奴隷白書

くねひと

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#6 トイレへ向かう短くて長い道のり

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「ご、ご主人様、ト、トイレに行かせて下さい」
「トイレ? トイレに行って何をしたいんだよ?」
 答えは分かり切っているはずなのに、ご主人様は意地悪い質問をされます。

「答えないのか? 答えないのならずっとこのままだぞ。それでもいいのか?」
「だ、大をさせて下さい………」
「何が『大』だよ。もっと分かりやすく言わなきゃ駄目だ」
「う、うんちを……」
「ちゃんと最後まで言いな」
「ああ………、う、うんちをさせて下さい」
 言い終わった途端、羞ずかしさに顔が上気します。

「そうだ、ちゃんと最後まで言えば、俺だって優しいんだから奴隷のお願いを聞いてやらないこともないんだぜ」
 天井裏からの鎖が外されました。でも後ろ手縛りはそのままですし、両肢も金属パイプに繋がれたままです…………。
「さ、トイレに行ってきな」

 そう言われても、このままでは……。恨めしげに俺はご主人様を振り返りました。
「せ、せめて、両肢を自由にして下さい」
「駄目さ。足をおっぴらいだままでも歩けるだろうよ」
 さ、歩けよとご主人様は俺のお尻をピシリと平手打ちされました。仕方ありません……。便意はあと少しでも気を緩めればダムが決壊するところまできています。
 俺は金属パイプで開脚された両足を左右に踏み出して歩き始めましたが、それは普通に歩く程には歩幅が取れず、便意に苦しむ俺をいらつかせる行進となりました………。

 プレイルームの一角が凹状に引っ込んでいて、そこに和式便器が床から一段高い所にしつらえてあります。ドアはありません………。それがこのSMホテルの趣向なのでしょう。
 ここでは排泄する浅ましい姿をご主人様の視線から逃れる術はいのです。でも、今の問題はまずトイレまでたどり着くことです。亀のような歩みを重ねながら、それでもやっとのことでトイレの前まで来ました。
 
 でも開脚縛りの為に便器にしゃがみこむことはできません。最悪、和式便器に座る形を取ろうか? そんなことを考えながら、トイレに入ろうとしたとき、ご主人様が後ろ手縛りの縄尻をキュッと引っぱり、意地悪く俺の動きを制されたのです。後一歩というところで………。

「ご主人様、縄尻を、は、放して下さい…」
「何で? 俺はお前のご主人だぞ。ご主人様が奴隷を縛り上げた縄尻を持っていてどうしていけないんだよ」
 俺の引っぱる力に負けず、前に進めばいいのさ…。うそぶかれるご主人様に、俺は仕方なく、前へ進もうと腰に力を入れます。しかし………、
「ほらほら、もっと力を入れて歩かないと前へ進まないぞ」
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