僕に双子の義兄が出来まして

サク

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大事な話

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僕は二人が親戚を黙らすために権力を得ようとして頑張っていることを知らなかった。
千春君と千秋君がずっと婚約を断り続けていたことも、僕との関係が気に入らないと、僕に危害を加えようとしていた人がたくさんいたことも、何も知らない僕を、疎ましく思っている人がいることも知らなかった。

ただ、ただ、楽しい時を過ごしていた。誕生日や、一か月遅れのハロウィン、恋人として過ごしたクリスマス。ニマニマしていた。いつかこの関係に終わりが来ても、大丈夫なように、たくさん甘える気でいたんだ。
今年も終わりに差し掛かるその日。

「悠暉、大事な話がある」

真剣な表情をする千春君と千秋君に僕の緊張は高まった。もしかして、新作の御飯が、まずかったのだろうか?ドキドキだ。

「御飯はとても、美味しかったよ」
「うん、ごめんなさい」

僕は、お口を押さえながら謝った。笑った二人にほっとする。

「悠暉は俺達との関係をどう思っている」

恋人同士じゃ、そういえば、僕、恋人だと思っていたけど、付き合ってくださいなんて、聞いても言っても無いや。
お互いに想いを交わし同じなら、恋人でいいのだろうか、まさかそう言った行為だけをする。行為人では無いよね。[こ]と[い]の間に[う]が入っただけでセフレ感満載だよ。頭の中で、そんな漢字の不思議が出てくる。行為人なんて聞いたことないし、違うよね。
これは、もう告白してはっきりさせるしかない。

「千秋君、千春君、僕と、恋人になってください。僕とお付き合いしてください、体だけの関係は嫌です」
「「そういえば、そう言った言葉を言ってなかったな。こちらこそ、お願いしたいことだ」」

僕の表情はすごいことになっていると思う。そう、効果音つけるなら、パァァァと光り輝きふにゃんと崩れたに違いない。

「ふふふ」

零れる笑い声。わーいと叫んじゃいそう。

「わっふ」

二人に抱きしめられて、驚きの声が僕の口から出た。

「「あ~できることなら、このまま搔っ攫いたい」」
「え?」

僕を膝に乗せた二人は僕と目を合わせると微笑んだ。

「悠暉、全て、話すから聞いてほしい」
「泰明さんと、母さんには悠暉をくださいと伝えた」
「え?」
「二人には悠暉がいいならと言われた」

これは、トントン拍子で結婚まで行きそうな感じ。あれ、じゃぁ、僕、結婚してくださいって言っても良かったのかな。

「そのセリフは俺達に言わせてくれ」
「うん。僕、お口を押さえとくよ」

ちょくちょく、僕のお口はお話の花を折っている気がする。

「ふふっ、楽しいからいいよ」

僕は首を振る。重要な話で、つい、口に出ているようじゃ、僕の思う悪徳弁護士に慣れない。悪徳じゃなく、ポンコツって付きそうだ。今から訓練せねば。

「ギン爺と、りっちゃんは悠暉の母、喜美子さんの両親で悠暉の祖父母だ。天王グループは知っているか?」
「ギン爺はその総帥で、昔、後継は喜美子さんの愛する人か、一族以外で選ぶと宣言したそうだ」
「俺達は、その後継になろうと思う」

思わず、二人の腕をつかんでしまった。

「「悠暉?」」
「あ、ごめんなさい」

慌てて、二人から手を放し、自分の口へと戻す。
あの日の夜、本当は起きていたことは内緒だ。

「その為の引継ぎに時間が掛かるらしく、大学受験は受けるが、場合によって通わないかもしれない。そして、その間、悠暉に会えなくなる。本格的には卒業式の翌日から動き出す予定だが、俺達は冬休みか明けから少しずつ動き出していこうと思う」
「悠暉、早くて十年は掛かるらしいだが、俺達はもっと早めに終わらすつもりでいる」

聞いていくに連れ、いやだと耳を塞いでしまいたくなる。思いを伝えて恋人になったのに、
二人といられないなんて、終わりが早すぎる。そんなの不安しかないよ。

「「その間、待っていてくれないか?」」

でも、二人の真剣な瞳に、その僕との未来を考えてくれた言葉に、僕も自分の思いを伝えようと思った。

「僕は、二人が好きだよ。僕に触れるとき、そっと触れる二人が好き、抱きしめるとき、ゆっくりと力を入れて、僕が苦しくないように確かめながら抱きしめていく二人が好き。甘いものを食べた時、輝く千秋君の瞳が好き、辛いものを食べた時に輝く千春君の瞳が好き、僕のどんな料理もおいしそうに食べてくれる二人が大好き。僕は、千春君と、千秋君をずっと、それこそ、一生好きでいる自信はある」

そう、僕は二人を一生好きでいる自信は山のようにそれこそ、宇宙に届くほどある。

だけど、逆に二人が僕のどこが好きなのかわからない、好かれている自信は無いのだ。離れている間に、二人が本当に好きな人ができたら、どうしようと思う。

魅力的な二人を、喉から手が出るくらいほしいと思う人なんてたくさんいるし、たくさん出てくるかもしれない。もし、これから出会った人の中で、それぞれ好きな人ができたら、この約束を二人はいつか後悔するかもしれない。
そう思ってしまう。

「でも、二人はその約束、後悔しない?二人が僕を好きになったわけが見分けが付くことなら、この先、たくさん現れるだろうし、僕の素顔はみんな怖がるくら「「悠暉」」

二人に名前を呼ばれ、僕はお口は止まってしまう。

「「俺達は言い方を間違えたようだ」」
「え?」
「俺達は、全て終わらせたら、海が見える丘に家を建て、悠暉を掻っ攫いに行くから、どこに居ても、見つけ出して連れていく。」
「その後は離さない。たとえ、怖気づいた悠暉が俺達に隠れて逃げ出してもだ」

「それに悠暉、俺達は悠暉の素顔を見ている」
「え?」
「幼いころからのアルバム、泰明さんに許可貰って何枚か、印刷してある」
「え、ずるい。僕も二人の写真欲しい」
「ハハッ、それに、寝起きで覚醒するまでの間な、悠暉の言う、素顔のままだよ」
「ああ、俺達、悠暉の素の表情を見るのが好きで、悠暉より早く目覚める癖がついたくらいだ」

ぇ?僕が起きた時、いつも二人はもう起きていたけど、そうなの?

「いいの?僕、期待しちゃうよ。ずっと一緒に居られるって、いつか、誰かに二人を取られてしまうんじゃないか、思っていた。だから、そのいつかが来るまで二人に甘えまくろうって。もし、そんな未来が来ても、二人を陰で支えられるようになろうって思っていたんだよ。でも、千春君と千秋君が僕の一生を望んでくれるなら、僕は幾らでも待つよ。僕も二人の為にできることをして、二人の隣に立てるように頑張るから、ちゃんと、迎えに来てね」

「「ああ、必ず」」

二人が動き出すタイミングで、僕も動き出そう。二人のとなりに立つために、どんなことからも二人を守るために。国内だけでは足りない。うん。決めた。僕は国際弁護士になろう。
だから、もう、終わりにしよう。


それから、僕は早め早めの計画を立てた。基本は一に勉強、二に勉強、三、四はバイトで五に勉強、うん。大まかな計画はこんな感じ。

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