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第二章【入会されますか?】
第4話―「道理だな」
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「まず、この出会い掲示板ファインド・ラブの目的なんだが……」
黒髪の青年、サイゾーが一旦そこで言葉を区切った。キシリッシュはそれを青年が言い淀んだと思って内心ほくそ笑んだのだが、続く言葉に身体が凍り付いてしまった。
「なあキシリッシュさん、あんたは騎士で普段忙しいんだろ? そうするとなかなか異性と良い出会いってのは無いんじゃないのか?」
初見のはずの人間がキシリッシュにとって最大の秘密事項を一発で言い当ててしまった。これが恐怖で無くてなんだというのだ。
「きっ貴様?! 予言者か?!」
「へ?! い、いや、仕事が忙しいと真面目な人間ほど真剣に取り組むだろ? そうすると……なんていうか仕事人間になっちまう奴が多い。あんたなんかは凄く真面目そうだから、仕事一辺倒なんじゃないか?」
またしても言い当てられる。だが今度は不快では無かった。そして真面目に仕事をしているから出会いが無いという理屈に目から鱗だった。
「う、うむ。たしかに、そうだな。仕事はやり甲斐があるが忙しい……。決して王国を非難しているわけでは無いぞ?! 仕事を与えられるのは騎士として名誉なことなのだからな!」
「わかってるって! だから剣を向けるな!!」
「わかればいい。……それで、出会いが少ない事と掲示板にどんな関係があるというのだ?」
いや、そもそも掲示板でどうやって金を儲けるつもりなのだろうと、この時になってキシリッシュは思い至った。冒険者ギルドの掲示板は、多々ある依頼料の内から経費を出しているのだろうが、掲示板だけで金を取る方法など思いもつかない。
やはり何か詐欺的行為なことをしているに違いない。
キシリッシュは気持ちを入れ直して、話の続きを聞くことにした。
「逆に聞くが、どうして忙しいと出会いの機会がないと思う?」
「質問に質問で返すな……ふむ。それは……忙しいからだろう?」
「答えになってねぇよ……。正解はな、空いている時間が他人とずれる事と、相手の事を知るのに時間がかかるからだ」
「ふむ」
キシリッシュは銀色のガントレットを胸の前で組む。なるほど、相手の事を知るのに時間がかかるというのは真理だ。だが他人と時間がずれるというのはどういう意味だろうと、その事を聞いてみた。
「そうだな、騎士さんが夜の8時から12時まで暇だったとするだろう? だが、人によって朝の7時~9時が暇だったり、夕方の6時~8時までが自由時間の奴も大勢いるよな」
「そうだな」
何を当たり前の事を言っているのだと、キシリッシュは薄めでサイゾーを睥睨した。
「するとキシリッシュさんが、朝に暇な人たちと交流する機会はほとんど無いわけだ」
「道理だな」
「ところがだ!」
突然黒髪の青年は立ち上がり、びしっとキシリッシュに指を突きつけた。
「なっなんだ?!」
青年の突然の変容に思わず腰のモノを抜いてしまいそうになったが、ぐっと我慢する。
「この掲示板を使えば、そんな時間がずれている方と交流する機会がぐぐっと増えるのです!」
青年は唐突にに語り口調で敬語混じりにのたまう。芝居がかった演出にキシリッシュは半身を引いてしまった。
「ど、どういう事だ?」
「この掲示板の最大の特徴は、あらかじめ自分の事情や都合を優先して、相手を選んだり、選んでもらったりするところにある」
青年は何事も無かったかのように落ち着きを取り戻し、すとんと椅子に座り直した。
「そうだな……論より証拠だ、掲示板に貼ってある書き込みを読んでみろよ」
「う、うむ」
実は先ほどからやたら気になっていた掲示板である。見ろと言われれば「これも仕事だからな」などと内心思いつつも、キシリッシュは興味深げに掲示板に貼られたわら半紙を読んでいくのであった。
