魔法学園最弱の俺が英雄に

結城 もみじ

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第三十五話 フローラリアの問題Ⅴ

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 支配下に置かれてしまった宿は教師二人に対して生徒六人の集団を幾つか作られ、各部屋へ移動させた。
 だが生徒を無作為に選び、集団を作った訳ではない。
 女子は女子だけの。男子は男子と分けたのだ。
 理由は明確だ。

 『女を好き勝手に遊ぶため』

 当然皆抵抗が出来ないように拘束系魔法道具(マジックアイテム)で手足を縛っている。しかも使っているのは、上級魔法道具(レアマジックアイテム)なので、魔法を使用すると、強制的に解除されるのだ。

 「お頭捕らえた女どうしやすか?」

 武装集団の中の一人がお頭と呼び、女だけの集団をいやらしい目つきで見ている。
 口調、そしてお頭と呼んだということは、彼は中でも下っ端なのだろう。

 「まだだ。今食べてしまっては味が出ない。味はじっくり、じっくり追い詰めた時に食べるのが一番美味しいんだよ。だからまだ我慢しろ」

 「分かりました! お頭」
 
 お頭がどうやって、しっくり追い詰めるのかは分からないが、彼らの目つきを見ていると、生徒たちに害が及ぶのは間違いないと断言できる。
  そしてしばらくの沈黙が続くと、お頭が口を開き、その言葉に生徒は絶望する。

 「よし。じわじわと食べていけ。一気に食べるなよ? それと一人につき一人だ。分かったか」

 「「「うすっ!」」」

 まずはお頭から女を選んでいくのだが、その行動には迷いがなく、道かれるように一人の生徒の前で止まった。

 「一番可愛いお前だ」

 魔法学園一の美女と呼ばれているセレスを選んだのだ。
 彼女に対してはお頭以外の部下も狙っていたのか、羨ましそうに見ているが、自分たちの女を探すのに意識を向けた。

 下心見え見え顔つきをチラッと見たセレスはすぐに視線を下に向け、体が震えるのを必死で我慢する。
 震える理由は大きく分けて二つ。
 一つ目は恐怖から来るもの。
 二つ目はカケルで染まっていたのが、他の男に染まってしまうという恐怖心だ。またカケルに染めてもらえれば良いと思うが、セレスはカケル以外に一度も染まりたくないのだ。一度も。

 『約束したのだから、守らないと』

 お頭は部下が全員女を決めたことを確認すると、手を叩き、開始の合図を出す。
 その瞬間獣のように、女に食らいつき服を脱がしていく。丁寧に脱がす者も居れば、
 恐怖のあまりに生徒は声が出てこず、『ああ……』とただ声を漏らすことしか出来なかった。

 「さぁ。楽しませてくてよな」

 部下の誰かが発した言葉で自分の現状が理解できたのか、甲高いで叫んだ。
 その声がうっとしく感じたのか、その女の相手をしている部下は頬を殴り、強制的に黙らせた。
 その頬には痕が残り、赤く腫れている。

 「うるせえな! 少しは黙っていろよ」

 「ひっ……」

 今の出来事を見ていた女子生徒は諦める事しか、頭には残っていなく、教師も諦めかけていた。
 そんな中、セレスだけは諦めてはなく、絶対にカケルさんが助けてくれると信じている。
 だがそんな都合の良い希望が打ち砕けるまではそこまで来ている。

 「おい。お前処女か?」

 服をゆっくり丁寧に脱がせながら、聞いてきたお頭の言葉にセレスは諦めてくれることを信じて答える。

 「いいえ。違いますけど」

 すると、お頭は一瞬脱がせている手を止めた。がそれも一瞬。
 しかもさっきより、手の動きが早くなっている。
 
 「まあ、俺は処女か処女ではないかとかは、どうでも良いのでな」

 「そ、そうですか」

 強がってはいるが、実際服が一枚一枚脱がされている度に、希望の一部の欠片が剥がれ落ちている。
 抵抗しようにも魔法道具(マジックアイテム)で拘束されているため、この現実からは逃れない。
 そして遂に下着のみになった時。セレスの希望が砕け散ってしまった。

 もう終わった。と。

 「ほらほら。もう下着だけだぜぇ。肌白くて綺麗だなぁ」

 セレスの目元には薄っすら涙が浮かんでおり、その瞳には活気が無くなっていた。

 「ではどんな味かな……」

 お頭が彼女の胸元に手を伸ばそうとした瞬間。
 硬く閉ざされていた部屋の扉が爆発音とともに開かれた。
 扉近くは砂煙で視界が悪くなっていたが、その中に人の形のした黒い影が一つ存在している事は分かった。
 その影が発した声によって、この場に居た女子生徒たちは絶望から希望へと変わっていく。

 「お前たちか。ここを襲撃した奴らは」

 「カケルさん! カケルさんですか!?」

 セレスは先ほどとは違う意味で涙を流しながら、声の正体のカケルの名を叫んだ。
 簡単にカケルの流れを説明すると、モーリス学園長と宿に到着した後、彼女から『お主は奥の部屋に行け。自分はそこらへんの部屋を担当する』と言われ、その通りに部屋に行くと、女子生徒たちが一箇所に集められている部屋に登場した感じだ。

 「カケルですよ。大丈夫ですかセレスさん――って下着だけしか着てない!? 他の人まで……」

 下着姿を見たカケルは頬を赤く染め、視線を下に向け見えないようにする。
 だがセレス達も隠しようがない為『今は見てもいいから』と言われてしまったので、心の中で謝り正面を向く。

 「あぁん? お前誰だ? 死にたくなければお家に帰りな」

 部下が放った言葉でカケルの中のスイッチが入ったのか、その身に迷宮で培った殺気を纏う。
 気迫だけではなく、声にも殺気を乗せ、一トーン落とす。

 「僕は家には帰らないよ。帰るのは君たちだよ」

 「あぁ! お前ころ――」

 部下は最後まで言葉を言うことは出来なかった。
 その理由は目の前で部下の左胸に白銀に輝くクラウソラスが背中まで貫通していたからだ。

 「僕は本気で怒っているんだよ」

 「ここに居る人皆。僕が良いと言うまで目を閉じていてほしい」

 今起きた出来事で理解したのか、皆言われるがままに目を閉じる。
 当然セレスもだ。
 全員目を閉じたことを確認すると、カケルは行動に出る。

 「おい。お前は誰なんだ。答え方によっちゃあこいつを殺すからな」

 お頭はどうしてもカケルの正体が知りたかったらしく、目をつぶって今の状況が理解できていないセレスの首下にナイフを突きつける。
 
 「僕は魔法学園一年、相馬カケルです。あなた達を倒す者の名だよ」

 「くっ……お前ら奴を殺せ!」

 セレスに突きつけていたナイフをカケルの方に向け、合図を出す。
 それと同時にどこから取り出したのか分からないが、手元に剣やら短剣を両手に構え、襲いにかかる。
 
 だが部下の剣先がカケルの肌に届くわけがない。
 怒り任せに振るっている剣先など、観察眼を使えば脅威にもならない。
 
 十数人から一斉に振るわれる何十ものの剣を、たった一つの剣で捌く。

 「何だコイツ! 化け物かよ」

 大勢対一人なのに掠り傷一つもつけられなかったら、当然だろう。
 部下たちの焦りの表情を見たお頭は『代われ。俺がやる』と言い彼女から離れ、目の前に立つ。

 「後悔しても、知らないぜ」

 「それは僕の台詞です」

 その後戦いはカケルの一方的な暴力と言うより、蹂躙だった。
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