幸せの形

夜瑠

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きっかけは小さなことだった。

高校生のころから好きでずっと部屋に置いていたアロマスティックの香りが気持ち悪いと感じた。
好きな香りだったけれど、まぁこんなに長い期間嗅いでいれば嫌になることもあるよな、と思った。


今までずっと睡眠時間は短い方だったのに急に毎日起きているのが辛くなった。こんなに眠くなるなんて初めてで身体が疲れているのかな、と思った。


小さな頃からドーナツが好きだった。特に素朴なオールドファッションが好きでコンビニやドーナツ屋さんに行くと必ず買っていたけど急に見ただけで無理になった。


そして、生理が来ない。元々不順で酷い時は3週間遅れる時もあったから今回もそれだろうと思った。
けれどあまりにもその他の変化がと酷似しているから、もしかしたら今回のは生理不順ではないのかもしれないと思った。


怖くなって、私は確実に診断できる産婦人科にすぐ予約を取った。

どうして、りっくんとするとき、必ずゴムをつけていた。だからそんなはずない。

けれど、もしそうだったら。

そう思うと少し幸せな気持ちもあった。
大好きな人の子供がいるのに喜ばないはずが無い。大学をやめないといけないし、まだお金もないけれど幸いりっくんは社会人だし、私もほんの少しだけど貯金はある。無一文じゃないだけ、何とかなる。

デキ婚だって周りに後ろ指指されるかもしれないけど、今の時代そんなに珍しくない。そう自分を鼓舞した。

実際周りの同級生にはもう数人子供を産んだ人や結婚した人がいた。

その中にはデキ婚の人が多くいて、逆にそっちの方が多いくらいだった。

だから私がそうなっても一瞬周りで噂になってもすぐ収まってその他大勢に戻る。


だから大丈夫。


この時、私の中に堕ろすという選択肢はなかった。もしこの時その覚悟を決めていたら何か変わっていたのだろうか。



「おめでとうございます。妊娠されてますよ。」

「…にんしん……」


ほぼ確定の気持ちで病院には行ったものの実際にそう診断されると呆然としてしまった。

まだ薄い腹に手を添える。


ここに子供がいる。


私とりっくんの愛の結晶。

そこで私はふと疑問だったことを聞いてみる。


「あの、私は彼とそのする時絶対ゴムをつけていたんです…それでも妊娠したっていうのは……その避妊具が不良品だったとか、ってことなんですか…?」

「その可能性も否定はしませんが、避妊具を付けたからといって100%妊娠しないわけではないんです。なので絶対避妊できる、なんてのは実際難しいんですよね。あくまでも避妊具は妊娠リスクを下げる、というためのものですから。」


その話を聞いて確かに保健体育の先生もそんなことを言っていた気がするな、と思い出した。

もう名前も忘れてしまった先生だけどあの時もう少し真面目に聞けば良かったなと思う。


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