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7話
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10月27日のこと。
俺たちは電車に揺られていた。
普段うるさいはずの海斗とゆきは二人そろって寝てしまって、俺と早紀はボックス席の向かい合う窓際の席でお互いにそれぞれ肩に眠りについている頭をのせていた。
「ったく……なんでこういう時だけは静かなんかなぁ」
「さぁな」
早紀は海斗を見つめながら笑う。
「でも憎めないだろ」
俺はそう言って肩にもたれかかるゆきの髪をなでる。
「それもそうやな」
「だろ?」
俺はそう言って笑う。
外の景色は緑の平原が広がるばかりだ。
これも北海道らしくて観光客にはウケが良いそうなのだが、正直地元民からすると非常に退屈に思えてしまう。
気が付けば、目の前に座っていた早紀も寝息を立てて寝ていた。
俺もそれにつられるようにして気が付けば眠りに落ちていた。
「お兄様! 乗り換えですよ!」
うぅ……まだ眠っていたい。
ゆきの呼ぶ声に応えるように目をこすって欠伸をする。
「お、おう」
いまだ覚醒しきらない脳でそう答えると自らの荷物を手に持って立ち上がる。
函館から小樽への直通便はない。
故に乗り換えが必須だ。
「ここからは鈍行でゆっくりいくやで」
早紀を先頭としながらホームを歩く俺たち。
今まで特急で来たのだが、これからはどうも鈍行を使うらしい。
「なんでだ? 金はあるんだろ?」
「せやなぁ。ゆっくり景色を見たいからとかどうや?」
海斗が早紀に尋ねた。
函館を出てから数時間、俺たちは草原のなかをつきって来たわけで、海というものを久しく見ていない。
「なるほど」
早紀の答えに納得したのか海斗はそう答える。
「? 鈍行ってなんですか?」
ゆきはまた別な疑問を俺に投げかけてきた。
「あぁ、今まで乗ってきたのは特急っていって大きな駅しか止まらないんだけど、これから乗る鈍行はほとんどの駅に止まるんだよ」
「え? それじゃぁ遅くなってしまいませんか?」
「あ? それはそうなんだが、代わりに安い」
「そういうことですか」
そういって笑うゆき。
どうやら理解してくれたようだ。
「ほないくで!」
早紀はそう言って右手を上げ、ゆきもそれに続いて「おー!」といった。
俺と海斗はそれをほほえましく見守りながら後ろからついていくのであった。
結局小樽についたのは札幌から1時間ほどかかってからのことだった。
日本人が多かった函館から札幌間とは打って変わって外国人が多いことを見ても観光客が多いのだろう。
小樽のモダンなつくりの駅に着くと、周りの流れに乗って外に出る。
「小樽ついたやで!」
駅の建物の前で早紀が叫ぶ。
「おー!」とゆきも腕を上げる。
小樽という街は極端に中心部だけが発展している。
中心地を外に出ればそこら辺の市区町村と変わらないような中規模都市が広がる。
しかし裏を返せば中心部はそう札幌に負けず劣らずの大都市模様を呈しているのだ。
「ほな、ホテルにいくで!」
早紀はそう言って先頭をズンズンと進んでいく。
ゆきもそれに続いてスキップしながら続く。
「なぁ」
「ん?」
海斗は息を切らせながらこっちに言ってきた。
「なんで、俺らあいつらの荷物持たされてるんだ?」
「……さぁ」
そう、先ほどから彼女たちの足取りが軽いのは彼女たちの重い荷物を俺たちが持っているから。
なのだが、俺たちが少しでも遅れようものなら文句を言ってくる。
「なぁ海斗」
「あ?」
「世界って理不尽だな」
「……そうだな」
俺と海斗二人で溜息を吐く。
しかし――
「お兄様! 早く行きましょ?」
「ほら、遅れとるで!」
不思議とこの二人の笑顔を見てしまったら許せてしまう。
「さぁ、もうひと踏ん張りだ!」
俺はそう言うと早紀とゆきのもとに駆け寄った。
「海斗!」
「ったく……わーかったよ!」
