Zwei Seelen~今の私があるのは、姉がいてくれたおかげです。恩返しは***で(仮副題)~

嵯峨野 樹悠

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ZWEITEメンバーがようやく休憩した頃、ちいはメンバーにタオルや水を渡した。

「ありがと。」

≪私には、これぐらいしか出来ないから(苦笑)≫

「そんなことないよ。いてくれるとすごく励みになるっ」

「うんうん。はやく郁さん達に追いつきたいもんね。」

≪応援してるっ≫

「やったーっ」
って、嬉しさのあまり抱きついた。

「あっ」
そう思ったときは既に遅くて、蒼穹以外は息をのんだ。

≪蒼穹くん?≫

「あ、ごめんなさい(´・ω・`)」
ぱっと、離した。

≪大丈夫だよ(笑)≫

「ちい。大分、平気になってきたな」

≪うん。≫

「けど、あんまり無理すんな?無理な時はちゃんと言えよ?」

≪分かった。蓮くん≫
そう言いながらも、きっと我慢する娘なんだって蓮は分かっていた。
だから、俺がいや俺達が敏感に気づいて対処しなければならない。
まだまだ、不安定要素は消えてないのだ。

≪あっ、蓮くん≫
急に、ちいが叫ぶように俺を呼んだ。

「ん?あっ、行くぞっ。」

『えっ?』
蓮は、いまいちよく分かっていない彼女を引っ張ってスタジオを出た。

「蓮は、いつも冷静に判断するな」

「ほんとに。俺だったらあんなに冷静に出来るか分らない」

「俺も」
蓮は、会議室に向かった。
ZWEITEである俺が、会議室に行く用事はまずない。
けど、彼女と会ってからはZWEITEとERSTEの仕事内容を把握しなければならなかった。
それは、逆に響も同じことだった。
今のところ、マネージャーを介すことは出来ないから、響と連携を取るしかないんだけど。

一息ついて、会議室のドアを叩いた。
そして、会議室のドアを開けて中に入った。

「会議中すみません」

「いや、大丈夫。もう大事な話は終わってるから。」

「じゃぁ、俺はこれで」
そう言って、会議室を出た。
いつものことだが、その後しばらく動けなかった。

「・・・」

★★

「はる?こっちおいで」
響は、膝に座らせる。
大人しく彼女は座った。

「え~ずり~。俺のとこにもおいでよ。はる」

「(笑)どうする?はる」
響は、分かってて聞いた。

『ここにいる』
小さな声だった。

「ちぇっ。まぁいいや。いつか俺の膝に乗せるぜ~」
と、張り切ってた。

「枢んとこには、絶対行かないよね~(笑)」
朔弥くんが言うと

「まぢ?」

「俺もないんですよね(´・ω・`)」
と、悲しそうな澪。


「変態コンビには、近づかないんだな(笑)」

「それ言ったら、響だって同じだろ?なのに(´・ω・`)」

「まぁ、響は特別だろ(笑)」

「そういう郁さんはどうなんです?」

「俺?さぁな(笑)」
と、濁した。

「え~ほんとに俺らだけ?」

「さて、仕事仕事(笑)」

「はる。どうする?」

『今日は、何するの?』

「これから撮影だよ。PV撮りに行くんだよ」

『見てみたいな』

いつもは、あんまり興味を示さないのに
「おっ。じゃぁ、行こうぜ~」
そう言うと、はるは俺から降りた。

『荷物取りに行ってくるね。蓮ちゃんとこだよね?』

「俺も行くよ。」
そういって、二人で会議室を出て行った。

★★

「郁さん?」
移動は皆で、でもはるは車に乗るとすぐ寝ちゃうんだ。
これは昔からみたいで(笑)車酔いするから酔う前に寝るらしい。
でも、起きた時がいつもドキドキなんだよね(苦笑)
今日は、移動距離が短いから興味を惹かせて起こしておかなきゃ。

「はる。お菓子食べる?」

『うんっ』
今は、朔弥くんになついてる(笑)

「う~ずるいっ。みんなばっかり。」

「枢さんも、澪もはるの目線になればいいんだよ。」

「してるのに?」

「多分、何か企んでるって目をしてるのがバレてるんじゃないの?(笑)」

「だって、かまってくれないから」

「どっちが子供なんだか(笑)」

それを見ていた朔弥が。
「はる。これ枢にあげておいで(笑)」

『うん?』
しかし、なんだかんだ言いつつもなついてるはるだった。

『枢くん、食べる?』

「はる~(´∀`)食べるっ。あ~ん」

口を開けて待っていると、枢はてっきりはるが入れてくれると思っていたのに、はるが、口に入れようとした時、誰かが静止した。
郁さんが、ゼスチャーで「し~」ってしたからはるは黙ってた。

入れたのは、郁さんだった。
しかも激マズなやつ。
「まずっ。はる?」
はるを見ると、笑ってた。

はるが、微笑むことはあっても、声を上げて笑うことはあんまりないからみんな驚いてた。

「ナニコレマズイ。」
隣に座ってた郁さんが、メチャ受けて笑ってた。

「ん?あー面白っ」

「郁さんでしょ。はる。持ってるの頂戴。口直しっ」

『はいっ。』
そう言って、口に入れてくれた。

「ありがと。」
すると、はるは枢の膝の上に座った。

「!!はる~」

「はる。何かされそうになったら、これ口に入れな」
って、さっきの激マズなものを渡された。

『うん(笑)分かった』
しっかり握られてた。

「せっかく座ってくれたのに、地獄だ(泣)」
みんな笑ってた。

撮影は順調にいってた。

出番によっては、俺がそばにいてやれなかったり、メンバーが誰もいなかったりするけど、わがままも言わず大人しくしてた。
もうちょっと、わがままでもいいのにね(苦笑)
まだまだ、遠慮してるんだよ。

撮影は、夜中までかかった。
全員が、終わるまでいるからね。
次の予定が個人の仕事ではいってない限り、最後はパフォーマーのシーンだった。
最後のチェックが終わって、速攻着替えてようやくはるの所行ったら案の定寝てた(笑)

郁さんの膝を枕がわりにして。
「郁さん。すみません」

「全然(笑)むしろ嬉しいけどね。」

「俺のとこには来ないんですぅ~ひどい(´;ω;`)」
一緒にいた澪は、しょんぼりしていた。

「あと、澪くんだけだな(笑)頑張れっ」

「絶対、応援してないくせにヽ(`Д´)ノ」

「(笑)」

『う・・ん』

「寝てていいよ。」
頭をなでると安心したのかまた寝てしまった。

「起こしちゃうとこだった(-_-;)」

「郁さん、お母さんみたい(笑)」

「そうかな?でも、懐いてくれるのは嬉しいね。気になっちゃってさ。そばにいないと(笑)」

「郁さんが父親にも母親にもになれますね(笑)」

「皆で、家族になれたらいいですね。はるのためにも。」

「そうだね。心配しなくても、響もちゃんと頼られてるから(笑)」

「いや、実際そうなのか。ちゃんと支えられてるか分からなくって(苦笑)蓮くんの方が頼りになるし、しっかりしてるなって思うことも多くって」

「そんなことないよ。響もちゃんと見れてるって」

「枢さん」
振り返ると、枢さんがいた。

「一緒にいる時間が、オレらよりも多いから分からなくなってるだけで、オレらから見たらちゃんと見れてるし、彼女も響を頼ってるから(笑)そんな顔すんな。はるが見たら悲しむよ。」

「そ、そおっすね。はるの前では、笑ってないと。」
はるの頭を撫でながら微笑んだ。
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