11 / 41
第1章
1-10
しおりを挟む
ハルカを前に、私達は一列で自転車を漕ぐ。
朝はいろいろおしゃべりしながらだったけど、今は無言。ハルカはあれっきり何も言わないし、私も何を聞いたら良いのか分からなかったから。
ただ、ぼんやりとハルカの後ろ姿を見ながら、昨夜のことを思い出した。
望遠鏡で良く分からないものを見たこと。ハルカが不思議な様子を見せたこと。それに変な予感がしたこと。そして今朝見てた夢。
いい加減な性格の私は今まで深く考えてこなかったけど、これって全部繋がっていたのかな、やっぱり。
そして、ひょっとすると…そこまで考えてた私は、頭をぶんぶんと振って、変な考えを吹き飛ばす。そしてハルカを見る。そんなわけないよね、ハルカ。
私が珍しく色々と考えているうちに、私達は家へと到着した。ハルカはガレージに自転車を止めて、鍵を掛けてから庭の方へと向かう。私もその後を追った。
うちの庭は結構広い。土地が安かったんだって。まあ、お母さんがやってる家庭菜園と、お隣との目隠しにささやかな生垣があるくらいで何もないんだけど。
その真ん中でハルカは足を止めた。そして付いてきた私の方へ向き直る。
「まずは、やはり私の本体を見てもらう必要がありますね」
ハルカはいつもよりも表情を消して、静かにそう言った。
「本体…」
私はそう呟く。ハルカの、本体。妹の本体ってのも変な話なんだけど、私は驚いたことに違和感を覚えない。そうだ、私はそれを知っている…?
「光学迷彩を下方だけ解きます。少し視界がぶれますよ?」
ハルカがそう言うと、ぐらりと周囲の景色が歪んだ。でも別に地震とかが起きた訳じゃないし、私がふらついた訳でもない。目に見えるものが全てぐにゃりと形を変えたんだ。
だけどそれはほんの一瞬だけ。すぐに視界は元に戻った。大きな何かが私の真上に姿を現したのを除いて、だけど。
「あ、あ…?」
私は上を向いて、ぽかんと口を開けたままつぶやく。
真っ黒な、何か。細長い船のような、翼の無い戦闘機のような。
私の家より確実に大きい。学校の25mプールより長い。そんなものが音も立てずに、浮かんでいる。
そして私はこれを知っていた。夢の中で見た、そして乗った、あの乗り物が、目の前にある。
私は口を開いたまま、硬直した首をむりやり曲げ降ろして、ハルカを見る。ハルカはちょっと悲しそうな顔をしながら、
「これが私の本体。リノマ帝国のモルデウス子爵が建造した、共振能力者(ウェーブチューナー)専用戦闘艦『遥かな先へ』号です。思い出しましたか?」
と、小さいけど良く通る声で言った。
朝はいろいろおしゃべりしながらだったけど、今は無言。ハルカはあれっきり何も言わないし、私も何を聞いたら良いのか分からなかったから。
ただ、ぼんやりとハルカの後ろ姿を見ながら、昨夜のことを思い出した。
望遠鏡で良く分からないものを見たこと。ハルカが不思議な様子を見せたこと。それに変な予感がしたこと。そして今朝見てた夢。
いい加減な性格の私は今まで深く考えてこなかったけど、これって全部繋がっていたのかな、やっぱり。
そして、ひょっとすると…そこまで考えてた私は、頭をぶんぶんと振って、変な考えを吹き飛ばす。そしてハルカを見る。そんなわけないよね、ハルカ。
私が珍しく色々と考えているうちに、私達は家へと到着した。ハルカはガレージに自転車を止めて、鍵を掛けてから庭の方へと向かう。私もその後を追った。
うちの庭は結構広い。土地が安かったんだって。まあ、お母さんがやってる家庭菜園と、お隣との目隠しにささやかな生垣があるくらいで何もないんだけど。
その真ん中でハルカは足を止めた。そして付いてきた私の方へ向き直る。
「まずは、やはり私の本体を見てもらう必要がありますね」
ハルカはいつもよりも表情を消して、静かにそう言った。
「本体…」
私はそう呟く。ハルカの、本体。妹の本体ってのも変な話なんだけど、私は驚いたことに違和感を覚えない。そうだ、私はそれを知っている…?
「光学迷彩を下方だけ解きます。少し視界がぶれますよ?」
ハルカがそう言うと、ぐらりと周囲の景色が歪んだ。でも別に地震とかが起きた訳じゃないし、私がふらついた訳でもない。目に見えるものが全てぐにゃりと形を変えたんだ。
だけどそれはほんの一瞬だけ。すぐに視界は元に戻った。大きな何かが私の真上に姿を現したのを除いて、だけど。
「あ、あ…?」
私は上を向いて、ぽかんと口を開けたままつぶやく。
真っ黒な、何か。細長い船のような、翼の無い戦闘機のような。
私の家より確実に大きい。学校の25mプールより長い。そんなものが音も立てずに、浮かんでいる。
そして私はこれを知っていた。夢の中で見た、そして乗った、あの乗り物が、目の前にある。
私は口を開いたまま、硬直した首をむりやり曲げ降ろして、ハルカを見る。ハルカはちょっと悲しそうな顔をしながら、
「これが私の本体。リノマ帝国のモルデウス子爵が建造した、共振能力者(ウェーブチューナー)専用戦闘艦『遥かな先へ』号です。思い出しましたか?」
と、小さいけど良く通る声で言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる