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第1章 魔犬
22.罰
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「どうしてだめなの…」
ベッド脇に両膝を付き、ユウトの左手を両手で握っているリオルドに尋ねた
包みこまれた手はこんなに温かいのにリオルドの口からは冷たい言葉しか出てこない
「ユウト、そんなに簡単な話じゃないんだ。まずこの三人は任務を放棄したんだ。ペナルティを与えなければ、他の使用人にも顔が立たない」
「…でも、それは僕が…頼んだんだ…」
「それでもだ。次に、あの女は使用人でありながら妃に嫌がらせを行い、最終的には命を危険に晒した。これは死刑に値する」
「し、…ちょっと待ってよ…それも違う。イリスは本屋に連れていってくれた…僕が頼んだから…」
ジョルジュは模索していた
リオルド様の言っていることは何も間違っていない
実際、私はユウト様のお願いを聞くと決めた時に失職を覚悟した
クロードやメイもそうだろう
ただ、イリスだけは何とかならないだろうか
イリスはまだ子供で、両親が使用人なこともありベルナー公爵家を崇拝している
大方、ミシェル様辺りに誑かされてやらされていたに決まっているんだ
あまりに刑が重すぎる
「ごめんなさい...僕、もう家から出ません。何でも言うことを聞いて我が儘もいいません…約束します。だから、みんなを許してください」
「…ユウト、顔色も悪いし体力が落ちる。もう話すな」
「どうして…?僕が全部悪いんだ…だから」
「………休みなさい」
ユウトは反抗な目でリオルドを見返した。納得がいかないという表情だった
「どうしても…だめ…なの、」
「……世の中にはそう言うことがある。妃としてもっと大人になれ」
「妃…あぁ、そういうこと…」
納得したようにユウトは瞳を閉じた
沢山話したせいで疲れたのか、起きた時より顔は青白く息も少し荒れている
「クリスからお願いしたら…みんなを助けてくれる?」
ユウトはリオルドに包まれていた左手を引いて、そのまま顔の上に置いて目元を隠した
「クリス?」
「僕だから...だめなんでしょう…」
「えっ?」
「身代わり妃だから...」
リオルドは立ち上がると、顔を隠しているユウトを覗き込んだ
表情が読み取れず、何故こんな事を言い出したのか全くわからない
「ユウト、それは関係ない」
「いいよ…別に分かってるから」
「何をする気だ?」
二人のやり取りを無言で見守っていた一同は驚いた
ユウトが自力で起き上がろうとしている
右肩は完全に傷が塞がっておらず、まだ起きれる状態では無いというのに
「ユウト様、やめてください。怪我が悪化します!」
「メイ…大丈夫。クリスに手紙を書いて…みんなを助けてあげるからね…」
「痛つっ……」
ユウトはなるべく右肩に負担がかからないように起き上がったが、動く度に右肩に響き伝わる痛みは相当なようで、何度も苦痛に顔を歪めている
「もうやめるんだ。この話しはそういうことじゃない」
リオルドも何としても止めたいが、どこを触っても肩の怪我に響きそうで何も出来ない
ユウトは何とか体を起こすとサイドテーブルに手を伸ばした
ーーーあれが、クリスの言っていた返事が来ない手紙か?
