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第二十八話
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目を開くと、そこには今まで居たボス部屋の風景ではなく、セレス、ギル、が見えた。
セレスは涙ぐみながら、カケルの手を強く握りしめている。
ギルは男としてのプライドがあったからなのか、涙を見せず、いや我慢していた。
二人とも目が覚めると嬉しそうに微笑み、それと同時に安心感に覆われた。安心している顔を見ると、どれだけカケルを心配していたか、良く分かる。
カケルはその気持ちを表情だけで察した。
「ごめん。心配かけたね」
「そんなことないです。寧ろ私達がごめんなさいを言わなければいけません。カケルさん全てに押し付けてしまったので。ごめんなさい……」
セレスはカケルの手を強く握り直し、首が取れてしまうのではないかと思うぐらい横に首を振った。そして謝ると、落ち込んだ様子で下を俯く。
「俺も何もしてやれなくてごめん」
口数はセレスより少なかったが、ギルなりに考えた言葉だろう。
表情はセレス同様落ち込み、下を俯いている。
「気にしないで。現に自分は生きて居るんだし、明日になれば治るよ」
落ち込んでいたセレスの頭を撫で出上げると顔をすぐに上げ、頬が薄く赤く染まる。
とろーんと今にでもとろけそうな笑みを浮かべ、相当嬉しかったのだろう。
カケルが明日になれば治る理由は、力を手に入れたことによって、体の細胞が活性化しているのだ。
そのため普通は一週間掛かって治る怪我でも、一日あれば治ってしまう。
そんな事より、一番気にしてるのがディア、スーフの容態だ。
あの時既に息が浅く、あのままでは死亡していた。
カケルは気になり、二人に聞くと二人は無事だという。
カケルがミノタウロス亜種と戦っている最中、セレス、ギルは回復薬を飲み干し、少しでも二人を癒すために回復魔法の初級魔法キュアーを発動し続けた。魔力に関してはセレス、ギルも余裕で気にすることではない。
ミノタウロス亜種が倒れた後、十六階層に繋がる扉が開かれ、ディア、スーフを先に十六階層の入口に運び、カケルとドロップアイテムを回収する。
迷宮の外に出て教師を呼び、すぐさま治療室に運ばれた。
セレス、ギルは一人が魔法をかけると完治したが、スーフ、ディアは教師二人以上係で完治させた。カケルに関しては魔法をかける時、上半身を脱がすと傷跡が殆どなく不思議に思われていたが、そこはセレスがフォローをしてくれた御陰で突っ込まれずに済む。
そして現在スーフ、ディアの二人は別室で眠っているという。
話し終えたセレスは気まずそうに訪ねた。
その手には大きな麻袋を持っている。
「カケルさん。これあのボスモンスター(ミノタウロス亜種)からドロップアイテムを換金したお金なんですけど……」
袋を差し出されたので中身を見てみると、大量の硬貨が入っていた。
ざっと見ただけでも三十万ワードは入っていそうだ。ざっと見た金額なので、三十万ワード以上あるだろう。
カケルはこれも山分けすれば良いのではないか? と思っているとセレスから発言してくれた。
「全部で百二十万ワードです。このお金はあのボスモンスター(ミノタウロス亜種)を倒したカケルさんに全部差し上げます。流石に何もしていない私達が受け取るべきでは無いと判断したので。それにカケルさんにはお金が今必要と聞いたので」
確かに今カケルはお金が必要だ。
だが三十万ワードまで後十二万ワードなので、百二十万ワードの大金までは必要ではない。
それにお金を沢山持っていると街で噂が流れれば、盗賊が狙ってくるだろうし、最悪の場合身内に危害が及ぶかもしれない。
そのような事を考えれば大金は特に必要ではないのだ。
「僕は確かにお金が必要だけど、こんな大金までは必要ないかな」
セレスは麻袋とカケルの顔を交互に見て、困惑している。
恐らくこのお金をどうすれば良いのだろう。と思っているのだろう。
「困っているならこうしよう。僕は必要な三十万ワードを受け取る。そして残った九十万ワードは四人で山分け。どうかな?」
「カケルさんがそう言うならそうしましょう。でも本当に良かったのですか?」
