上 下
66 / 76

第66話マリア救出編⑤

しおりを挟む
 マリア救出のため、ハルトとベネディクタは飛行魔法で騎士団を追跡していた。王都方面に向かって全速力で飛行する。
「ベネディクタ、ずいぶん飛ばしてるけど大丈夫?」
 すぐ隣を飛行するシルフが心配そうに尋ねる。
「平気よ。体もだいぶ慣れて来たし。なにより早く追いつかないと」
「ノ―ムの魔力を感知できるか? そろそろ追いついてもいいころなんだが」
「ストップ! 見つけた。ハルトたちは待ってて」
 シルフが2人を上空に残し、急下降した。

 
 ノ―ムは魔法で身を隠し、町の中へ潜入していた。
 2個中隊を率いるエドワード・グレイ大隊長が、部下たちを引き連れ大衆食堂へ入って行く。彼らの後に続き、ノ―ムも店の中へ入った。
「グレイ大隊長、見張りがあの数では少し心もとないのでは?」
「問題ない。バーリー中隊長がついているからな。あいつは精鋭部隊で名高い第1連隊の元小隊長だ。この日のために、大金をはたいて引き抜いてきた。しっかり働いてもらわねば」
 エドワードは話し終えると、店員に料理と酒を注文した。

(こいつら酒まで頼んで、当分この店から動きそうにないな)
 エドワードたち騎士団の頭の上で、ノ―ムが腕組をして監視を続ける。

「ノ―ム、ねえノ―ム」
「あっ、シルフ。ハルトたちは?」
 小声で呼びかけるシルフに気がつき、ノ―ムが尋ねる。
「ハルトとベネディが来てる。上空で待機してるわ。状況は?」
「数名の見張りを残して、こいつら宴会始めやがった。とんだ間抜けさ」
「好都合ね。奇襲を仕掛けるチャンスだわ。ハルトに知らせてくる」
「頼んだ。私はこいつらの監視を続ける。動きが合ったらすぐに知らせる」
 シルフは頷くと店を飛び出していった。

「ノ―ムの話だと、ほとんどの兵士はお酒を飲んでお店から動かないだろうって。私も確認したけど、マリアを見張ってる兵士はほんのわずかだったわ」
 戻って来たシルフがハルトとベネディクタに報告する。
「見張りの中に背の高い茶髪の弓兵はいた?」
「ん? いたいた。細身のイケメンだったわ。大きな弓を持ってたわ」
 ベネディクタの問いにシルフが答える。
「ノエル・バーリー中隊長だわ」
「オリバーの言ってた要注意人物か?」
「ええ。彼女の攻撃で私は倒れた。私が彼女を引き付けるから、ハルトはマリアをお願い」
「分かった。行こう!」
 ハルトの合図で3人が降下を始めた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【スキル箱庭】無限な時間で、極めろ魔法 ~成り上がり~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:5

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:710pt お気に入り:7,483

愛しているなら何でもできる? どの口が言うのですか

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,699pt お気に入り:3,835

私を捕まえにきたヤンデレ公爵様の執着と溺愛がヤバい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:1,477

♡激おこ豆苗女体盛り♡

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:4

あなたの愛なんて信じない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:117,483pt お気に入り:3,759

令嬢達が海上で拉致されたら、スケスケドレスで余興をさせられました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:134pt お気に入り:89

聖なる☆契約結婚

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,740pt お気に入り:841

処理中です...