15 / 29
縛られるべきは誰?-2
しおりを挟む
老人は少し目を閉じてから言った。
「それは処世術としてはそうでしょう。しかし、ここで本質的に問題なのは、敬語を使うとか使わないということではないのです」
老人は身振りを交えて話した。
「あなたという人が中間にいます。後輩という人が下にいて、先輩という人が上にいます。階級社会ですね。なのに、後輩が自分を通り越して先輩に敬語を使わない。これに苛ついてしまう心情とは何なのでしょう?
それは自分は規律を守っているのに、後輩は規律を守らないことに対する怒りではないでしょうか」
それを言われて寛はハッとした。自分でも気付かない自分のことを照らされた気分だった。
「自分は規律を守っているのに下のものが守らないと、とてつもない不満が感じられてしまうのは階級がある故のことだと思われます。それはつまり、秩序が乱されたと感じるからであり、階級を守らなければいけないという意識があるからです。
対等な個人がそれぞれ在る状態ならば、そんなことは気にもとめないでしょう。
あなたは社会がうまく回らないのではないかとおっしゃいましたね。ここには個人的視点だけではなく、社会的視点が入り込むのです。
先輩が後輩に対して直接不満を言うというのであれば、まだわかりやすい個人的軋轢ですが、中間にいる人が自分自身が無礼な口をきかれたわけでもないのに腹が立つのです。これは個人というよりもその集団の一員として、秩序を守ろうとする意識が無意識にでも働いているということでしょう。
無意識ということは客観視とも違うものでしょう。しかし、社会的視点自体は悪いものではありません。これは恐らく人間が社会的動物であるがゆえに持っている能力です。その社会を存続させようという能力が個を超えてあるということなのかもしれません。
問題なのは、その視点がみんなの『幸福』に資するものなのか?というところでしょう。
しかし、残念ながら、ここにあっては秩序を守ること自体が重要視されています。秩序こそが日本の社会正義です」
規律を守ろう、秩序のために。では、秩序を守るのは一体何のためで、誰のためなのか。
寛は小学校に入りたての頃、繰り返し練習させられた整列を思い出した。前にならえ、なおれ、右向け右、意味もわからず繰り返し繰り返し練習させられた。少しでも列が乱れれば、教師は理不尽な怒りを子どもたちにぶつけた。
まさに理不尽だった。当然だ。そこでは理など求めてはならぬということを教えていたし、世の中には意味はなくとも上のものには従わなければならないということを教えていたのだ。それは自らの幸福や自由意志よりも優先するものがあると教えていたのだ。それが階級社会というものだ。秩序というものだ、ということだろう。
「この社会は何のためにその規律や秩序を守るのかという本来最も重要な問いが決定的に欠けた社会です。
規律を破り、秩序を壊そうとするものに対して取られる処置は取り込むか、排撃するかの二択です」
寛は少なからずショックだった。ツキミとの会話でそういった階級めいたものにはなるべく意識的であろうとしていたはずなのに、いつの間にか取り込まれていたことに気付かされたからだ。
部活にも入っていないので、特に親しい後輩がいるわけでもないが、もしも先輩に無礼な口をきいている後輩を見かけたら少し違和感のようなものを感じてしまうかも知れない。
その違和感は突き詰めていけば、階級社会の秩序を乱すものであると無意識に認識しているということではないか。
自由なようで知らず知らずに取り込まれているのかもしれない。反論が不気味にも自動的に浮かび上がって来たことを思い返し、寛は薄ら寒い心地がした。
「階級社会というのは強固です。なぜなら、社会正義が秩序であり、一人ひとりが規律を守ることが重要視される故に自己強化を続けますし、負の連鎖が続きます。
先程の先輩後輩の例で言えば、先輩からの命令を聞く度に段々と慣れていき、理不尽な要求も飲むようになります。また、後輩間で命令を守っているかの相互監視すら始めます。それは秩序の強化を意味します。
さらに後輩たちはその強化された秩序でもって、自分たちより下のものに当たります。その下のもの達はさらに下のものに当たるでしょう」
