ハルカ・カナタの宇宙戦争

morikawa

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第1章

1-9

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 準備運動して、50m走っただけなのに、なぜかやたら疲れた体育が終わり、待ちに待ちました昼休みがやってきましたよ!

お母さんが作ってくれたお弁当を下げて、みんなで校舎の屋上へおしゃべりしながら向かう。

 屋上緑化とかいうことで、芝生や花壇、休息用の建物や芸術家がデザインしたとかいう壁画とかがあって、公園みたいになってるんだ。

 お弁当を食べたりおしゃべりしたり、ボール遊びや写生まで出来る生徒憩いのスポットだよ! 眺めも良いしね。

 みんなでお決まりの場所、屋上の端で眺めの良い所に座ってお弁当を広げる。

 やったよ、今日はミートボールだ! 昨夜ハンバーグを作った時に準備しておいたものだと私は推理しちゃうね。手際良いよ、ぐっじょぶお母さん!

 みんなで楽しくおしゃべりしながら昼ごはん。ああ、生きてるって感じがするね。勉強は嫌いだけど、やっぱり学校は最高だよ。

「おいひいね~」

 私はミートボールを頬張りながら、ハルカに言った。

「……」

 だけどハルカは気付かないようで、無表情な顔をさらにむっつりとさせたまま、せっかくのお弁当を食べずにフォークでつんつんとミートボールを突いてた。

「ハルカ?」

 私がもう一度呼ぶと、ハルカはビクっとして、

「な、なんでもありません!」

 そう言いながらミートボールをフォークで半分に切ってから口に入れた。どうしたんだろう、本当に。

そういえば今日はあんまりみんなとも話をしてない。あんまり喋る方じゃないけど聞き上手で、ミツキちゃんに言わせれば突っ込み上手なのに。

「どうしたの、変だよ、ハルカ。何かあるなら遠慮なく言って?」

 私はハルカの頭を軽く撫でながら言った。そうだよ、私はお姉ちゃんなのだ。双子とはいえ。

「そうよ。いつもハルカが面倒見てるんだから、何か困った時くらいカナタを使いなさいよ。遠慮なく」

「人が姉としての愛と責任感で大事なお話している時に、ミツキちゃんってひどい子!」

「いや本当のことだし」

「そうですね~、本当ですよね~」

「二人とも、本当のことを言っちゃだめだ!」

「ひどっ! 私知らない間にひどい子達に囲まれてる?!」

 繊細な私はあんまり弄られると泣くよ? 泣いちゃうよ? まったく! ってハルカも仏頂面を歪ませて笑い堪えてるし!

  なんだかその顔がおかしくて、私はぷっと吹いてしまった。みんなもハルカも、もちろん私も耐えられなくなって大笑いしてしまった。

 回りの人達がなんだろうと見てたけど、笑い始めちゃうと止まらないね。

 しばらく笑ったせいでなんだか変な感じになっちゃったけど、私はハルカにもう一度尋ねた。

「で、どうしたの? 何でも言ってよ」

 ハルカは無表情に戻って、少し下を向いて考えてから、

「本当に、ですか?」

 と答えた。

「うん、本当にホント」

「……何を言っても、何があっても……私のことを嫌いになりませんか?」

 ハルカはそう言ってから、驚いたような顔をした。

 あれ、何か驚くことあったっけ?

  まるで自分の言ったことにびっくりしたみたいだよ? 良く分からないけど、何が起きたって私がハルカのことを嫌いになるわけがない。それだけは自信ある。

「本当に、本当に、ホント」

 私は胸を張ってそう答える。ハルカはほっとしたような、悲しいような不思議な顔になった。そしてそれを無理に無表情に戻してから、

「では……お腹が痛いので早退したいです。カナタ、付いてきて下さい」

 と、小さな声で言った。

「も~、そんなことなら早く言えばいいのに」

 私は駐輪場で他の自転車の間から自分のを引っ張り出しながらハルカに言った。

 早退するっていう先生への連絡はヒフミちゃん達にお願いして、私達は教室からカバンを取るとさっさと校舎から出て来たんだ。

 早く帰らないとハルカの体が心配だし、サボるわけじゃないんだけど小心者の私としてはあんまり他の人に見られたくないし。

「まあ、いろいろとありまして……」

 けろりとした様子で私と同じ作業をしながらハルカは返事をする。あんまり病気っぽく見えないけど、具合はどうなのかな? でもハルカ真面目だし、仮病とは思えないんだけど……

「大丈夫なの? 自転車乗れる?」

 大丈夫そうに見えまくりだけど、一応私は尋ねる。

「ええ、覚悟を決めたら吹っ切れました」

 ハルカは自転車にゆっくりとまたがりながら答えた。

「覚悟?」

「はい。私はカナタや『お父さん』『お母さん』、それに友人達に甘えていたことに気付きました。今更ですが。……ですから、皆さんに迷惑な私の願望を捨て、カナタの為に、私の本分に立ち戻ることにしたのです」

「願望? 本分?」

 なんだかよけい分からなくなってきたよ?

「え~と、さっぱり分からないのでございますが…?」

「まずは家へ戻ってからにしましょう。カナタは完全に忘れているようですから、そこで詳しく説明します。それから決めて下さい」

 ハルカは私の横をすっと自転車を漕ぎながら通り過ぎる。私は慌てて自転車に乗り、その後を追った。

「忘れてる? 決めるって何? 私が?」

「そう、カナタが。カナタが全てを決めるのです」

「はい?」

「カナタ自身とこの地球の今後を。場合によってはこの宇宙の未来をも」

 ……全然分かりません。
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