俺が振り返って海斗を呼びかけると彼も悪態を吐きながらついてきた。
こんな仲間ができて俺は今。
幸せだ。
「どーん!」
「うぇーい!」
「おほー!」
早紀、海斗、ゆきが立て続けにベットに飛び込む。
「元気だなぁ」
思わず俺はそんなことをつぶやいてからソファーにドスンと座った。
するとゆきがこちらを見てベットをボンボンとたたき始めた。
「迷惑だからやめろ」
「お兄様? 一緒に来ませんか?」
ゆきがこちらを誘惑するような目線を送って来る。
まったく、何処でこんなの覚えたのやら。
「はいはい、今度な」
俺は呆れながら言うとゆきは頬を膨らませながら「据え膳食わぬはなんたらって知らないんですか?」と聞いてきた。
「その膳は多分逆に俺を食う食人植物だとおもうんだが」
「むーなんですかその言い方」
ゆきの言葉に俺が冗談で返す。
それにゆきは不満げに頬を膨らませて返す。
見かねた早紀がこちらに声をかけてくる。
「はいはい、夫婦漫才はそこらへんにしとき」
すると急にゆきは頬を赤らめて照れる。
「早紀、それぐらいにしてやってくれ」
「ふふ、冗談や」
俺がそういうと早紀はそう楽しそうに言った。
やっぱり人をからかうのが好きらしい。
というかコイツとは実の妹のような感じがしてしまった、恋愛対象としては見れない気がする。
「なぁ海斗」
「んだよー」
「お前もそのベッドの呪縛にとらわれたのか?」
「ったりめーだろ」と枕に顔をうずめながら自慢げに答える海斗。
やはりみんな疲れているらしい。
「お前もだろ?」
海斗に聞かれる。
実際先ほどからしっかり受け答えをしてはいるが、今すぐにでもベットに飛び込みたいほどには疲れている。
「寝ちまおうぜ」
「……そうだな」
海斗の甘言に遂に俺は折れて、ベットに倒れこんだ。
ソファーの上に放り投げたスマホは犠牲者68人を出した脱線事故を報じていた。
「おぉ! 綺麗ですよこれ!」
俺たちは翌日、10時頃にホテルを出てガラス工房を見て回っていた。
小樽と言えばガラスと言われるほどにはガラス工芸が盛んらしい。
「おい真! ガラスペンだってよ!」
それに海斗とゆきは目を輝かせて興奮している。
「おまえら落ち着けよ」
俺は彼らにそういうが、それにしても美しい。
一つペンダントを手に取ってみる。
透明なガラスに青色と白色の塗料で装飾されており、縁は金色の金属で囲われている。
なんというか、ゆきに会いそうだなと直感的に思った。
それにゆきはそろそろ誕生日だ。
何か買ってやらねば。
「何ですかお兄様? 私へのプレゼントですか?」
「おわっ」
突然横から声を掛けられて驚いた俺はペンダントを落としそうになる。
「あ? いや。お前に似合いそうだなって思っただけだよ」
俺がそういうとゆきは嬉しそうに喜ぶ。
その喜ぶ少女を俺はなでて、ペンダントを棚に戻した。
んーなんか違うんだよなぁ。
喜ぶには喜ぶだろうけど……。
多分最高の解とは言えないだろう。
「なぁ、ゆき」
俺が声をかけるといつの間にかゆきはペンダントがあるコーナーの横にあるガラスでできたオルゴールを見て回っていた。
「なんですか?」
「誕生日プレゼント、何がいい?」
こういう時は率直に聞くのがいい。
サプライズというのもいいが、それで間違った選択をするぐらいなら正直に聞きたい。
「そーですねぇ」
ゆきは人差し指を顎に当て中空を見つめる。
「お兄様が選んだものならなんでもいいですよ?」
そして、純粋な目で返してきた。
こちらしてはそれが一番困る。
「あ、でも」
返答に困っているとゆきが言葉をつづけた。
具体案が出るかと期待したがその斜め下を来るものだった。
「ペアルックがいいです」
「……考えておく」
まったく具体案が出なくて落胆した俺はそうそっけなく返した。
するとゆきは「楽しみにしていますね」と笑った。
結局俺は悩んだ挙句、早紀に相談して緑色と水色のグラスを買うことにした。
ゆきにそれを渡すと不満げな顔で「早紀さんにそうだんしましたよね?」と聞かれた。
