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不幸のタネ
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朝起きて、学校に行く準備をする。朝食を食べ、歯を磨き、制服に着替えて玄関の扉を開けた。
「行ってきます」
中からお母さんのいってらっしゃいの声を聞きながら、私は自分の家の前で足を止めた。
少し前までは、ここからすぐ隣に住んでいる幼馴染の男の子を起こしにいっていたのだが、自分がやってしまったことをきっかけに、それは出来なくなってしまった。だからこうして迎えに行かない代わりに、自分の家の前で幼馴染の男の子を待つのだ。
「おはよう」
「ん? ああ、おはよう。待ってたのか?」
「うん、まあね。やっぱり怖いし」
「そうか、じゃあ行くか」
「うん」
怖いと言うのは、半分本当で半分嘘の理由。実際は私がタクミと一緒に登校したかっただけだ。前までは当たり前だったこの状態。左にタクミ、右が私。それをまた元に戻したかった。
ゆっくりゆっくり歩きながら、学校への道を歩く。その間、タクミの口数は少ない。私があんな事しなければ、今も笑い合って登校していたのかな。そう思うと、なんだか悲しくなった。
「中島は出てこないな」
「出てこない方がいいでしょ! もし出て来てまたタクミが殴られたりしたら嫌だよ私」
「なんで俺が殴られる前提なんだよ。どっちかって言うと、ミサキが襲われるだろ」
「その時守ってくれるために一緒に登校してるんだから、結局タクミが殴られるじゃない」
「ああ、まあ確かにそうか」
そろそろ学校が見えてくる。結局登校中に中島君が何かしてくる事は無かった。
「それじゃ、俺は席に着くから」
「ちょっと待ってよ。せっかく早く着いたんだから、こっちで皆んなと話さない?」
「いや、いいよ。俺あのグループの奴らみんな知らんし。大人しく席に着いて本でも読んどく」
そう言ってタクミは自分の席に帰って行った。やっぱりタクミは私とも皆んなとも、あんまり話したくないみたいだ。私はこのとき迷った。このままグループの方に行くか、タクミの方に行くかを。中島君と付き合う前は、私も真っ先に席に着くかタクミのところで話をしてたっけ。そう思いながら、私は2日ぶりに会ったグループの人たちに挨拶しに行った。
授業が終わって放課後。私がグループの人たちと話していると、突然タクミから声をかけられた。グループの人たちといる時にタクミが話しかけてくることは今までなかったから少し驚いたが、どうやらちょっとだけ2人で話があると言うことだった。
「どうしたのタクミ? もう帰るならカバン持ってくるけど」
「その事だけどな、今日は帰り用事があるから送ってけないんだ。だから、グループの奴らに送ってもらってくれ」
「わかったけど、用事って何? あ、また新作ゲームが出たから買いに行くとかでしょ? だったら着いて行くのに」
「あー、いやー、そう言うんじゃなくてだな」
突然タクミが近くに誰かいないかとキョロキョロし始める。そして近くに私以外いないのが分かると、話し始めた。
「実は俺、今日はちょっと彼女と用事があるんだ」
「え」
私は最初何を言われたのか分からなかった。タクミに彼女? 昨日好きな人が出来たって言ってたから、そう言う人がいるのは知ってたけど、昨日の今日だ。嘘だと言った方がまだ信じられる。
「か、彼女って、昨日好きな人がいるって聞いたばかりじゃない」
「ああ、だからその人が俺の彼女になったんだよ。昨日のあの後に告白しに言ってさ。だからさ帰りはなるべく俺以外の奴と帰ってくれると助かる。あ、後今行ったことは誰にも言うなよ」
「う、うん」
「よし、じゃあまた明日な」
そう言って去って行くタクミの背中を、私はただ見ていることしか出来なかった。
その後私はグループの皆んなに家まで送ってもらい、制服のまま布団に潜った。目を瞑れば、今日帰る前に話したタクミの顔が思い浮かんでくる。
「すごく笑顔だったなぁ」
彼女の話をするタクミの顔は、今まで見たどんなタクミの顔より輝いていて、素敵だった。
ずっと一緒にいた幼馴染。その彼の隣に居るのはもう自分じゃないんだ。そう思った時、私の両目から涙が溢れ出した。
「あれ、なんでだろ。あれ」
拭いても拭いても涙が止まらない。ポケットティッシュがなくなって、机の上に置いてある箱型のティッシュを取りに行こうと立ち上がる、
すると、ちょうど机に置いてあった鏡に自分の顔が映り込んだ。
