ハルカ・カナタの宇宙戦争

morikawa

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第1章

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 お母さんが一階のキッチンから呼ぶ大きな声で、私は目を覚ました。ぼんやりとした頭で目覚ましを見る。もう7時半だ。また目覚ましを止めちゃったみたい。

 変な夢見たせいか、なんだか頭がぼんやりするよ。ってやばやば、早く起きなきゃ。でも、かと言って慌てないのが私のすごい所だね。自分に感心するよ、まったく。

 まず、ふわとあくびをしてから伸びをする。そしてまだまぶたのしっかり開かない顔を猫のように軽くすりながら、のそのそとベットから起き出す。

 まだ5月で朝は少し寒いので、暖かい布団が名残惜しいけど仕方が無いね。

 ぼーっとベットの横に立つと、さっきまで見ていた夢がまるでフラッシュバックするように頭に浮かんだ。なんだったんだろう、あの夢は。

 幼稚園生くらいの私の前に、突然空から現れた黒くて大きい不思議な乗り物。私はそれに乗ってあっちこっちを飛び回ったんだ、はしゃぎながら。

 でも最後の方は覚えていない。でも夢にしちゃ、大分はっきりとしてたなあ。まるで昔のことを思い出してたみたいに。

 その時、再び1階からお母さんの呼ぶ声が聞こえた。さすがに少しは慌てなくちゃかな。

 私は淡いピンクのパジャマをベッドに急いで脱ぎ捨てて、それからセーラー服を着込み、またあくびをしながら1階へと降りる。

「おはようございます、カナタ」

 キッチンでお母さんの手伝いをしていたハルカが声を掛けてくれる。

「おはよ~」

 私は眠い目を擦りながら返事をする。それからお父さんとお母さんにもご挨拶。

 お父さんはキッチンとダイニングから続くリビングで、新聞を見ながらテレビの朝のニュースを見ていた。いつも思うけど、同時にやって頭に入るのかな、それ。

『それでは次のニュースです』

 テレビでは綺麗なキャスターのお姉さんがニュースを読み上げている。

 キッチンで私が出来ることは無いし、新聞にも興味は無いので、ソファのお父さんの横にちょこんと座って、一緒にニュースを眺めることにした。

『昨晩から、不思議な形状をした小惑星が無数に発見されています』

 テレビ画面がお姉さんから切り替わり、正方形、ううん立方体かな? そんな形をした黒い何かの写真が映る。

「あ、これって!」

 私は思わず叫んだ。これ、昨夜見たやつに似てる!

「ハルカ、昨日のがテレビに出てるよ!」

 私は立ち上がってテレビの向こうにあるキッチンのハルカを見る。

「……そうですか……」

 ハルカはなぜか少し迷う様な表情を見せると、うつむいて食器に何か盛り付ける作業を再開した。見ないのかな? せっかくの大ニュースなのに。今日学校で自慢しよ!

 私はニュースをしっかり聞くべく、ソファに座り直した。

『立方体のように見えるこの小惑星、正確な数は分かっていませんが、かなりの数が太陽へ向け、ほぼ一列に移動しているようです。太陽系外から飛来したものではないか、と見る専門家も居ます』

「ネットではUFOじゃないかって騒いでるよ」

とお父さんが教えてくれた。まあ、形が普通の小惑星じゃないし、そうなのかな?

「ね~、ハルカ~! あれってUFOだと思う?」

 私はまた立ち上がってハルカに声を掛ける。ハルカは慌てたように口をぱくぱくとして何か言おうとしたけど、結局黙ってうつむいた。なんだろうね、気になるな……

 でも、すぐに朝ごはんが始まったので、私はその疑問はとりあえず忘れることにした。

 やっぱり食べるのって良いよね。人間食べる為に生きてるような気がするよ。あれ、逆? まあいいじゃない、そんな小さなことは。

 宇宙の広大さに比べれば、人の悩みや疑問なんて大したことないよ。あ~、やっぱり半熟の目玉焼きって最高! 舌にとろりとからみつくような感覚がまたたまらないよね!

 で、いつもの通り、半分ハルカのを頂いてから、私達は学校へ出発する。

 行ってきますと両親に声を掛けてから、お揃いのマウンテンバイクに飛び乗る。

 男子っぽいけど、この辺は結構田舎で、道がでこぼこしてる所があるからこれの方が楽なんだ。私のはコスモブルー、ハルカのはブラック。本当にハルカは黒が好きだな~と今更ながらに思う。

 自転車を漕いで10分くらいで、学校へ無事到着する。徒歩で通学してるみんなにおはようと挨拶しながら、私達は校門をくぐる。そして駐輪場で自転車とお別れしてから、急いで校舎へ。

 やばやば、けっこうギリギリだよ。
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