寛は野球部のクラスメイトを思い出した。一年のときは上級生を殴りたいほど憎んでいたが、いざ自分が上級生になると喜々として下級生をいじめているのである。なんでそんなことするのかと聞いたら、少し考えて、『だって、俺達もされてきたんだから、やんなきゃ損じゃん』と言っていた。
また、先輩からの理不尽な仕打ちに耐えかねて辞めていった同級生を平然と負け犬扱いするのである。確かに内部的結束は強まっているのかもしれない。しかし、同時に排外的でもあった。
「階級社会においては秩序こそが社会正義である。
このことは非常に重大な問題をはらんでいますが、一旦置いておきましょう。
代わりに階級社会との対比として公共というものを考えてみましょう。公共とは何でしょう?」
寛は聞かれて困った。公共という授業はあるが、その内容は国家のことや納税のこと、家族のことを形式的に触れているだけで改めて公共とはなにかを問われるとよくわからなかった。
「う~ん、何でしょう?公益とは違いますもんねえ」
「そうですね。それは正反対のものでしょう。しかし、日本人にとっては同じようなものとなってしまっている感はありますね。だから、それは非常に鋭い指摘のように思えます」
「そうですか」
「はい。公共とは辞書的に、公のものとして共有することと定義しましょう。ここでの公とは国家ではなく社会です。社会とは人間が集団で生活している共同体だとしましょう。
例えば原初的な社会を想像してみます。もし男女二人だけならば、公共などいらないかもしれません。ただお互いを見て、お互いの幸せを望めば良いのですから。
しかし、そこにもう一人、二人と段々と人が増えていったとしましょう。そうすると段々複雑になってきます。あっちを立たせれば、こっちが立たずということも出てくるでしょう。
そうした時に必要なのが公共という意識です。基本的に人間は幸福を目指すものですから、それに見合った共通基盤、社会正義が育まれていくはずです。まだ法のようなカッチリしたものではないでしょう。それはおそらく自由や平等といった原則的で抽象的なものです。共同体の中の人々はより幸福になるため、公共について議論を重ねます。そうすることでよりその社会に適した形になったり、強固になったりするものです。また、自分たちのものであるという意識が生まれ、大切に尊重するようになるでしょう。いずれにせよ、時代や場所、人々によって幸福は異なるでしょうから常に話し合うことが重要なのです。そうすることによって、自分は社会の一員であるという積極的な公共意識も生まれるのではないでしょうか。
公共の本質とは『みんなの幸せを願う心』だと言えるでしょう。幸福とは公共の大原則です。そしてそこから自由や平等などの原則も派生していきます。
これはあくまでも理想的なお話ではありますが、考える上でのヒントになるはずです」
人々は幸福を基本的に求める。それはそうだろうと寛は思った。今だって金が欲しいとみんな喘いでいるのは幸福になりたいからだ。
「日本の階級社会と比べてみてどうでしょう?」
寛は考えた。いや、考えるまでもなかった。感じるままに口から吐き出した。
「全然違いますね。自由や平等、公平は『他人に迷惑をかけるな』に読み替えられているのではないでしょうか。これでは大原則であるはずのみんなの幸福がありません。一部の人々にしか幸福と言えるだけの自由や平等は買えないのではないでしょうか」
老人は頷いた。
「そのとおりだと思います。しかし、実はそれは今に始まったことではありません。改憲のだいぶ前から少しずつ始まっていました」
「そんなに前から始まっていたなら、どうにか出来たのではないですか?」
「わかりません。経済面から見て、ちっぽけな島国に異常なまでの富が集まっていたから豊かな時代があっただけで、ただ実力通りに貧しくなればこんなものだという議論も成り立つとは思います。
しかし、確実に一つ言えることは、多くの人が日本は経済的にも精神的にも貧しくなっているという事実に真正面から向き合うことはありませんでした」
「どうしたんですか?」
「それは処世術としてはそうでしょう。しかし、ここで本質的に問題なのは、敬語を使うとか使わないということではないのです」
老人は身振りを交えて話した。
「あなたという人が中間にいます。後輩という人が下にいて、先輩という人が上にいます。階級社会ですね。なのに、後輩が自分を通り越して先輩に敬語を使わない。これに苛ついてしまう心情とは何なのでしょう?