何が悪かったのかはわからないが、多分早紀に相談したのが良くなかったらしい。
今度からは気を付けるとする。
俺たちは電車に揺られていた。
普段うるさいはずの海斗とゆきは二人そろって寝てしまって、俺と早紀はボックス席の向かい合う窓際の席でお互いにそれぞれ肩に眠りについている頭をのせていた。
「ったく……なんでこういう時だけは静かなんかなぁ」
「さぁな」
早紀は海斗を見つめながら笑う。
「でも憎めないだろ」
俺はそう言って肩にもたれかかるゆきの髪をなでる。
「それもそうやな」
「だろ?」
俺はそう言って笑う。
外の景色は緑の平原が広がるばかりだ。
これも北海道らしくて観光客にはウケが良いそうなのだが、正直地元民からすると非常に退屈に思えてしまう。
気が付けば、目の前に座っていた早紀も寝息を立てて寝ていた。
俺もそれにつられるようにして気が付けば眠りに落ちていた。
「お兄様! 乗り換えですよ!」
うぅ……まだ眠っていたい。
ゆきの呼ぶ声に応えるように目をこすって欠伸をする。
「お、おう」
いまだ覚醒しきらない脳でそう答えると自らの荷物を手に持って立ち上がる。
函館から小樽への直通便はない。
故に乗り換えが必須だ。
「ここからは鈍行でゆっくりいくやで」
早紀を先頭としながらホームを歩く俺たち。
今まで特急で来たのだが、これからはどうも鈍行を使うらしい。
「なんでだ? 金はあるんだろ?」
「せやなぁ。ゆっくり景色を見たいからとかどうや?」
海斗が早紀に尋ねた。
函館を出てから数時間、俺たちは草原のなかをつきって来たわけで、海というものを久しく見ていない。
「なるほど」
早紀の答えに納得したのか海斗はそう答える。
「? 鈍行ってなんですか?」
ゆきはまた別な疑問を俺に投げかけてきた。
「あぁ、今まで乗ってきたのは特急っていって大きな駅しか止まらないんだけど、これから乗る鈍行はほとんどの駅に止まるんだよ」
「え? それじゃぁ遅くなってしまいませんか?」
「あ? それはそうなんだが、代わりに安い」
「そういうことですか」
そういって笑うゆき。
どうやら理解してくれたようだ。
「ほないくで!」
早紀はそう言って右手を上げ、ゆきもそれに続いて「おー!」といった。
俺と海斗はそれをほほえましく見守りながら後ろからついていくのであった。
結局小樽についたのは札幌から1時間ほどかかってからのことだった。
日本人が多かった函館から札幌間とは打って変わって外国人が多いことを見ても観光客が多いのだろう。
小樽のモダンなつくりの駅に着くと、周りの流れに乗って外に出る。
「小樽ついたやで!」
駅の建物の前で早紀が叫ぶ。
「おー!」とゆきも腕を上げる。
小樽という街は極端に中心部だけが発展している。
中心地を外に出ればそこら辺の市区町村と変わらないような中規模都市が広がる。
しかし裏を返せば中心部はそう札幌に負けず劣らずの大都市模様を呈しているのだ。
「ほな、ホテルにいくで!」
早紀はそう言って先頭をズンズンと進んでいく。
ゆきもそれに続いてスキップしながら続く。
「なぁ」
「ん?」
海斗は息を切らせながらこっちに言ってきた。
「なんで、俺らあいつらの荷物持たされてるんだ?」
「……さぁ」
そう、先ほどから彼女たちの足取りが軽いのは彼女たちの重い荷物を俺たちが持っているから。
なのだが、俺たちが少しでも遅れようものなら文句を言ってくる。
「なぁ海斗」
「あ?」
「世界って理不尽だな」
「……そうだな」
俺と海斗二人で溜息を吐く。
しかし――
「お兄様! 早く行きましょ?」
「ほら、遅れとるで!」
不思議とこの二人の笑顔を見てしまったら許せてしまう。
「さぁ、もうひと踏ん張りだ!」
俺はそう言うと早紀とゆきのもとに駆け寄った。
「海斗!」
「ったく……わーかったよ!」
俺が振り返って海斗を呼びかけると彼も悪態を吐きながらついてきた。
こんな仲間ができて俺は今。
幸せだ。
「どーん!」
「うぇーい!」
