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七夕祭り
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しおりを挟む「何か食べたいものとかあるか?」
様々な屋台があり、目移りする中、俺は流奈に問いかけた。
「んー……と言ってもこっちはお金払ってもらう身だから……。気軽に何食べたいとか言いにくいんだよねー」
ははは、と彼女が申し訳なさそうに笑う。
「あー……言ってもやっぱり気にすると思うけどーーほんとそういうの気にしなくていいから」
恐らく、実質彼女と遊べるのはこれで最後になるだろう。祭りが終われば近い内に彼女は親御さんに連れられて家へ帰り、再び会えるのは大学生になってからだ。
どうせなら彼女とは楽しい思い出をつくって別れたい。
「……あれだ、祭りの屋台ってコスパ悪いだろ?俺だといつまでたっても何食べるか決められないんだよ。だから流奈がパパッと決めてくれたら俺としても早く飯にありつけて助かる」
だから遠慮せずに欲しいものを言ってくれ、と言外に言うと
「そう言うなら……」
彼女は不承不承といった感じで頷いた。そして
「あ!綿菓子食べたい!」
次の瞬間には、たくさんの屋台の中から目敏く自分の好物である綿菓子を見つけ、元気にそう言ってきたーー彼女が目を輝かせているのが容易に想像つく。
この切り替えの速さ、見習いたい。
「よしきた」
俺は彼女のルンルンな雰囲気を感じ取りながら、いい加減切り替えて彼女との祭りを満喫しよう、と綿菓子屋へと歩を進めた。
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