ハルカ・カナタの宇宙戦争

morikawa

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第1章

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「あ…う…?」

 頭の中がぐるぐると回る。

 不安に思ってたことが突然現実として突きつけられた、そんな感じ。

 不安? ううん、私は知っていた。ただ、幼い日の夢のようにあいまいになっていただけで。ハルカは本当は、ナントカ専用セントーカン。ハルカサキゴー。

「カナタは私の本体を必要としてくれませんでしたので、妹として傍に居ました。ですが緊急事態ですので、命令は無視させて頂きます」

 ハルカは表情を消したまま、静かに淡々と喋る。

「緊急事態?」

 混乱したままの私が反射的に尋ねると、目の前の何もない空間に、半透明で長方形の箱みたいのが現れた。

「うおっ?」

 私は驚いて飛び退く。

「大丈夫、疑似立体デバイスです。パソコンやタブレットのようなものですよ」

 ハルカがそう言うと、箱の中に今度は平面のウインドウが開き、何か丸いものが映る。

 あれ、これって見たことあるよ? 太陽だ! 何年か前の日食の時に、望遠鏡にフィルターを付けて見たんだよ。黒点もあるし、間違いなさそう。

「分かりましたか。そう、これは太陽です」

 私の表情をちらりと見たハルカはそう言ってから、幾つか見える黒点の一つを指差した。

「これを見て下さい」

「黒点…じゃないの?」

 私はそう言いながら、箱に手を伸ばす。疑似っていうだけあって、箱は遊園地で見た立体映像みたいなものらしく、指が何の抵抗も無く入る。

 そのままウインドウのハルカが指差す黒点に触れると、ふっとその部分が別ウインドウに拡大されて開いた。おお、本当にタブレットみたいだよ? って、あれ? この黒点、なんだか四角い形してる? なんか最近似たようなものを見た気がするけど…?

「それは昨夜見た正方形の飛行体が展開し、集結したものです」

 ああ、それそれ。ニュースだとあんなのが沢山太陽へ向かってるって言ってたね。太陽との距離が分からないけど、これって相当な面積だよね?

「ふーん、あれがこんなになるんだね、すごいね~。誰がやってるのかな?」

「さあ、それはまだ不明です。星間国家はこの銀河に幾つもありますからね」

「セーカンコッカ?」

「まあ、簡単に言えば、幾つもの星を領有している宇宙人の国ということですよ」

「わあ、宇宙人って本当に居るんだ…見てみたいなあ」

「私もそれに近い存在なのですが…それより緊張感が無いですね、一大事ですよ? 緊急事態ですよ?」

「え? な、何か問題なの? あの黒いのそんなに危険なの?」

「…そうですか。では説明します。この星だとダイソン殻と呼びますね。簡単に言うと、高性能な太陽光パネルで太陽を全て覆ってその光や熱を全て閉じ込め、巨大なエネルギー源として使おうとしているのですよ」

「へえ、エコだねえ」

「…まあ建造しようとしている側にとってはそうかもしれませんが。地球はどうなりますか? 太陽からの光がまったく来なくなるんですよ? まあ、地球内部の熱がどう影響するのかデータはありませんが、カナタは知っているでしょう? 太陽の光がほとんど届かない遠い惑星、例えば天王星とかの表面温度を」

「えーと、マイナス200度は超えてたような……?」

 そう答えて、私は頭が真っ白になった。地球がマイナス200度? 寒すぎるよ! み、みんな生きてられないよ! 凍っちゃうよ!?
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