「はい」
「ではお言葉に甘えて山分けします」
こうして換金した大金の問題は解決した。
今更だが何故このような大金になったかというと、受付の人が言っていた一攫千金のアイテム、ミノタウロス亜種(ボス)の心玉(しんぎょく)がドロップしたからだ。
第五十階層から出現するボスモンスターミノタウロス亜種でさえ出現率は低く、もし出現したとしてミノタウロス亜種がドロップアイテムとして心玉(しんぎょく)がドロップするとは限らないのだ。
学園がお金を預かると思いきや、特に関わることはなく『大切に使いな』ただ一言だけだという。
恐らくお金の管理、使い道を将来学園を出たときにしっかり出来るようにと考えているのだろう。
本当に分からない学園だ。
その後はと言うと、三十万ワードを別の麻袋に入れて貰い二人は部屋を後にした。二人と入れ違いで入ってきたのは、良く分からない学園の学園長を務めているモーリス学園長だった。普段の大人しめの服装とは違い、ゴスロリチックな服を着ている。これが外に出るときの服装なのだろう。
普段の服とは違い、これはこれで幼く見えて可愛くて最高だな。
全く幼い子は最高だぜ。
モーリス学園長はベッド近くに置いてある椅子に腰を降ろす。
脚を組む瞬間、パンツが見えたのは内緒だ。
「で、体調はどうだ?」
特に心配そうな顔をしないモーリス学園長に対してカケルは少し不満だったが、気にすることではないと自分に言い聞かせた。
「体調は大丈夫です。教師に今は安静にしておくように。と硬く言われてしまいました。明日になれば動いたり出来ます」
その報告にホッとしたのか、大きく息を吐く。
「それは良かったことだ。それで大きく話は変わるが、カケル。お前は精霊を見たことはあるか?」
「ふぁ?」
予想の斜め上を行く質問が来たため、つい変な声を漏らしてしまう。
カケルは普通の精霊ではないが、精霊神は虚空な空間で見ている。だが恐らくモーリス学園長が言っている“見た”は実際(リアル)で見たことはあるか。だろう。
「精霊は見たことはありません。ですが不思議な空間で姿を見たり、話したりしたことはあります」
聞き終えると、『ぬぅー』と声に出しながら何か考え込んでいる。
そして『よし!』と決意したかのように、カケルの顔を見つめた。
「私は見たことがあるぞ。そして今ここで起きることは、一切喋ってはならんかな」
その言葉に思わず生唾を飲み込む。
モーリス学園長は片手を挙げ、その手でこの部屋全体に響き渡るように指を鳴らした。
すると、カケルから見てモーリス学園長の頭の左上の空間が歪みだし、そこから黒い服を纏う男の子(精霊)が出現した。
男の子は空間から出てくると、座っている椅子の左側に立つ。
顔つきはとっても良い。イケメンと言うよりか美少年と言った方が容赦を見てしっくりくる。
身長は座ったモーリス学園長より少し大きいぐらいなので、そこまで大きくはない。
そして次第に空間の歪みは消え去っていく。
「こいつは私の精霊ミクトラだ。お主の精霊と同じように私の精霊も特殊でな」
カケルの精霊神の中の精霊女神の属されるマーズと同じように、普通の精霊とは違うらしい。
学園で習ったものでも、普通の精霊までしか習っておらず、精霊、精霊神以外の精霊については分かってない。
「恐らくお主の精霊も呼べるはずだぞ。試しに呼んでみてはどうかな?」
「それは良いですけど、コツとかってありますか?」
「そうだな。コツは精霊に願うことかな」
「分かりました」
カケルは目を閉じ、この前見ることが出来た精霊女神マーズを想像し語りかける。
『お願い。出てきて』と。
すると頭の中に『分かりました』とマーズの声が聞こえたと思っていると、モーリス学園長が声を掛けてきた。
「目を開けて見よ」
そう言われるがままに目を開けてみる。
正面を見てもモーリス学園長とミクトラしか見えていない。
右、左を見ても見つからない。
モーリス学園長はカケルが探すのに苦労している姿を見てクスクスと笑いを堪えている。
「あのーどこに居るんですか?」
笑いを何とか押さえ込み、指をさし教えてくれた。
「上。上を見て見よ」
カケルは上を見上げると、そこには小さな妖精のように羽を生やし、ホバリングしているマーズがそこに居た。