ベッド横のサイドテーブルの上に10通近い封筒が置いてあるのが見えた
カナーディル家の家紋の入った印章が押されているから間違いないだろうが、2通程度しか開封されておらず残りは未開封のように見える
「あぁ…こういうのもだめだよね。今度からちゃんと返事を書きます…」
リオルドの視線に気づいたユウトがばつが悪そうに言った
「いや、べつに…」と答えたところで、ユウトの右肩に巻かれた包帯がどんどん血で染まり赤くなっていくことにリオルドは気がついた
「出血してる。もうやめろ」
「でも…これを書かなきゃ…みんなを助けてあげられない」
相当な痛みのはずだ
元々青白かった顔が貧血で白くなってきてる
こんなことをしていたら、そのうちユウトは死んでしまう
リオルドは止むを得ず決断した
「もういい、わかった。4人を許すから」
白い顔をしたユウトが虚ろな目でリオルドを見上げた
「…本当に?」
「だが、ペナルティ無しには出来ない。軽くする。だから、休んでくれ」
リオルドは引き出しから便箋を出そうとしているユウトにもういいからと言い、ベッドにそっと寝かせた
それすらユウトは痛みを感じるようでうぅ…と声をあげた
「良かった…約束だよ。ちゃんとクリスに手紙は書くから…」
「書かなくていい。頼むから休んでくれ…」
ユウトがもうベッドから起き上がるつもりが無いことを確認すると、リオルドは立ち上がり後方にいる忠実だったはずの部下達の方へと振り返った
「おまえ達には謹慎を言い渡す」
固まったまま、何の言葉も返してこない部下を相手に、そのまま淡々と話し続ける
「期間は交代で1週間。ただ、ユウトの怪我に見通しがついてからだ。これからユウトに回復魔法を施す。だが、元々魔力を持たない人間に一度に大量の魔力を入れることは出来ない。暫くは看病と平行して行うことになる」
ーーー助かったんだ、私達もユウト様も。
メイは最初リオルドが“謹慎”と言った時、事態が上手く飲み込めなかった
ユウト様の手前軽くするとはおっしゃったものの、自分達は今の任務を外されて僻地に飛ばされるだろうと考えていた
しかも、自分に歯向かったユウト様のことも回復魔法で助けてくれると言う
何とか丸く収まった…とメイが安堵したとき、イリスが重い口を開いた
「あの…有難いお言葉です。ですが、私は到底許されないことをしました。ユウト様にももう合わせる顔がございません。罪を償わせてください」
メイはぎょっとした
せっかくリオルドが軽い罰に収めたというのに、イリスは自ら重い罪を償いたいと嘆願している
イリスはユウトが悪い妃だと信じ込まされていたから嫌がらせの文書を忍ばせたり、ユウトに冷たい態度を取っていたが、本来は真面目で主人に忠実なのだろう
だが、今はマズイ。リオルドがどう応じるのか読むことが出来ない
「イリス、おまえにはもう一つある」
リオルドは座りこんでいるイリスに目を向けた。イリスは名前を呼ばれるとビクっと体を一度震わせて「はい」と答え、深々と頭を下げて次に命じられる罰の宣告を待っている
「お前はミシェルにドルナー公爵家のメイドを辞めると手紙を書いたらしいな。向こうにいって荷物をまとめてこい。今日から別邸でのメイドとして雇用する、詳しいことはジョルジュに聞け」
「……、宜しいのですか?」どんな罪でも受け入れようと覚悟していたイリスは震えるように聞き直した
「ユウトに合わす顔が無いと言うなら毎日会え。看病して毎日気まずい思いをしろ。それが、お前への罰だ」
イリスの瞳は涙で溢れ「有り難うございます」と床におでこが付き添うなくらいに頭を下げて新たに主となったリオルドに感謝した
リオルドは再びユウトに視線を戻すと「これでいいか?」と聞いた。その顔は悪事を働いた子供が母親に許されたがっているような表情に見えた
大分意識が混濁してきたユウトがそれでも必死に目を開けて「有り難うございます」と言うと、求めていた答えとは少し違うようでリオルドは複雑そうな顔をした
「これから俺は回復魔法を使う。おまえ達は持ち場に戻れ」
リオルドの指示を聞き、ジョルジュは「かしこまりました」と答え、無言のクロードと共に部屋を出ていく
メイは立ち上がれないイリスに手を貸しながら「有り難うございます」と頭を下げ、部屋を後にした
部屋にはリオルドとユウトの二人きりになった
「約一ヶ月か…守りきれなかったのは俺も同じだ」
リオルドは身を屈めてユウトの黒く美しい髪を優しく撫でると、おもむろに唇を重ねた
ユウトは息苦しそうにしたが、臆することなく舌を入れユウトの舌に絡ませる
応えることの無い、応えるつもりなんて毛頭無いであろうユウトの舌に自分の舌を何度も絡ませ唇を離した
ハァハァとやっと呼吸が出来て息苦しそうなユウトの右肩に右手をかざして魔力を少しずつ送り始める
ーーー傷口もまた開いているようだし、しばらくは毎日少しずつ回復魔法を施すしかないだろう。ずっと城にいて離れていたし、丁度いい。それより、さっきの発言が気にかかる。
クリスのお願いなら俺が聞く?
そう思わせているのは自分なんだろうが、思ったよりユウトは気にしているのか?
