僕に双子の義兄が出来まして

サク

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「悠暉君、この弁当、千秋に渡してくれる?」
「千秋君に?分かった。渡しておくね。行ってきます」
「ありがとう、いってらっしゃい」

そんなある日の朝、義理の母の美月さんに頼まれて弁当を二つ持って学校に行った。千秋君はヤンキーの方で優等生の方は千春君だ。千春君と千秋君の苗字は雪宮乃、高校卒業まで、美月さんの実家の名前を名乗ることになっている。美月さんも同じく雪宮乃だよ。僕は菅野悠暉。え?紹介が急に雑になったって、ごねんね。

 今、僕の中で重大な問題ができたのだよ。それは、了承したのはいいが、どうやって渡そうかという重要かつ早急に解決しなければならない問題が。だって、お弁当だから、昼前には渡したいし。だけど、学年が違う2年の教室って行きにくいよね。ましてや、あの二人は人気者、平凡な自分がお弁当を持って行った日には針の筵である。 
 次の日には学校中に広まり、面倒なことになりそうだ、耐えられない僕の精神が。でも、お弁当、美月さんの頼み、心を決めて、会いに行くしかない。そう決意を高めて、学校に向かった。

《キ―ンコーンカーンコーン》

…2限目の終わりのチャイムが鳴った。僕は机の上に倒れ込む。千秋君のお弁当は未だに僕のカバンの中にあるのだ。くっ、行けなかった。いつも通り学校について時間があったのに行けなった。ハードルが高すぎる。
 一限目の終わった時も15分ある休憩時間も活かすことなく、二限目が始まり、たった今、終わったのだ。
途方に暮れる僕は窓の外を見た。そして、この窓際一番前の席であることに感謝した。
そこから見える渡り廊下を千秋君が通っていくのが見えたのだ。今なら渡せる、そう思った僕は慌てて、鞄からお弁当を出し手に持って教室から出て走った。実際はお弁当がぐちゃぐちゃになっても困るので早歩きだ。これを逃したら後がないそんな気持ちだった。

「千秋君」

渡り廊下を渡って左右確認、後ろ姿と周りに人がいないことを確認する、良かった誰もいない安心して渡せると声をかけた。
千秋君は僕の声に反応して止まってくれたみたいだ。

「千秋君止まってくれてありがとう。これ、美月さんから、お弁当、良かった昼前に渡せて」

千秋君にお弁当を渡して、手を振ってじゃあねと声をかけて教室に戻った。
千秋君に渡せたという安心感から、すっぽりと抜けていた千秋君の服装が普段しないネクタイをしていたこと、普段着ないブレザーまで着ていたこと普段はしている髪をワックスでセットしていなかったことそれがすべて、優等生の千春君と恰好が同じだったこと、なにより二人がたまに入れ替わりをしていること。
千秋君がずっと立ち止まり僕を見ていたことを僕は気づかず達成感から、次の授業をうきうきとして準備していた。

そしてこの日、僕が僕の平穏を壊すミスはこれだけではなかった。それは学校からの帰り道の事、電車を降りのんびりと帰宅途中、千春君に会った。顔や手や服に血が付いていてびっくりした。

「ちちち千春君,血、血がだだ大丈夫?」

千春君に近づくとポケットからハンカチを出して顔を拭き、首を傾げる、傷が無かったからだ、その時ブーブーと僕の携帯が鳴った。父さんからだ。ハンカチを千春君の手に握らすと電話に出た。

『父さん、どうしたの?』
『悠暉、悪い。頼まれていた、マヨネーズと牛乳を買いに行けそうにないんだ。今日は、早く帰れると思ったが、トラブルが起きて少し遅くなる。もしかしたら、泊りになるかもしれない。すまん』
『いいよ。分かった。マヨネーズと牛乳は僕が買いに行くよ』
『ありがとう。頼んだ』
『うん、お仕事頑張ってね』

そう言って電話を切った。お父さんも美月さんも忙しいから、家の家事とかは僕が引き受けている。結婚する前、美月さん達はお手伝いさんを雇っていたみたいだけど、お父さんと二人の時も、僕は家事をしていたこともあり、人に頼むのが申し訳なくて、というか落ち着かなくて、僕が家事を申し出たのだ。目の前でじっと僕の事を見てくる千春君を不思議に思いながら

「千春君、僕、お店寄ってから帰るね、ちゃんと怪我の治療はしてね」

と声をかける。ちなみに僕が千秋君、千春君呼びは二人に了承得ている。敬語も家族になるのだから良いと最初の内に言われたのだ。

ここでの僕のミスはなんでしょう?
答えは千春君が普段、キッチリしている服をワイシャツのみ着て、着崩していたこと普段はしない髪をワックスでセットしていたことそのことに血に気を取られて気づかなかった事だ。この日がまさかの交換日だったってことだね。
そのことを知った僕は思わず聞いてしまったよ。
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