この前見た姿とは違い、その姿を見て口を開けていた。
「どうも」
マーズはここにいる三人に挨拶を交わした。
セレスは涙ぐみながら、カケルの手を強く握りしめている。
ギルは男としてのプライドがあったからなのか、涙を見せず、いや我慢していた。
二人とも目が覚めると嬉しそうに微笑み、それと同時に安心感に覆われた。安心している顔を見ると、どれだけカケルを心配していたか、良く分かる。
カケルはその気持ちを表情だけで察した。
「ごめん。心配かけたね」
「そんなことないです。寧ろ私達がごめんなさいを言わなければいけません。カケルさん全てに押し付けてしまったので。ごめんなさい……」
セレスはカケルの手を強く握り直し、首が取れてしまうのではないかと思うぐらい横に首を振った。そして謝ると、落ち込んだ様子で下を俯く。
「俺も何もしてやれなくてごめん」
口数はセレスより少なかったが、ギルなりに考えた言葉だろう。
表情はセレス同様落ち込み、下を俯いている。
「気にしないで。現に自分は生きて居るんだし、明日になれば治るよ」
落ち込んでいたセレスの頭を撫で出上げると顔をすぐに上げ、頬が薄く赤く染まる。
とろーんと今にでもとろけそうな笑みを浮かべ、相当嬉しかったのだろう。
カケルが明日になれば治る理由は、力を手に入れたことによって、体の細胞が活性化しているのだ。
そのため普通は一週間掛かって治る怪我でも、一日あれば治ってしまう。
そんな事より、一番気にしてるのがディア、スーフの容態だ。
あの時既に息が浅く、あのままでは死亡していた。
カケルは気になり、二人に聞くと二人は無事だという。
カケルがミノタウロス亜種と戦っている最中、セレス、ギルは回復薬を飲み干し、少しでも二人を癒すために回復魔法の初級魔法キュアーを発動し続けた。魔力に関してはセレス、ギルも余裕で気にすることではない。
ミノタウロス亜種が倒れた後、十六階層に繋がる扉が開かれ、ディア、スーフを先に十六階層の入口に運び、カケルとドロップアイテムを回収する。
迷宮の外に出て教師を呼び、すぐさま治療室に運ばれた。
セレス、ギルは一人が魔法をかけると完治したが、スーフ、ディアは教師二人以上係で完治させた。カケルに関しては魔法をかける時、上半身を脱がすと傷跡が殆どなく不思議に思われていたが、そこはセレスがフォローをしてくれた御陰で突っ込まれずに済む。
そして現在スーフ、ディアの二人は別室で眠っているという。
話し終えたセレスは気まずそうに訪ねた。
その手には大きな麻袋を持っている。
「カケルさん。これあのボスモンスター(ミノタウロス亜種)からドロップアイテムを換金したお金なんですけど……」
袋を差し出されたので中身を見てみると、大量の硬貨が入っていた。
ざっと見ただけでも三十万ワードは入っていそうだ。ざっと見た金額なので、三十万ワード以上あるだろう。
カケルはこれも山分けすれば良いのではないか? と思っているとセレスから発言してくれた。
「全部で百二十万ワードです。このお金はあのボスモンスター(ミノタウロス亜種)を倒したカケルさんに全部差し上げます。流石に何もしていない私達が受け取るべきでは無いと判断したので。それにカケルさんにはお金が今必要と聞いたので」
確かに今カケルはお金が必要だ。
だが三十万ワードまで後十二万ワードなので、百二十万ワードの大金までは必要ではない。
それにお金を沢山持っていると街で噂が流れれば、盗賊が狙ってくるだろうし、最悪の場合身内に危害が及ぶかもしれない。
そのような事を考えれば大金は特に必要ではないのだ。
「僕は確かにお金が必要だけど、こんな大金までは必要ないかな」
セレスは麻袋とカケルの顔を交互に見て、困惑している。
恐らくこのお金をどうすれば良いのだろう。と思っているのだろう。
「困っているならこうしよう。僕は必要な三十万ワードを受け取る。そして残った九十万ワードは四人で山分け。どうかな?」
「カケルさんがそう言うならそうしましょう。でも本当に良かったのですか?」
「はい」
「ではお言葉に甘えて山分けします」
こうして換金した大金の問題は解決した。
今更だが何故このような大金になったかというと、受付の人が言っていた一攫千金のアイテム、ミノタウロス亜種(ボス)の心玉(しんぎょく)がドロップしたからだ。
