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あと、僕には今年、学校でやらねば成らぬことがあるのだ。
それは、
「それは?」
ノリノリ君にそう聞かれ、僕は戸惑ってしまう。
「あれ、僕、口に出てた」
「ああ、はっきりと僕には今年、学校でやらねば成らぬことがあるのだ。
それはと呟いていた、今度は何をするきだ」
「聞かなかったことにして下さい」
無意識の癖って直すの難しいね。
もう、考え事しているとき口押さえとこうかな。いや、それが癖になっても困るし。
まあ、それは、まず置いておきまして、僕も後を継ぐ者を探さないといけないのですよ。
春、それは、初々しい少年、少女たちが未来に向けて一歩踏み出す季節。
張りのある制服に、張りのあるつややかな頬、真新しい靴下に真新しい靴、はしゃぐ姿は若さの証拠。
やっぱり、高一より中一だよね。うん、うん。
「何を、頷いているのか知らないけど、聞かなかったことにはできないから。で?」
「え?う~ん。ノリノリ君は知っているし、いいか。ほら、あの果物を用務員の爺さんたちと育ててくれる人、探そうかと。僕、今年で卒業だから、こっそり伝統として引き継いでもらおうと」
「ああ、アイスとか食べ物系の方もか?」
「え?そっちは別に。僕が作りたかっただけだし」
「は?それは、あいつらが泣くから、探してやってくれ、そういえば、その材料費はどうしていたんだ」
「最初は僕の趣味で作っていたから、僕から出していたけど、そのうち、先生たちの融資になったよ。年に何回か、リクエストと共にお金を渡してくるんだ。車も出してくれるし、材料も、浮き浮きとして選んでくれるし、実家が農家の先生や商家の先生もいるし、目利きの仕方やら、なんやら、教えてくれるし、どうなんだろう。先生に確認してみる」
という会話をノリノリ君とした次の日、先生から、探すように言われましたとも。
ということで、僕は、ノリノリ君を、巻き巻きに巻き込んで、土いじりが好きな少年(中一)と料理が好きな少年(中一)を探している。なぜ、中学一年生限定なのか、それは、長くその作業をしてほしいのと、まだ、若い脳なら、僕に唆されてくれるのではという、狙いがあったりする。
中学校という、思春期を過ごし、自分なりに色々考え、選択してきた高校一年は今度はきっと恋の季節。邪魔してはいけない。・・・・僕の身長以上にもう、大きい子が多いし、年近くの子に声をかけるのって、臆病心がひょこって出てしまうのだ。ついつい昔を思い出して緊張してしまう。
「ユっ君って、結構学校で好き放題しているよね」
なんて言うノリノリ君の言葉を何も聞こえませんと耳をふさいだら、頬を伸び伸びさせられた。ノリノリ君や、君は僕の頬を伸び伸びしすぎだと思う。
でも、その問題は、意外にも早く解決してしまった。たまたま一人で帰った日の帰り道、僕は公園のブランコに一人ボーと、乗っている久森君の弟君を見つけた。
彼は僕のことをムキムキイエイと呼んでいた子だ。なぜか、イエイがウエーイに進化して、僕の事をウエーイさんと呼ぶようになった。訂正は難しかったので諦めた。
どうやら、中学は、お兄さんの久森君と同じところに行きたいけど、学力が足りないらしくて、悩んでいたらしい。親からも、小学校の先生からも普通の市立中学でいいんじゃないと言われて、公園で一人、途方に暮れていたみたいだ。
その久森君の弟君の名前は、力也君。彼は家庭菜園を嗜んでいるみたいだった。彼は来年一年生だし、これは、適任ではないかと思って、久森君を呼んで、話し合いをした。
そして、僕は勉強を教える代わりに、入学したら、用務員の爺さんたちと一緒に畑仕事をしてくれるようお願いした。
もう一人の料理担当者は、昔助けた幼稚園児の子だった。あの時、年長さんだったらしいその子は、立派な中学一年生へと成長していた。その子のお兄さんは今、千秋君のチームがよくお世話になっている喫茶店の店長をしていて、料理にも興味があり、たまにお兄さんと料理をしているそうだ。これは適任だよね。彼の阿賀沢菊人君、そのお兄さんの名前は黎人さん。
授業を終えたら、週三回は菊人君と料理をし、毎日、2時間は久森君の家にお邪魔して、力也君に勉強を教え、そして、バイトだらけの一学期を過ごした。学期末テストはいつも通り一位を取り、ノリノリ君と千冬君に頬を片方ずつ掴まれ、のびのびされた。痛かったよ。
千夏君は七位だった。六位の壁はとても大きいらしい。ちなみに六位は久森君だった。こっそり、久森君が僕に教えてくれた。
