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銭湯では家族専用の個室に入る予定でいた。受付でそのことを伝えるけど、受付のお姉さん達は僕が話しかけても反応しないで、終始、千秋君と千春君の顔を見て話しかけている。ゆっくりしたくて天然温泉、源泉かけ流しの銭湯に来たのに、僕の存在をないことにして、全然違う説明をして個人情報を聞き出そうとしている。二人も困っているけど、銭湯が初めてな二人はどうすればいいのか迷っているようだ。
紙に書いてある内容をチラッと見て、言っていることと書いていることの矛盾を発見したみたいだ。二人の目が冷めていくのが分かった。
さっきまで、柔らかな眼ざしをしていたのに。
僕はこれじゃだめだとお腹に力を入れて、大きな声を出した。
「受付の、お姉さん。家族個室で、お願い。料金此処に置いとくから。ここのカードって一人持っていたら、必要ないよね。僕が持っているから、大丈夫」
カードを作る際に書く紙を返し、机の上にお金を丁度にして置く。一人のお姉さんが鬱陶しそうにこちらをチラっと見たが気にしない。
別のお姉さんが個室のカギを取って千春君に渡そうとしたので、それも僕が取って、貰うことにした。そのお姉さんには睨まれたが気にしない。鍵をポケットに入れると二人の手を取りその場を離れ、個室に向かう。
慣れないことをして、震えてしまっている僕の手に二人が気づき、お姉さん達に殺気を放ち恐怖に落としていたことにも気づかず、冷えていった瞳に温かみを取り戻して欲しくて、元凶さんから離すべく二人を引っ張っていった。
だから二人が、外に何か指示を出していたことも知らなかった。二人の父方の一族が財閥で凄い権力持ちである事も美月さんも実はいい所のお嬢さまだなんて知らなかった。実は父もそうだとは知らなかった。母とは駆け落ちしたと嘘か本当か分からない話を冗談交じりで聞いたことがあってもそれが事実とは知らなかった。
僕にこの土地に来てから護衛が付いていたこともお父さんが再婚してから護衛が増えたことも知らなかった。
「ごめんね。」
個室の部屋の入ると僕は謝罪をした。まさかこんな事になるなんて思わなかった。
二人が嫌な思いをしたのは僕が銭湯に誘ったからだ。
「「お前の所為じゃない。気にするな」」
二人は僕の頭を撫でながら、そう言ってくれた。
「ほら、温泉楽しむんだろ」
千秋君がそう言って服を脱ぎだした。
「そうそう、俺達も楽しみだったんだよ。悠暉と銭湯に行くの」
そう言って千春君も服を脱ぎだした。
「ぼくも。ふふ、ありがとう千春君、千秋君」
僕も服を脱ぐとタオルを持って浴室に向かう。裸の二人を見て、鏡の中の自分を見る。
あれ可笑しいなぁ、一歳しか違わないのに。二人と違って、僕の身体はとても貧相に見えるや。
か、鏡が可笑しいのかもしれない、きっとそうだよ。そうに、き、決まっている。
「どうしたの?」
千春君に聞かれ、千秋君も不思議そうにこちらを見る。
二人とも何故か、こちらをガン見している気がする。僕も二人をガン見したいけど、泣けてくるからチラ見程度にしておくよ。
「この世は無情だと思ったの。気にしないで」
片やスタイルも良くて、筋肉も付いて綺麗な身体をしている義兄達と筋肉が浮き上がらない、のっぺらな僕の身体、なんだか前が霞んでくるようだ。気にしたら負けだよ。自分にそう言い聞かせて持っていたタオルを肩にかけ、二人に声を掛ける。
「いざ出陣だね」
「「ああ」」
二人は顔を背けて答えた。ガーンだよ。落ち込むよ。背けるほど、全てが貧相でごめんよ。
紙に書いてある内容をチラッと見て、言っていることと書いていることの矛盾を発見したみたいだ。二人の目が冷めていくのが分かった。
さっきまで、柔らかな眼ざしをしていたのに。
僕はこれじゃだめだとお腹に力を入れて、大きな声を出した。
「受付の、お姉さん。家族個室で、お願い。料金此処に置いとくから。ここのカードって一人持っていたら、必要ないよね。僕が持っているから、大丈夫」
カードを作る際に書く紙を返し、机の上にお金を丁度にして置く。一人のお姉さんが鬱陶しそうにこちらをチラっと見たが気にしない。
別のお姉さんが個室のカギを取って千春君に渡そうとしたので、それも僕が取って、貰うことにした。そのお姉さんには睨まれたが気にしない。鍵をポケットに入れると二人の手を取りその場を離れ、個室に向かう。
慣れないことをして、震えてしまっている僕の手に二人が気づき、お姉さん達に殺気を放ち恐怖に落としていたことにも気づかず、冷えていった瞳に温かみを取り戻して欲しくて、元凶さんから離すべく二人を引っ張っていった。
だから二人が、外に何か指示を出していたことも知らなかった。二人の父方の一族が財閥で凄い権力持ちである事も美月さんも実はいい所のお嬢さまだなんて知らなかった。実は父もそうだとは知らなかった。母とは駆け落ちしたと嘘か本当か分からない話を冗談交じりで聞いたことがあってもそれが事実とは知らなかった。
僕にこの土地に来てから護衛が付いていたこともお父さんが再婚してから護衛が増えたことも知らなかった。
「ごめんね。」
個室の部屋の入ると僕は謝罪をした。まさかこんな事になるなんて思わなかった。
二人が嫌な思いをしたのは僕が銭湯に誘ったからだ。
「「お前の所為じゃない。気にするな」」
二人は僕の頭を撫でながら、そう言ってくれた。
「ほら、温泉楽しむんだろ」
千秋君がそう言って服を脱ぎだした。
「そうそう、俺達も楽しみだったんだよ。悠暉と銭湯に行くの」
そう言って千春君も服を脱ぎだした。
「ぼくも。ふふ、ありがとう千春君、千秋君」
僕も服を脱ぐとタオルを持って浴室に向かう。裸の二人を見て、鏡の中の自分を見る。
あれ可笑しいなぁ、一歳しか違わないのに。二人と違って、僕の身体はとても貧相に見えるや。
か、鏡が可笑しいのかもしれない、きっとそうだよ。そうに、き、決まっている。
「どうしたの?」
千春君に聞かれ、千秋君も不思議そうにこちらを見る。
二人とも何故か、こちらをガン見している気がする。僕も二人をガン見したいけど、泣けてくるからチラ見程度にしておくよ。
「この世は無情だと思ったの。気にしないで」
片やスタイルも良くて、筋肉も付いて綺麗な身体をしている義兄達と筋肉が浮き上がらない、のっぺらな僕の身体、なんだか前が霞んでくるようだ。気にしたら負けだよ。自分にそう言い聞かせて持っていたタオルを肩にかけ、二人に声を掛ける。
「いざ出陣だね」
「「ああ」」
二人は顔を背けて答えた。ガーンだよ。落ち込むよ。背けるほど、全てが貧相でごめんよ。
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