それを見た時、なぜ涙が止まらないのかわかった。そうだ、私は…。
「私はタクミのことが好きだったんだ」
不幸のタネを拾った気がした。
「行ってきます」
中からお母さんのいってらっしゃいの声を聞きながら、私は自分の家の前で足を止めた。
少し前までは、ここからすぐ隣に住んでいる幼馴染の男の子を起こしにいっていたのだが、自分がやってしまったことをきっかけに、それは出来なくなってしまった。だからこうして迎えに行かない代わりに、自分の家の前で幼馴染の男の子を待つのだ。
「おはよう」
「ん? ああ、おはよう。待ってたのか?」
「うん、まあね。やっぱり怖いし」
「そうか、じゃあ行くか」
「うん」
怖いと言うのは、半分本当で半分嘘の理由。実際は私がタクミと一緒に登校したかっただけだ。前までは当たり前だったこの状態。左にタクミ、右が私。それをまた元に戻したかった。
ゆっくりゆっくり歩きながら、学校への道を歩く。その間、タクミの口数は少ない。私があんな事しなければ、今も笑い合って登校していたのかな。そう思うと、なんだか悲しくなった。
「中島は出てこないな」
「出てこない方がいいでしょ! もし出て来てまたタクミが殴られたりしたら嫌だよ私」
「なんで俺が殴られる前提なんだよ。どっちかって言うと、ミサキが襲われるだろ」
「その時守ってくれるために一緒に登校してるんだから、結局タクミが殴られるじゃない」
「ああ、まあ確かにそうか」
そろそろ学校が見えてくる。結局登校中に中島君が何かしてくる事は無かった。
「それじゃ、俺は席に着くから」
「ちょっと待ってよ。せっかく早く着いたんだから、こっちで皆んなと話さない?」
「いや、いいよ。俺あのグループの奴らみんな知らんし。大人しく席に着いて本でも読んどく」
そう言ってタクミは自分の席に帰って行った。やっぱりタクミは私とも皆んなとも、あんまり話したくないみたいだ。私はこのとき迷った。このままグループの方に行くか、タクミの方に行くかを。中島君と付き合う前は、私も真っ先に席に着くかタクミのところで話をしてたっけ。そう思いながら、私は2日ぶりに会ったグループの人たちに挨拶しに行った。
授業が終わって放課後。私がグループの人たちと話していると、突然タクミから声をかけられた。グループの人たちといる時にタクミが話しかけてくることは今までなかったから少し驚いたが、どうやらちょっとだけ2人で話があると言うことだった。
「どうしたのタクミ? もう帰るならカバン持ってくるけど」
「その事だけどな、今日は帰り用事があるから送ってけないんだ。だから、グループの奴らに送ってもらってくれ」
「わかったけど、用事って何? あ、また新作ゲームが出たから買いに行くとかでしょ? だったら着いて行くのに」
「あー、いやー、そう言うんじゃなくてだな」
突然タクミが近くに誰かいないかとキョロキョロし始める。そして近くに私以外いないのが分かると、話し始めた。
「実は俺、今日はちょっと彼女と用事があるんだ」
「え」
私は最初何を言われたのか分からなかった。タクミに彼女? 昨日好きな人が出来たって言ってたから、そう言う人がいるのは知ってたけど、昨日の今日だ。嘘だと言った方がまだ信じられる。
「か、彼女って、昨日好きな人がいるって聞いたばかりじゃない」
「ああ、だからその人が俺の彼女になったんだよ。昨日のあの後に告白しに言ってさ。だからさ帰りはなるべく俺以外の奴と帰ってくれると助かる。あ、後今行ったことは誰にも言うなよ」
「う、うん」
「よし、じゃあまた明日な」
そう言って去って行くタクミの背中を、私はただ見ていることしか出来なかった。
その後私はグループの皆んなに家まで送ってもらい、制服のまま布団に潜った。目を瞑れば、今日帰る前に話したタクミの顔が思い浮かんでくる。
「すごく笑顔だったなぁ」
彼女の話をするタクミの顔は、今まで見たどんなタクミの顔より輝いていて、素敵だった。
ずっと一緒にいた幼馴染。その彼の隣に居るのはもう自分じゃないんだ。そう思った時、私の両目から涙が溢れ出した。
「あれ、なんでだろ。あれ」
拭いても拭いても涙が止まらない。ポケットティッシュがなくなって、机の上に置いてある箱型のティッシュを取りに行こうと立ち上がる、
すると、ちょうど机に置いてあった鏡に自分の顔が映り込んだ。
それを見た時、なぜ涙が止まらないのかわかった。そうだ、私は…。
「私はタクミのことが好きだったんだ」
不幸のタネを拾った気がした。
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