転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨

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でんでんの加護付き

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「え……? なにこれ」

 自分の右手に握られていたのは、古き良き日本のおもちゃでんでん太鼓が握られていた。思わず記憶のままにでんでん太鼓を回して鳴らしてみると、なんと深みのあるいい音でしょう……。

「じゃねーよ!!!」

「落ち着いてくださいカリスティア!!! そうですよね。色々ありましたし、やはり心が疲れていたのでしょう焦らずに今は落ち着きましょう」

 思わず立ち上がって、でんでん太鼓を投げそうになるも、慌ててグラスに止められてなだめられる。グラスの優しさがとても痛くて、グラスに押さえつけられるままにだらりとグラスに体重を預ける。グラスに支えられながらストンと椅子に雪崩れるように座る。

「そ、そうよん♪ カリスティアちゃん。だ、ダメ元だったから気にしないでねん♪ おほほほ……」

「あぁ!!! もしかしたら、カリスティアちゃんが作ったんだし何か効果あるかも!!! ママね、鑑定持ってるからさ、やってみるよ」

【大地の加護でんでん太鼓】

効果 記憶を何らかの要因でなくした。または深くに仕舞った記憶を音により引き出す効果


 効果があるっちゃあるで、とても複雑だと思う私は我が儘だと思います。けど、本当になにも無かったら悲しいし恥ずかしいので良かったとも思いました。

 この後も真面目な対話と、昔話を含めた世間話をラブちゃんの時間が許す限りした。薬とかではなかったけど、薬と違って何度も使える太鼓をラブちゃんに渡して、別れを惜しんで別れた。泣くとか色々な別れ方があるのだけど、今回の私達はいつでもあえるように普通にバイバイと言っただけ。後を追うようにウィーンママも家に帰り一気にがらりとしたリビングが寂しく感じる。まだ二日と半分しかこのリビングに居ないのにそう思ってしまう。

「では、私は一度仕事に行ってきますので何かあったらこの水晶に魔力をこめてください。すぐに駆けつけますから」

「はーい、いってらっしゃーい。気をつけてね」

 日こそ傾いてはないが、すぐに暗くなるだろう時間に仕事に二人を追うように、玄関のドアノブに手を掛けるグラス。買い物の時にちょくちょく話していた冒険者の仕事だから、仕事の始まりが依頼で不定期なのか、私の為に時間を取ってくれたのであろう。無表情なのに私の寂しさを察知して額にキスを落としてくれる大事な……恋人に今度は作り笑いではない本当の笑顔……といっても歪だけど、もう一度、頑張っていってらっしゃいと見送った。

「いってきます……カリスティア」


ーーー

 私の為に用意されていた空き部屋のベットに寝転がり私は今後のことを整理するために、先ほどの会話と今の状況を思い出して唸る。よくよく考えれば一足飛びにここまで展開が素早く動いてしまったが、全然私の実力が追いついていない。今後の自分の強化の方針を考える為に、ひさびさにゆっくりステータスを見てみようとステータスと唱えるも……。

「ステータス! あれ? ステータス!!!」

 開けない。見れない。うんともすんとも言わない。何度もステータスと唱えるも空しく部屋に自分の声が響くだけだった。なんで今の今まで、ステータスが開けないことに気づかなかったんだ……と、ベットから起き上がって考える人のようなポーズでため息をこぼす。

(開けないんじゃしょうがない……。まぁある意味前の世界じゃ自分の強さを数値化して見れなかったんだから、それに戻っただけだ。気にしない、気にしない)

 それならば、そのままになっていた自分が枯らしてしまったであろうあのアスプロスという、凛と立っていた花を片付けるついでに、一つ試してみようかと思う。

 部屋から出て階段を降りて、リビングに向かった。人が居ないだけで綺麗なのにほの暗く感じるリビングの机にはそのままになった枯れた花。ストックでMP回復ポーションを三個だして二個飲み干す。そうして、枯れる前の花を具現化すると元の綺麗な花に戻る。

(ここまではいい、自分のMPでできてる。次は……自然の魔力を吸い取って使用できるかの実験だ。あと、MP回復ポーションでも魔力を使用できるかも確かめよう……使いこなせれば大分便利で、アダムスからこっちに輸送……じゃなかった保護する人を助けるにも使えるし)

 あの声が導いてくれた感覚のように、咲かせた花に左手をかざして……普通のナイフを具現化してみる。結果は花の魔力を使って具現化することが出来た。そのあとMP回復ポーションでも試してみたのだけどそれも可能だった。魔力があるものならば、なんでも触媒して具現化出来るらしい。

 それならば、魔力を借りてステータスを具現化しようとするも、感覚で借りる借りないの話じゃないほどの膨大なMPが必要なのか感覚で分かってすぐ止めた。

 少しずつ調整をして、わざわざ手をかざさなくても意識すればMPを対象から貰えることがわかった。今度は貰える量を調整できるように調整しようと思ったところで、気がつくとリビングが真っ暗で慌てて、魔法のランプに火を灯す。リビングから窓をみるとそれはそれは綺麗な星が瞬いていて、結構な時間が立っていたことが思い知らされる。

(グラス遅いなー。冒険者業だし一日帰ってこないことを覚悟して、キッチンかりて食べて身体を魔法で洗って早々に寝よう。寝間着類もウィーンママに貰った服の山にどっさりあることだし、寝やすいやつ選んで……よーし、これで寝るぞー!!!)


ーーーー

「ただいま……。流石に寝てますか」

 依頼をこなして、帰ってなんとなくただいまと行ってみるけれど、おかえりという声はない。当たり前だけれども少し寂しいと思ってしまう自分は、彼女に大分毒されてると思ってしまう。

 いつも通りに夜食を手早く作り、自身の身を清める。清めたあとに着替えるために自身の部屋に行くと、暗闇の中から寝息が聞こえる。もしやと思って自身のベットを覗くと、カーテンの月明かりが漆黒の髪と、閉じられた瞼を映し出す。

(……相変わらず、無断で人の寝床に侵入してきますね)

 カリスティアが安らかに自分のベットで寝息を立ててるのを懐かしみながら、寝るために着替えを静かに済ませる。ゆっくりとカリスティアが起きないようにベットに横になる。

「んー……。課長デ部長……ふひゃひゃひゃ」

「はぁ……」

 唸ったら起きたと思って、自身の身体を固めると、よく分からない単語の寝言を言って再度寝息を立てるカリスティアに、懐かしさと起きなくて良かったという二つの思いが混じったため息が零れる。

「おやすみなさい。カリスティア」

 また、こうやって彼女が子供の時のように自身の寝床に忍び込むことを寝る寸前まで懐かしみながら意識を手放す。








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