ユウトは別邸に置いておき、必要最低限しか城には連れていかない
今もその決断を変えるつもりはない
ただ、少し放っておきすぎた
これからはユウトに会う回数も増やさなくてはならない
リオルドは魔法の作用で痛めた右肩が温まり、疲れも相まって眠ってしまったユウトの顔を見て、命まで奪われずにここに横たわっていることに心から安心した
ミシェルからユウトの事を聞いた時は生きている心地がしなかった
二度と同じことがあってはならない
リオルドはユウトの警備を強化する為の次の策を考えていた
ベッド脇に両膝を付き、ユウトの左手を両手で握っているリオルドに尋ねた
包みこまれた手はこんなに温かいのにリオルドの口からは冷たい言葉しか出てこない
「ユウト、そんなに簡単な話じゃないんだ。まずこの三人は任務を放棄したんだ。ペナルティを与えなければ、他の使用人にも顔が立たない」
「…でも、それは僕が…頼んだんだ…」
「それでもだ。次に、あの女は使用人でありながら妃に嫌がらせを行い、最終的には命を危険に晒した。これは死刑に値する」
「し、…ちょっと待ってよ…それも違う。イリスは本屋に連れていってくれた…僕が頼んだから…」
ジョルジュは模索していた
リオルド様の言っていることは何も間違っていない
実際、私はユウト様のお願いを聞くと決めた時に失職を覚悟した
クロードやメイもそうだろう
ただ、イリスだけは何とかならないだろうか
イリスはまだ子供で、両親が使用人なこともありベルナー公爵家を崇拝している
大方、ミシェル様辺りに誑かされてやらされていたに決まっているんだ
あまりに刑が重すぎる
「ごめんなさい...僕、もう家から出ません。何でも言うことを聞いて我が儘もいいません…約束します。だから、みんなを許してください」
「…ユウト、顔色も悪いし体力が落ちる。もう話すな」
「どうして…?僕が全部悪いんだ…だから」
「………休みなさい」
ユウトは反抗な目でリオルドを見返した。納得がいかないという表情だった
「どうしても…だめ…なの、」
「……世の中にはそう言うことがある。妃としてもっと大人になれ」
「妃…あぁ、そういうこと…」
納得したようにユウトは瞳を閉じた
沢山話したせいで疲れたのか、起きた時より顔は青白く息も少し荒れている
「クリスからお願いしたら…みんなを助けてくれる?」
ユウトはリオルドに包まれていた左手を引いて、そのまま顔の上に置いて目元を隠した
「クリス?」
「僕だから...だめなんでしょう…」
「えっ?」
「身代わり妃だから...」
リオルドは立ち上がると、顔を隠しているユウトを覗き込んだ
表情が読み取れず、何故こんな事を言い出したのか全くわからない
「ユウト、それは関係ない」
「いいよ…別に分かってるから」
「何をする気だ?」
二人のやり取りを無言で見守っていた一同は驚いた
ユウトが自力で起き上がろうとしている
右肩は完全に傷が塞がっておらず、まだ起きれる状態では無いというのに
「ユウト様、やめてください。怪我が悪化します!」
「メイ…大丈夫。クリスに手紙を書いて…みんなを助けてあげるからね…」
「痛つっ……」
ユウトはなるべく右肩に負担がかからないように起き上がったが、動く度に右肩に響き伝わる痛みは相当なようで、何度も苦痛に顔を歪めている
「もうやめるんだ。この話しはそういうことじゃない」
リオルドも何としても止めたいが、どこを触っても肩の怪我に響きそうで何も出来ない
ユウトは何とか体を起こすとサイドテーブルに手を伸ばした
ーーーあれが、クリスの言っていた返事が来ない手紙か?