それは、
「それは?」
ノリノリ君にそう聞かれ、僕は戸惑ってしまう。
「あれ、僕、口に出てた」
「ああ、はっきりと僕には今年、学校でやらねば成らぬことがあるのだ。
それはと呟いていた、今度は何をするきだ」
「聞かなかったことにして下さい」
無意識の癖って直すの難しいね。
もう、考え事しているとき口押さえとこうかな。いや、それが癖になっても困るし。
まあ、それは、まず置いておきまして、僕も後を継ぐ者を探さないといけないのですよ。
春、それは、初々しい少年、少女たちが未来に向けて一歩踏み出す季節。
張りのある制服に、張りのあるつややかな頬、真新しい靴下に真新しい靴、はしゃぐ姿は若さの証拠。
やっぱり、高一より中一だよね。うん、うん。
「何を、頷いているのか知らないけど、聞かなかったことにはできないから。で?」
「え?う~ん。ノリノリ君は知っているし、いいか。ほら、あの果物を用務員の爺さんたちと育ててくれる人、探そうかと。僕、今年で卒業だから、こっそり伝統として引き継いでもらおうと」
「ああ、アイスとか食べ物系の方もか?」
「え?そっちは別に。僕が作りたかっただけだし」
「は?それは、あいつらが泣くから、探してやってくれ、そういえば、その材料費はどうしていたんだ」
「最初は僕の趣味で作っていたから、僕から出していたけど、そのうち、先生たちの融資になったよ。年に何回か、リクエストと共にお金を渡してくるんだ。車も出してくれるし、材料も、浮き浮きとして選んでくれるし、実家が農家の先生や商家の先生もいるし、目利きの仕方やら、なんやら、教えてくれるし、どうなんだろう。先生に確認してみる」
という会話をノリノリ君とした次の日、先生から、探すように言われましたとも。
ということで、僕は、ノリノリ君を、巻き巻きに巻き込んで、土いじりが好きな少年(中一)と料理が好きな少年(中一)を探している。なぜ、中学一年生限定なのか、それは、長くその作業をしてほしいのと、まだ、若い脳なら、僕に唆されてくれるのではという、狙いがあったりする。
中学校という、思春期を過ごし、自分なりに色々考え、選択してきた高校一年は今度はきっと恋の季節。邪魔してはいけない。・・・・僕の身長以上にもう、大きい子が多いし、年近くの子に声をかけるのって、臆病心がひょこって出てしまうのだ。ついつい昔を思い出して緊張してしまう。
「ユっ君って、結構学校で好き放題しているよね」
なんて言うノリノリ君の言葉を何も聞こえませんと耳をふさいだら、頬を伸び伸びさせられた。ノリノリ君や、君は僕の頬を伸び伸びしすぎだと思う。
でも、その問題は、意外にも早く解決してしまった。たまたま一人で帰った日の帰り道、僕は公園のブランコに一人ボーと、乗っている久森君の弟君を見つけた。
彼は僕のことをムキムキイエイと呼んでいた子だ。なぜか、イエイがウエーイに進化して、僕の事をウエーイさんと呼ぶようになった。訂正は難しかったので諦めた。
どうやら、中学は、お兄さんの久森君と同じところに行きたいけど、学力が足りないらしくて、悩んでいたらしい。親からも、小学校の先生からも普通の市立中学でいいんじゃないと言われて、公園で一人、途方に暮れていたみたいだ。
その久森君の弟君の名前は、力也君。彼は家庭菜園を嗜んでいるみたいだった。彼は来年一年生だし、これは、適任ではないかと思って、久森君を呼んで、話し合いをした。
そして、僕は勉強を教える代わりに、入学したら、用務員の爺さんたちと一緒に畑仕事をしてくれるようお願いした。
もう一人の料理担当者は、昔助けた幼稚園児の子だった。あの時、年長さんだったらしいその子は、立派な中学一年生へと成長していた。その子のお兄さんは今、千秋君のチームがよくお世話になっている喫茶店の店長をしていて、料理にも興味があり、たまにお兄さんと料理をしているそうだ。これは適任だよね。彼の阿賀沢菊人君、そのお兄さんの名前は黎人さん。
授業を終えたら、週三回は菊人君と料理をし、毎日、2時間は久森君の家にお邪魔して、力也君に勉強を教え、そして、バイトだらけの一学期を過ごした。学期末テストはいつも通り一位を取り、ノリノリ君と千冬君に頬を片方ずつ掴まれ、のびのびされた。痛かったよ。
千夏君は七位だった。六位の壁はとても大きいらしい。ちなみに六位は久森君だった。こっそり、久森君が僕に教えてくれた。
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