引き返せるラインがすぐ目の前に引かれていると気がつかずに……。
黒髪の青年、サイゾーが一旦そこで言葉を区切った。キシリッシュはそれを青年が言い淀んだと思って内心ほくそ笑んだのだが、続く言葉に身体が凍り付いてしまった。
「なあキシリッシュさん、あんたは騎士で普段忙しいんだろ? そうするとなかなか異性と良い出会いってのは無いんじゃないのか?」
初見のはずの人間がキシリッシュにとって最大の秘密事項を一発で言い当ててしまった。これが恐怖で無くてなんだというのだ。
「きっ貴様?! 予言者か?!」
「へ?! い、いや、仕事が忙しいと真面目な人間ほど真剣に取り組むだろ? そうすると……なんていうか仕事人間になっちまう奴が多い。あんたなんかは凄く真面目そうだから、仕事一辺倒なんじゃないか?」
またしても言い当てられる。だが今度は不快では無かった。そして真面目に仕事をしているから出会いが無いという理屈に目から鱗だった。
「う、うむ。たしかに、そうだな。仕事はやり甲斐があるが忙しい……。決して王国を非難しているわけでは無いぞ?! 仕事を与えられるのは騎士として名誉なことなのだからな!」
「わかってるって! だから剣を向けるな!!」
「わかればいい。……それで、出会いが少ない事と掲示板にどんな関係があるというのだ?」
いや、そもそも掲示板でどうやって金を儲けるつもりなのだろうと、この時になってキシリッシュは思い至った。冒険者ギルドの掲示板は、多々ある依頼料の内から経費を出しているのだろうが、掲示板だけで金を取る方法など思いもつかない。
やはり何か詐欺的行為なことをしているに違いない。
キシリッシュは気持ちを入れ直して、話の続きを聞くことにした。
「逆に聞くが、どうして忙しいと出会いの機会がないと思う?」
「質問に質問で返すな……ふむ。それは……忙しいからだろう?」
「答えになってねぇよ……。正解はな、空いている時間が他人とずれる事と、相手の事を知るのに時間がかかるからだ」
「ふむ」
キシリッシュは銀色のガントレットを胸の前で組む。なるほど、相手の事を知るのに時間がかかるというのは真理だ。だが他人と時間がずれるというのはどういう意味だろうと、その事を聞いてみた。
「そうだな、騎士さんが夜の8時から12時まで暇だったとするだろう? だが、人によって朝の7時~9時が暇だったり、夕方の6時~8時までが自由時間の奴も大勢いるよな」
「そうだな」
何を当たり前の事を言っているのだと、キシリッシュは薄めでサイゾーを睥睨した。
「するとキシリッシュさんが、朝に暇な人たちと交流する機会はほとんど無いわけだ」
「道理だな」
「ところがだ!」
突然黒髪の青年は立ち上がり、びしっとキシリッシュに指を突きつけた。
「なっなんだ?!」
青年の突然の変容に思わず腰のモノを抜いてしまいそうになったが、ぐっと我慢する。
「この掲示板を使えば、そんな時間がずれている方と交流する機会がぐぐっと増えるのです!」
青年は唐突にに語り口調で敬語混じりにのたまう。芝居がかった演出にキシリッシュは半身を引いてしまった。
「ど、どういう事だ?」
「この掲示板の最大の特徴は、あらかじめ自分の事情や都合を優先して、相手を選んだり、選んでもらったりするところにある」
青年は何事も無かったかのように落ち着きを取り戻し、すとんと椅子に座り直した。
「そうだな……論より証拠だ、掲示板に貼ってある書き込みを読んでみろよ」
「う、うむ」
実は先ほどからやたら気になっていた掲示板である。見ろと言われれば「これも仕事だからな」などと内心思いつつも、キシリッシュは興味深げに掲示板に貼られたわら半紙を読んでいくのであった。
引き返せるラインがすぐ目の前に引かれていると気がつかずに……。
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