ベッド横のサイドテーブルの上に10通近い封筒が置いてあるのが見えた
カナーディル家の家紋の入った印章が押されているから間違いないだろうが、2通程度しか開封されておらず残りは未開封のように見える
「あぁ…こういうのもだめだよね。今度からちゃんと返事を書きます…」
リオルドの視線に気づいたユウトがばつが悪そうに言った
「いや、べつに…」と答えたところで、ユウトの右肩に巻かれた包帯がどんどん血で染まり赤くなっていくことにリオルドは気がついた
「出血してる。もうやめろ」
「でも…これを書かなきゃ…みんなを助けてあげられない」
相当な痛みのはずだ
元々青白かった顔が貧血で白くなってきてる
こんなことをしていたら、そのうちユウトは死んでしまう
リオルドは止むを得ず決断した
「もういい、わかった。4人を許すから」
白い顔をしたユウトが虚ろな目でリオルドを見上げた
「…本当に?」
「だが、ペナルティ無しには出来ない。軽くする。だから、休んでくれ」
リオルドは引き出しから便箋を出そうとしているユウトにもういいからと言い、ベッドにそっと寝かせた
それすらユウトは痛みを感じるようでうぅ…と声をあげた
「良かった…約束だよ。ちゃんとクリスに手紙は書くから…」
「書かなくていい。頼むから休んでくれ…」
ユウトがもうベッドから起き上がるつもりが無いことを確認すると、リオルドは立ち上がり後方にいる忠実だったはずの部下達の方へと振り返った
「おまえ達には謹慎を言い渡す」
固まったまま、何の言葉も返してこない部下を相手に、そのまま淡々と話し続ける
「期間は交代で1週間。ただ、ユウトの怪我に見通しがついてからだ。これからユウトに回復魔法を施す。だが、元々魔力を持たない人間に一度に大量の魔力を入れることは出来ない。暫くは看病と平行して行うことになる」
ーーー助かったんだ、私達もユウト様も。
メイは最初リオルドが“謹慎”と言った時、事態が上手く飲み込めなかった
ユウト様の手前軽くするとはおっしゃったものの、自分達は今の任務を外されて僻地に飛ばされるだろうと考えていた
しかも、自分に歯向かったユウト様のことも回復魔法で助けてくれると言う
何とか丸く収まった…とメイが安堵したとき、イリスが重い口を開いた
「あの…有難いお言葉です。ですが、私は到底許されないことをしました。ユウト様にももう合わせる顔がございません。罪を償わせてください」
メイはぎょっとした
せっかくリオルドが軽い罰に収めたというのに、イリスは自ら重い罪を償いたいと嘆願している
イリスはユウトが悪い妃だと信じ込まされていたから嫌がらせの文書を忍ばせたり、ユウトに冷たい態度を取っていたが、本来は真面目で主人に忠実なのだろう
だが、今はマズイ。リオルドがどう応じるのか読むことが出来ない
「イリス、おまえにはもう一つある」
リオルドは座りこんでいるイリスに目を向けた。イリスは名前を呼ばれるとビクっと体を一度震わせて「はい」と答え、深々と頭を下げて次に命じられる罰の宣告を待っている
「お前はミシェルにドルナー公爵家のメイドを辞めると手紙を書いたらしいな。向こうにいって荷物をまとめてこい。今日から別邸でのメイドとして雇用する、詳しいことはジョルジュに聞け」
「……、宜しいのですか?」どんな罪でも受け入れようと覚悟していたイリスは震えるように聞き直した
「ユウトに合わす顔が無いと言うなら毎日会え。看病して毎日気まずい思いをしろ。それが、お前への罰だ」
イリスの瞳は涙で溢れ「有り難うございます」と床におでこが付き添うなくらいに頭を下げて新たに主となったリオルドに感謝した
リオルドは再びユウトに視線を戻すと「これでいいか?」と聞いた。その顔は悪事を働いた子供が母親に許されたがっているような表情に見えた
大分意識が混濁してきたユウトがそれでも必死に目を開けて「有り難うございます」と言うと、求めていた答えとは少し違うようでリオルドは複雑そうな顔をした
「これから俺は回復魔法を使う。おまえ達は持ち場に戻れ」
リオルドの指示を聞き、ジョルジュは「かしこまりました」と答え、無言のクロードと共に部屋を出ていく
メイは立ち上がれないイリスに手を貸しながら「有り難うございます」と頭を下げ、部屋を後にした
部屋にはリオルドとユウトの二人きりになった
「約一ヶ月か…守りきれなかったのは俺も同じだ」
リオルドは身を屈めてユウトの黒く美しい髪を優しく撫でると、おもむろに唇を重ねた
ユウトは息苦しそうにしたが、臆することなく舌を入れユウトの舌に絡ませる
応えることの無い、応えるつもりなんて毛頭無いであろうユウトの舌に自分の舌を何度も絡ませ唇を離した
ハァハァとやっと呼吸が出来て息苦しそうなユウトの右肩に右手をかざして魔力を少しずつ送り始める
ーーー傷口もまた開いているようだし、しばらくは毎日少しずつ回復魔法を施すしかないだろう。ずっと城にいて離れていたし、丁度いい。それより、さっきの発言が気にかかる。
クリスのお願いなら俺が聞く?
そう思わせているのは自分なんだろうが、思ったよりユウトは気にしているのか?
ユウトは別邸に置いておき、必要最低限しか城には連れていかない
今もその決断を変えるつもりはない
ただ、少し放っておきすぎた
これからはユウトに会う回数も増やさなくてはならない
リオルドは魔法の作用で痛めた右肩が温まり、疲れも相まって眠ってしまったユウトの顔を見て、命まで奪われずにここに横たわっていることに心から安心した
ミシェルからユウトの事を聞いた時は生きている心地がしなかった
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