僕に双子の義兄が出来まして

サク

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小話

 美月視点2

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談笑を終え帰るとき、ふと智義さんに報告しに行こうと思って、帰りの電車と違う電車に乗り込んだ。
彼が眠るお墓にたどり着いた時、笑ってしまった。

「先に報告済ましていたのね」

整えられ、綺麗な花が飾られていた。そのお墓に

「私の分は入りそうにないわね」

買ってきたお花を見る。特別綺麗な花を差し込み、残りは持って帰ることにした。

「ねぇ、智義さん。同性同士の結婚のことなのに、私、全然、反対しようとする気持ちがわかないのよ。
複数婚なのに、可笑しいかしら、あの三人なら、ありだと思ってしまうの。なんだか、悠暉君がいるなら、二人は大丈夫だなんて、思ってしまうのよ。一つだけ、あなたに謝ることがあるの。あなたの血をここで絶やしてしまうことを許してね。ふふっ、お相手の悠暉君は貴方に少し似ているわよ」

あの後、腹を抱えて笑う私に悠暉君は言ったの、その言葉が、私の家の事情を知ったあなたが言った言葉と重なった。

「うん、美月母さんが笑うなら、僕はあの人達を許してあげなくもない。次はないけど」
【君が俺の傍で楽しく笑ってくれるのなら、俺はあいつらを許そう、引き離すけど】

智義さんはいつも私のことを守ってくれた。

雪宮乃一族は当主第一主義の一族。当主の決定は絶対で、反論は許されない。そう育てられてきた。だから、次期当主の弟は優遇され、私の立場は姉だとしても低かった。それが当たり前だったから、何かを思うことはなかった。幼いころから、諦めていた。
自由恋愛に憧れていたこともある。無理だとわかっていた。

22歳の時、本家からの縁談の申し込みが来た。それは三つ年下、19歳の本家の次期当主の智道さんとその双子弟の智義さんが断っても色々なところからくる縁談にめんどくさくなって、さっさと、妻を迎えようと、親戚一族から、結婚していない女性を集め、お見合いをすることになったものだった。

豪華なホテルの、これまた豪華な個室で呼ばれるまで順番を待つ。この時の為に私に縁談が無かったのねなんて思っていた。当主お父様はこのタイミングを狙っていたのだと、会って、断られたなら、別の誰かに直ぐ様、嫁がされるだけ。

雪宮乃一族でその候補になったのは、香菜と私だけだった。他の一族からも多くの女性が来ていた。本家から近い親戚から順番にお見合いが始まり、その順番が来るまで、ぼーと待っていた。選ぶのは、私じゃない。選ぶのは彼ら。


順番が来て、扉を開けて中にはいり、智義さんと、目が合った時の衝撃は今でも忘れられない。
心臓が大きくなり、頭に鐘の音が鳴り響いた。今まで感じた事のない感覚にわけもわけらなくなって、逃げ出したのを覚えている。
そう、あの時、混乱に混乱を極めた私は、直ぐに後ろを向いて扉を開けて、逃げ出した。わけがわからないまま、走り、エレベーターも通り過ぎ、階段を降り、駆け抜けていた。だから、後ろから手を捕まれ、抱き寄せられた時は驚いた。その人がお見合い相手の先ほど、顔を合わせたばかりの智義さんだったことにも、驚いて

「やっと、追いついた」

あんなに衝動のまま動いていた体が、今度は固まったまま動かなくなった。ただただ、顔が熱くて、走っている時以上に心臓の音がしていた。自分の感情が分からなさ過ぎて私は泣いてしまった。

「俺は君に一目ぼれをしてしまったようだ。どうか泣かないでくれ、嫌なら断っても」

慌てながら、それでも、泣き止まそうと必死な智義さんに私は、この分からない衝動や湧き上がった感情を必死に言いつのった。何を言ったのか、いっぱい、いっぱい過ぎて分からない。

ただ、段々と、智義さんの表情が嬉しそうに変わっていったのを覚えている。私は必死なのに、なんでそんなに余裕なの、そう思ったことも覚えている。

今、思えば、人を好きになったことがない私は、智義さんに一目ぼれをし、その感情が制御できなくなって、癇癪を起してしまったのだろうけど。

今思い返しても、とても恥ずかしい、いい大人が、幼児のように泣きながら、思いを伝えていたなんて、それがはたから見たら、泣きながら、愛を伝えているように見えていたなんて、結婚した後、そのことを知ったときは部屋に鍵をかけて閉じこもったわ。

「あなたが好きよ。どんなに時がたっても、この想いは忘れられない」

私と共に、あの三人の幸せを温かく見守っていきましょう。

「私も強くなるわ。あの三人を守るために」

秋風と共に、楽しそうに笑う智義さんの声が聞こえた気がした。

帰り道、私がもうすでに結婚を認めて、智義さんに報告していたことに気づき笑ってしまった。
まだ先だった。
三人で挨拶に来てからだったわね。
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