたり、読めたり出来るのだ。そしてお主がこの学園の入学式の魔力検査でただ一人一般人クラス人間であったが、その周りからは他の者とは比べ者にはならない程の魔力が溢れておった。そのため私はお主に干渉し、私と同士なのか確認したのだ。そして秘密を明かした」

 「モーリス学園長も魔力が見えたり、読めたり出来るんですね。実は自分も出来るんですよ。魔眼とは言ってませんが観察眼と呼んでいます。でも同士なのか確認するために近づいてきたなんて知りませんでしたよ」

 「そりゃ、そうだろう。今さっき初めて言ったのだからな」

 モーリス学園長は少し間を置いてから、再び話し出す。

 「そこでお願いなのだが、私と付き合って欲しいのだ」

 「え?ええ?それは男女関係でですか!?」

 カケルはモーリス学園長から放たれた言葉に対して動揺しており、あたふたしている。
 そしてまたもや、『引っ掛かった』と言っているように指をさし大笑いをしている。

 「違う……違うぞ。……同士として付き合って欲しいのだ。別に男女関係ではない。安心したまえ」

 「学園長もうからかわないでください。反応に困ります。それで同士として付き合うですね。良いですよ。自分にも利益がありそうなので」

 笑いが収まるとモーリス学園長は笑顔でこう答える。

 「そうか。では遠征が終わり、学園に着き次第学園長室に来てくれ。それよりお主の精霊は可愛いな~ミクトラもそう思うだろう?」

 ミクトラはこちらに振ってくることを予想していなかったらしく、肩を震わせて驚いていた。
 一息つき、感情が篭もってない声で話す。

 「そうですね。確かに美しいと思います。それとモーリス。急に話を振らないでください。驚きます」

 「そりゃすまなかったな。ミクトラは緊張するとこんな感じで声に感情が篭もらないんだよ。そこは理解してくれ」

 「分かりました」

 そうこうしてお互いの精霊について語ったり、迷宮で起こったことを話したりして会話は弾んだ。
 途中でマーズを弄ったりしようとしたが、そこはカケルが止めさせた。
 楽しく会話をしていると、ゆっくりと部屋の扉が開かれミクトラ、マーズの二人が気が付き、それぞれ二人に教える。

 扉側からはセレスの声が聞こえ何か言いに来たのかと思っていると、奥から現れたのは女の子だった。
 カケルに向かって頭から突撃をかまし、体の上に乗っかる。
 その光景を見ているモーリス学園長は目が点になっている。

 「お兄ちゃんだいじょうぶ?痛いところない?」

 女の子は顔を小さい手でペタペタと触り、怪我が無いか確認していた。
 『大丈夫、痛いところは無いよ』と笑いながら優しく答えると嬉しそうに笑い、顔を胸に擦り付けてくる。
 実に微笑ましい光景だ。

 「それでお主その女の子は誰なのだ?」

 現実に戻ってきたモーリス学園長がこの状況を理解しようと質問した。
 それにカケルは、この女の子との出会い、それでこうなった理由を述べた。
 聞いて納得したのか、深く頷いていたが、次第に表情は暗くなっていく。

 「その女の子の名前は?」

 「そういえばまだ聞いていません。君名前はなんて言うの?」

 「フローラリア!」

 フローラリアは元気良く答えた。
 これに対してもモーリス学園長は頷く。

 「これでこの子が〔奴隷〕貴族の子では無いことが分かった。そして次だけど、買うはずだった貴族の名前は分かる?」

 指を顎に当て、考えている仕草をする。

 「ザーギって周りは呼んでいた」

 モーリス学園長は深い深い溜息をつく。
 顔からして、知り合いか顔を知っている様子だった。

 「彼奴か。はぁ面倒事に巻き込まれたわね。彼奴は貴族の中でも一番たちが悪くて有名なんだよ。多分この宿に来るのも時間の問題ね」

 すると、廊下、外が急に騒がしくなる。
 教師は『生徒は各自部屋に戻れ!急げ!』と声を大きく言いながらカケル達が居る部屋に近づいてくる。

 「おい!カケル!お前に用がある貴族“ザーギ”様が来てるぞ。待たせるなよ。速く宿の玄関に来い」

 『教師は学園長が居るというのに、あまり口調を変えなくても良いのだろうか?』と心の中で疑問符が浮かんだが、今はそんなことはどうでも良かった。
 教師が言ったザーギと言う名には間違いない。
 てことは当然フローラリアを奪う返しに来たって事だ。
 カケルはどうしようか考えた。
 『倒すしかない』と苦肉の策を考えたが、その必要は無くなった。

 「ここは同士として、学園の学園長として私が行こう。もちろんカケルもフローラリアも付いてくることだぞ。良いな?」

 「「はい!」」

 「良し!ミクトラ戻れ」

 「はい」

 「マーズも戻って」

 「分かりました」

 カケルの傷は既に完治しており、立っても痛みはなく、立ちくらみもなかった。
 貴族の所へ行くと聞いたからなのか、フローラリアは肩、膝を震わせている。
 そこでカケルは優しく、母親のように『大丈夫。何かあっても守るから』と言い聞かせると、止まることはなかったが、震えが少し和らいだ。

 『さぁ助けに行こう!』

 三人は宿の玄関に向かって、一歩踏み出した。
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