「おほー!」
早紀、海斗、ゆきが立て続けにベットに飛び込む。
「元気だなぁ」
思わず俺はそんなことをつぶやいてからソファーにドスンと座った。
するとゆきがこちらを見てベットをボンボンとたたき始めた。
「迷惑だからやめろ」
「お兄様? 一緒に来ませんか?」
ゆきがこちらを誘惑するような目線を送って来る。
まったく、何処でこんなの覚えたのやら。
「はいはい、今度な」
俺は呆れながら言うとゆきは頬を膨らませながら「据え膳食わぬはなんたらって知らないんですか?」と聞いてきた。
「その膳は多分逆に俺を食う食人植物だとおもうんだが」
「むーなんですかその言い方」
ゆきの言葉に俺が冗談で返す。
それにゆきは不満げに頬を膨らませて返す。
見かねた早紀がこちらに声をかけてくる。
「はいはい、夫婦漫才はそこらへんにしとき」
すると急にゆきは頬を赤らめて照れる。
「早紀、それぐらいにしてやってくれ」
「ふふ、冗談や」
俺がそういうと早紀はそう楽しそうに言った。
やっぱり人をからかうのが好きらしい。
というかコイツとは実の妹のような感じがしてしまった、恋愛対象としては見れない気がする。
「なぁ海斗」
「んだよー」
「お前もそのベッドの呪縛にとらわれたのか?」
「ったりめーだろ」と枕に顔をうずめながら自慢げに答える海斗。
やはりみんな疲れているらしい。
「お前もだろ?」
海斗に聞かれる。
実際先ほどからしっかり受け答えをしてはいるが、今すぐにでもベットに飛び込みたいほどには疲れている。
「寝ちまおうぜ」
「……そうだな」
海斗の甘言に遂に俺は折れて、ベットに倒れこんだ。
ソファーの上に放り投げたスマホは犠牲者68人を出した脱線事故を報じていた。
「おぉ! 綺麗ですよこれ!」
俺たちは翌日、10時頃にホテルを出てガラス工房を見て回っていた。
小樽と言えばガラスと言われるほどにはガラス工芸が盛んらしい。
「おい真! ガラスペンだってよ!」
それに海斗とゆきは目を輝かせて興奮している。
「おまえら落ち着けよ」
俺は彼らにそういうが、それにしても美しい。
一つペンダントを手に取ってみる。
透明なガラスに青色と白色の塗料で装飾されており、縁は金色の金属で囲われている。
なんというか、ゆきに会いそうだなと直感的に思った。
それにゆきはそろそろ誕生日だ。
何か買ってやらねば。
「何ですかお兄様? 私へのプレゼントですか?」
「おわっ」
突然横から声を掛けられて驚いた俺はペンダントを落としそうになる。
「あ? いや。お前に似合いそうだなって思っただけだよ」
俺がそういうとゆきは嬉しそうに喜ぶ。
その喜ぶ少女を俺はなでて、ペンダントを棚に戻した。
んーなんか違うんだよなぁ。
喜ぶには喜ぶだろうけど……。
多分最高の解とは言えないだろう。
「なぁ、ゆき」
俺が声をかけるといつの間にかゆきはペンダントがあるコーナーの横にあるガラスでできたオルゴールを見て回っていた。
「なんですか?」
「誕生日プレゼント、何がいい?」
こういう時は率直に聞くのがいい。
サプライズというのもいいが、それで間違った選択をするぐらいなら正直に聞きたい。
「そーですねぇ」
ゆきは人差し指を顎に当て中空を見つめる。
「お兄様が選んだものならなんでもいいですよ?」
そして、純粋な目で返してきた。
こちらしてはそれが一番困る。
「あ、でも」
返答に困っているとゆきが言葉をつづけた。
具体案が出るかと期待したがその斜め下を来るものだった。
「ペアルックがいいです」
「……考えておく」
まったく具体案が出なくて落胆した俺はそうそっけなく返した。
するとゆきは「楽しみにしていますね」と笑った。
結局俺は悩んだ挙句、早紀に相談して緑色と水色のグラスを買うことにした。
ゆきにそれを渡すと不満げな顔で「早紀さんにそうだんしましたよね?」と聞かれた。
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