それは自分は規律を守っているのに、後輩は規律を守らないことに対する怒りではないでしょうか」
それを言われて寛はハッとした。自分でも気付かない自分のことを照らされた気分だった。
「自分は規律を守っているのに下のものが守らないと、とてつもない不満が感じられてしまうのは階級がある故のことだと思われます。それはつまり、秩序が乱されたと感じるからであり、階級を守らなければいけないという意識があるからです。
対等な個人がそれぞれ在る状態ならば、そんなことは気にもとめないでしょう。
あなたは社会がうまく回らないのではないかとおっしゃいましたね。ここには個人的視点だけではなく、社会的視点が入り込むのです。
先輩が後輩に対して直接不満を言うというのであれば、まだわかりやすい個人的軋轢ですが、中間にいる人が自分自身が無礼な口をきかれたわけでもないのに腹が立つのです。これは個人というよりもその集団の一員として、秩序を守ろうとする意識が無意識にでも働いているということでしょう。
無意識ということは客観視とも違うものでしょう。しかし、社会的視点自体は悪いものではありません。これは恐らく人間が社会的動物であるがゆえに持っている能力です。その社会を存続させようという能力が個を超えてあるということなのかもしれません。
問題なのは、その視点がみんなの『幸福』に資するものなのか?というところでしょう。
しかし、残念ながら、ここにあっては秩序を守ること自体が重要視されています。秩序こそが日本の社会正義です」
規律を守ろう、秩序のために。では、秩序を守るのは一体何のためで、誰のためなのか。
寛は小学校に入りたての頃、繰り返し練習させられた整列を思い出した。前にならえ、なおれ、右向け右、意味もわからず繰り返し繰り返し練習させられた。少しでも列が乱れれば、教師は理不尽な怒りを子どもたちにぶつけた。
まさに理不尽だった。当然だ。そこでは理など求めてはならぬということを教えていたし、世の中には意味はなくとも上のものには従わなければならないということを教えていたのだ。それは自らの幸福や自由意志よりも優先するものがあると教えていたのだ。それが階級社会というものだ。秩序というものだ、ということだろう。
「この社会は何のためにその規律や秩序を守るのかという本来最も重要な問いが決定的に欠けた社会です。
規律を破り、秩序を壊そうとするものに対して取られる処置は取り込むか、排撃するかの二択です」
寛は少なからずショックだった。ツキミとの会話でそういった階級めいたものにはなるべく意識的であろうとしていたはずなのに、いつの間にか取り込まれていたことに気付かされたからだ。
部活にも入っていないので、特に親しい後輩がいるわけでもないが、もしも先輩に無礼な口をきいている後輩を見かけたら少し違和感のようなものを感じてしまうかも知れない。
その違和感は突き詰めていけば、階級社会の秩序を乱すものであると無意識に認識しているということではないか。
自由なようで知らず知らずに取り込まれているのかもしれない。反論が不気味にも自動的に浮かび上がって来たことを思い返し、寛は薄ら寒い心地がした。
「階級社会というのは強固です。なぜなら、社会正義が秩序であり、一人ひとりが規律を守ることが重要視される故に自己強化を続けますし、負の連鎖が続きます。
先程の先輩後輩の例で言えば、先輩からの命令を聞く度に段々と慣れていき、理不尽な要求も飲むようになります。また、後輩間で命令を守っているかの相互監視すら始めます。それは秩序の強化を意味します。
さらに後輩たちはその強化された秩序でもって、自分たちより下のものに当たります。その下のもの達はさらに下のものに当たるでしょう」
寛は野球部のクラスメイトを思い出した。一年のときは上級生を殴りたいほど憎んでいたが、いざ自分が上級生になると喜々として下級生をいじめているのである。なんでそんなことするのかと聞いたら、少し考えて、『だって、俺達もされてきたんだから、やんなきゃ損じゃん』と言っていた。
