僕に双子の義兄が出来まして

サク

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「そういえば、千秋達この子の名前呼んでいたよな。知り合いなのか?」
「ああ、去年、親が再婚したと言っただろう、その相手の息子で俺達の義弟になった。名は悠暉だ。俺達の苗字、雪宮乃は大学から菅野に変更する予定だ」
「悠暉、こっちにおいで、紹介したいから」

千春君に呼ばれて、これ幸いと石田君から離れる。
助かった、石田君の圧が凄まじすぎる。

「5連覇、おめでとう、悠暉」
「おめでとう。学年一位って言っていたが、まさか全て、満点だったとは知らなかった」
「千春君、千秋君、ありがとう。快く、お祝いのケーキが……何でもないよ。うん。千秋君と千春君もずっと、満点だってさっき聞いたよ。凄いや。僕も更新できるよう頑張るよ。えっと、義兄がお世話になっています。菅野悠暉と申します。よろしくお願いします」

千春君、千秋君に声を掛けて、ケーキは内緒だ。石田君が怖すぎる。
二人の友達に挨拶をする。頭を下げこれでいいのかな?と首を傾げてしまう。千秋君と千春君に頭を撫でられた。

「ふふっ、丁寧ですね。僕は石田孝之です」
「俺は大山大輔な」
「おもろい奴だな。俺、美濃前忠司」
「俺は紀藤楓だ。よろしくな」
「石田孝則、悠暉と呼ばしてもらうよ。俺の事は孝則で、5連覇かハハッ快くケーキね」

実は敬語キャラじゃないだと。そして、ケーキのこと、バレている。
は、腹黒さんだ。お腹の中は真っ黒黒黒のすけだよ。

「誰のお腹が真っ黒だって?」

あわてて両手で口を押える前に伸びてきた石田君の手に頬っぺたを抓られ、伸ばされる。

「伸びる、餅みたいな。頬だね」
「いとぁいもよ」

てっていっと、頬を抓る石田君もとい、孝則君の両手を外し、千春君と千秋君の後ろへ周り、千秋君と千春君の間から、顔を出す。

「ゆっ君でも、悠暉でも好きに呼んでいいよ。ノリノリ君、しかし、今年はにぎやかだね。ノリノリ君のおかげかな」

「ノリノリって、ふふっははは」
「ちょっ、兄さん笑い過ぎ、孝則と呼んでといったよね」
「ノリノリ君はノリノリ君だよ。ノリノリ君はノリノリ君に、けぇっていだよ」

抓られて、ヒリヒリする頬をさすりながら、決定事項を強めに伝える。
ノリノリ君のお兄さんは笑い過ぎてひぃひぃ言っていた。この中で一番笑い上戸かもしれない。

「諦めな。ノリノリ」
「いいじゃねぇかノリノリ」
「ノリが悪いぞ、ノリノリ」

ノリノリ君は3年のお兄さんの友人達から弄られていた。


「卓球はいつもこんなに人が少ないのかな」
隣にいる千春君が不思議そうに声を掛けてきた。
「いつも、決勝戦は対戦相手と二人きりで終わるよ」

「審判とか、得点係はどうした?」
今度は千秋君に問われた。
「自分の試合終わったら、皆、スタコラササだよ。それに、執行委員の生徒も担当の先生も午後からは来ないよ。だから、今日は千秋君と千春君が来てくれて嬉しい。審判も得点係もありがとう」

千秋君と千春君が来たのはちょうど、三位決定戦が終わり、その二人が居なくなった後だった。中等部の三位決定戦も、決勝戦も高等部の三位決定戦も、その審判と得点係は僕がしたよ。執行委員の生徒も担当の先生も午後は発熱した他のバスケとかサッカーの対戦を見たいがため、居なくなるのだよ。

卓球、常連の僕に、しかもご飯前に、後はよろしくって言って終わるのだ、もう来る気は無いってことだよね。毎年そんな感じだから、気にしないよ。

だから、高等部の優勝を決める決勝戦は応援もなく、二人きりの試合、他の人達は終わったら居なくなるため、お互いに点を入れたら、得点ボードを自分で捲りに行く。虚しさ溢れる空間にかすかに聞こえる歓声が高等部の方の盛り上がりを教えてくれる。
そう、高等部の方の。

中等部で二人きりでも、盛り上がるよ。本気でやるし、虚しさをぶつけるように相手の方も本気でやってくれる。
今回は僕の他に人がいないのを見て、審判と得点係を千春君と千秋君がしてくれたんだ。
ノリノリ君は先輩達と千秋君と千春君と一緒にやって来ていた。
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