第五十階層から出現するボスモンスターミノタウロス亜種でさえ出現率は低く、もし出現したとしてミノタウロス亜種がドロップアイテムとして心玉(しんぎょく)がドロップするとは限らないのだ。
学園がお金を預かると思いきや、特に関わることはなく『大切に使いな』ただ一言だけだという。
恐らくお金の管理、使い道を将来学園を出たときにしっかり出来るようにと考えているのだろう。
本当に分からない学園だ。
その後はと言うと、三十万ワードを別の麻袋に入れて貰い二人は部屋を後にした。二人と入れ違いで入ってきたのは、良く分からない学園の学園長を務めているモーリス学園長だった。普段の大人しめの服装とは違い、ゴスロリチックな服を着ている。これが外に出るときの服装なのだろう。
普段の服とは違い、これはこれで幼く見えて可愛くて最高だな。
全く幼い子は最高だぜ。
モーリス学園長はベッド近くに置いてある椅子に腰を降ろす。
脚を組む瞬間、パンツが見えたのは内緒だ。
「で、体調はどうだ?」
特に心配そうな顔をしないモーリス学園長に対してカケルは少し不満だったが、気にすることではないと自分に言い聞かせた。
「体調は大丈夫です。教師に今は安静にしておくように。と硬く言われてしまいました。明日になれば動いたり出来ます」
その報告にホッとしたのか、大きく息を吐く。
「それは良かったことだ。それで大きく話は変わるが、カケル。お前は精霊を見たことはあるか?」
「ふぁ?」
予想の斜め上を行く質問が来たため、つい変な声を漏らしてしまう。
カケルは普通の精霊ではないが、精霊神は虚空な空間で見ている。だが恐らくモーリス学園長が言っている“見た”は実際(リアル)で見たことはあるか。だろう。
「精霊は見たことはありません。ですが不思議な空間で姿を見たり、話したりしたことはあります」
聞き終えると、『ぬぅー』と声に出しながら何か考え込んでいる。
そして『よし!』と決意したかのように、カケルの顔を見つめた。
「私は見たことがあるぞ。そして今ここで起きることは、一切喋ってはならんかな」
その言葉に思わず生唾を飲み込む。
モーリス学園長は片手を挙げ、その手でこの部屋全体に響き渡るように指を鳴らした。
すると、カケルから見てモーリス学園長の頭の左上の空間が歪みだし、そこから黒い服を纏う男の子(精霊)が出現した。
男の子は空間から出てくると、座っている椅子の左側に立つ。
顔つきはとっても良い。イケメンと言うよりか美少年と言った方が容赦を見てしっくりくる。
身長は座ったモーリス学園長より少し大きいぐらいなので、そこまで大きくはない。
そして次第に空間の歪みは消え去っていく。
「こいつは私の精霊ミクトラだ。お主の精霊と同じように私の精霊も特殊でな」
カケルの精霊神の中の精霊女神の属されるマーズと同じように、普通の精霊とは違うらしい。
学園で習ったものでも、普通の精霊までしか習っておらず、精霊、精霊神以外の精霊については分かってない。
「恐らくお主の精霊も呼べるはずだぞ。試しに呼んでみてはどうかな?」
「それは良いですけど、コツとかってありますか?」
「そうだな。コツは精霊に願うことかな」
「分かりました」
カケルは目を閉じ、この前見ることが出来た精霊女神マーズを想像し語りかける。
『お願い。出てきて』と。
すると頭の中に『分かりました』とマーズの声が聞こえたと思っていると、モーリス学園長が声を掛けてきた。
「目を開けて見よ」
そう言われるがままに目を開けてみる。
正面を見てもモーリス学園長とミクトラしか見えていない。
右、左を見ても見つからない。
モーリス学園長はカケルが探すのに苦労している姿を見てクスクスと笑いを堪えている。
「あのーどこに居るんですか?」
笑いを何とか押さえ込み、指をさし教えてくれた。
「上。上を見て見よ」
カケルは上を見上げると、そこには小さな妖精のように羽を生やし、ホバリングしているマーズがそこに居た。
この前見た姿とは違い、その姿を見て口を開けていた。
「どうも」
マーズはここにいる三人に挨拶を交わした。
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