また、先輩からの理不尽な仕打ちに耐えかねて辞めていった同級生を平然と負け犬扱いするのである。確かに内部的結束は強まっているのかもしれない。しかし、同時に排外的でもあった。
「階級社会においては秩序こそが社会正義である。
このことは非常に重大な問題をはらんでいますが、一旦置いておきましょう。
代わりに階級社会との対比として公共というものを考えてみましょう。公共とは何でしょう?」
寛は聞かれて困った。公共という授業はあるが、その内容は国家のことや納税のこと、家族のことを形式的に触れているだけで改めて公共とはなにかを問われるとよくわからなかった。
「う~ん、何でしょう?公益とは違いますもんねえ」
「そうですね。それは正反対のものでしょう。しかし、日本人にとっては同じようなものとなってしまっている感はありますね。だから、それは非常に鋭い指摘のように思えます」
「そうですか」
「はい。公共とは辞書的に、公のものとして共有することと定義しましょう。ここでの公とは国家ではなく社会です。社会とは人間が集団で生活している共同体だとしましょう。
例えば原初的な社会を想像してみます。もし男女二人だけならば、公共などいらないかもしれません。ただお互いを見て、お互いの幸せを望めば良いのですから。
しかし、そこにもう一人、二人と段々と人が増えていったとしましょう。そうすると段々複雑になってきます。あっちを立たせれば、こっちが立たずということも出てくるでしょう。
そうした時に必要なのが公共という意識です。基本的に人間は幸福を目指すものですから、それに見合った共通基盤、社会正義が育まれていくはずです。まだ法のようなカッチリしたものではないでしょう。それはおそらく自由や平等といった原則的で抽象的なものです。共同体の中の人々はより幸福になるため、公共について議論を重ねます。そうすることでよりその社会に適した形になったり、強固になったりするものです。また、自分たちのものであるという意識が生まれ、大切に尊重するようになるでしょう。いずれにせよ、時代や場所、人々によって幸福は異なるでしょうから常に話し合うことが重要なのです。そうすることによって、自分は社会の一員であるという積極的な公共意識も生まれるのではないでしょうか。
公共の本質とは『みんなの幸せを願う心』だと言えるでしょう。幸福とは公共の大原則です。そしてそこから自由や平等などの原則も派生していきます。
これはあくまでも理想的なお話ではありますが、考える上でのヒントになるはずです」
人々は幸福を基本的に求める。それはそうだろうと寛は思った。今だって金が欲しいとみんな喘いでいるのは幸福になりたいからだ。
「日本の階級社会と比べてみてどうでしょう?」
寛は考えた。いや、考えるまでもなかった。感じるままに口から吐き出した。
「全然違いますね。自由や平等、公平は『他人に迷惑をかけるな』に読み替えられているのではないでしょうか。これでは大原則であるはずのみんなの幸福がありません。一部の人々にしか幸福と言えるだけの自由や平等は買えないのではないでしょうか」
老人は頷いた。
「そのとおりだと思います。しかし、実はそれは今に始まったことではありません。改憲のだいぶ前から少しずつ始まっていました」
「そんなに前から始まっていたなら、どうにか出来たのではないですか?」
「わかりません。経済面から見て、ちっぽけな島国に異常なまでの富が集まっていたから豊かな時代があっただけで、ただ実力通りに貧しくなればこんなものだという議論も成り立つとは思います。
しかし、確実に一つ言えることは、多くの人が日本は経済的にも精神的にも貧しくなっているという事実に真正面から向き合うことはありませんでした」
「どうしたんですか?」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる