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虹色の悲願
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「あああッあッあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 胸くそ悪い悪魔だよほんとさぁぁぁぁ!!!!」
「エリニュス様、抑えて下さい。ただでさえ貴女は普通に喋っているだけだってかなり鼓膜揺れるんですから。五月蠅い」
ヴィスの町地下本部で奴隷の品定めをしているさいに入ってきた報告……。我々一族の悲願、ディザという悪魔を葬り去る為の二手として……悪魔の存在を忘却するのを進めて世界に広めた強化剤は結果的にはディザの悪魔の存在は絵本という形で保たれ、力を弱めるつもりが逆に国内に限り動き安くしてしまったという皮肉な……。
皮肉過ぎる事実に、自身の指を噛み千切る、血が自身の忌々しい虹色の髪が汚れようとも構わない。ガシガシと自身の指を噛み千切って目を怒らせる様は、奴隷の子達には刺激が強すぎたようで老若男女構わず怯えた目でこちらを見てくる。お前らに怒ってるんじゃないよという思いを込めて笑ってやると、悪魔を見る目で余計怯えてくる……ぶち殺すぞ。
「ならば教えろ! 今は14号はどうしてるの! 我々の希望はどうなった」
怒りを携えた、この組織の策士……ルスに血管が浮きだって居るだろう目を向けて、我々の希望が今どうしているかを問う。我々の希望であり……唯一この世界の運命の外に立つ“異世界の魂を持つ者”だ。ルスはわざとらしく両耳を塞いだままに、こちらを向いて14号のことを話す。
「14号じゃなくて今はカリスティア。今はアダムスの国に向かってたんだけど……。アダムスの国の幹部二人が侵入を拒もうとやっきになって、エリニュス様が渡した実験体の魔物を持ち出して始末するみたいだね」
「はぁ? 世界が滅ぶってのに自分らの国のメンツの心配かよ。笑わせんな」
吐き捨てるそうにそう言う。誰が鎖国で人材が足りない中でこうして奴隷を見繕ったあげくに最終手段で、人工魔物を……特に手塩に掛けて直々に作って与えてやったと思ってんだ……とんだ飼い犬だ。こっちが動きづらくなってるなかでわざわざ手を噛みやがって。
奴隷の一人に自身の傷付いた指をさしだして治療するように命令をする。奴隷は恐る恐る魔力を練り上げて治癒魔術を施している。この奴隷は中々技術がいいから高値で売れる……そう奴隷を品定めしながら、何か言いたそうなルスに目を向ける。目を向けたら嘲笑するように……誇り高いエルフとは思えぬ笑みをこちらに向けて話し始めた。
「アダムスは国こそが世界という国だからね。そりゃ世界滅亡もお国の滅亡も一緒だろ。
今回は国王様や御姫様でさえ死んだと思われてた、リチェルリット王妃を匿って居るんだ……世界の為とは言え匿ってたのがリチェルリットにバレようものなら……。そしてこの強化剤を作る上でその王妃様のお力を利用したとなれば……どうなることやら。 たとえ、王妃様自身が了承して作ったとはいえね」
上玉、中玉、と並べた奴隷に品定めと品質を判断して、下っ端に札を付けさせながら、流すように聞いていた。というよりも完全に流した。
「んでー14号はー?」
「何で手紙じゃ書けるのに口では言えないんだ……カ リ ス テ ィ アだ。計画通りにディザの運命読みは聞いてないし……あー……勿論だけど、この世界に来た時に無理矢理やっぱ前の世界の記憶消そうとしたのが悪かったな。全然スキルの使い方忘れてるって自然の意思が嘆いてたぞ」
異世界の魂を降臨させるために、厳選して見繕った適正のある奴隷の子供に魂を……鍵倉雅美を呼び出したんだが……。来たのは別の魂で失敗かと思って破棄しようとしたら、錯乱してあたりを手当たり次第に破壊した。破棄する奴隷の記憶を消すために傍においていた強化剤を、取り押さえて飲ませたんだけど余計に暴れたあげくにスキルを使って逃げやがった。
確認したら、その当初呼ぼうとしていた人物よりも優秀なスキル持ちだって自然の意思がしてきしてきたんだけれど。やっぱ無理矢理は流石にダメだったか。
「あーはいはい、そこは自然の意思様々がすくい上げてくれた異世界の魂をちょっと危ない状態にしてすいやせーんってエルフ司祭流にお詫び言っといて」
「元司祭だ。言われなくとも何度お前の為に俺が謝罪したと」
「あーはいはい。そんなことよりも今の状況をどうするか考えなきゃなんないんだ」
小言を遮って、もうお前の言うことはぜーんぶ聞かないという意思を込めて、品定めし終わった奴隷を下がらせて自身の机に座りうつ伏せになる。
我が一族の悲願……成し得なかったリチェルリットとその悪魔の終焉をもたらす為に次はなにをする。宗教国家も適当に上層部をあおっていつかは、対リチェルリットとなるように仕向けて、アダムス……も戦争に参加させる手筈だったが、今は期待しないほうが良さそうだ。
当初の予定だったペルマネンテもリチェルリットの傘下へと入ったからダメだ。悪魔族の国も魔族の国も細々となってるから期待ができない。劣勢だな、ならば……。
うつ伏せの体勢を立て直して、姿勢をただし忌々しい虹色の髪を掻き上げる。
絵本の悪魔の呪いによってもたらされたこの屈辱の髪を自分の代で断ち切ってみせる。絵本の物語で綺麗な終わりの約束を何百年に渡る悲願を達成するために手段は選ぶことはできない。
「ルス、魔物化の解除を封じ込めた水晶を持って14号の所へいけ、取引してこい。いい加減にお前の男装癖を役立たせろ」
「エリニュス様、抑えて下さい。ただでさえ貴女は普通に喋っているだけだってかなり鼓膜揺れるんですから。五月蠅い」
ヴィスの町地下本部で奴隷の品定めをしているさいに入ってきた報告……。我々一族の悲願、ディザという悪魔を葬り去る為の二手として……悪魔の存在を忘却するのを進めて世界に広めた強化剤は結果的にはディザの悪魔の存在は絵本という形で保たれ、力を弱めるつもりが逆に国内に限り動き安くしてしまったという皮肉な……。
皮肉過ぎる事実に、自身の指を噛み千切る、血が自身の忌々しい虹色の髪が汚れようとも構わない。ガシガシと自身の指を噛み千切って目を怒らせる様は、奴隷の子達には刺激が強すぎたようで老若男女構わず怯えた目でこちらを見てくる。お前らに怒ってるんじゃないよという思いを込めて笑ってやると、悪魔を見る目で余計怯えてくる……ぶち殺すぞ。
「ならば教えろ! 今は14号はどうしてるの! 我々の希望はどうなった」
怒りを携えた、この組織の策士……ルスに血管が浮きだって居るだろう目を向けて、我々の希望が今どうしているかを問う。我々の希望であり……唯一この世界の運命の外に立つ“異世界の魂を持つ者”だ。ルスはわざとらしく両耳を塞いだままに、こちらを向いて14号のことを話す。
「14号じゃなくて今はカリスティア。今はアダムスの国に向かってたんだけど……。アダムスの国の幹部二人が侵入を拒もうとやっきになって、エリニュス様が渡した実験体の魔物を持ち出して始末するみたいだね」
「はぁ? 世界が滅ぶってのに自分らの国のメンツの心配かよ。笑わせんな」
吐き捨てるそうにそう言う。誰が鎖国で人材が足りない中でこうして奴隷を見繕ったあげくに最終手段で、人工魔物を……特に手塩に掛けて直々に作って与えてやったと思ってんだ……とんだ飼い犬だ。こっちが動きづらくなってるなかでわざわざ手を噛みやがって。
奴隷の一人に自身の傷付いた指をさしだして治療するように命令をする。奴隷は恐る恐る魔力を練り上げて治癒魔術を施している。この奴隷は中々技術がいいから高値で売れる……そう奴隷を品定めしながら、何か言いたそうなルスに目を向ける。目を向けたら嘲笑するように……誇り高いエルフとは思えぬ笑みをこちらに向けて話し始めた。
「アダムスは国こそが世界という国だからね。そりゃ世界滅亡もお国の滅亡も一緒だろ。
今回は国王様や御姫様でさえ死んだと思われてた、リチェルリット王妃を匿って居るんだ……世界の為とは言え匿ってたのがリチェルリットにバレようものなら……。そしてこの強化剤を作る上でその王妃様のお力を利用したとなれば……どうなることやら。 たとえ、王妃様自身が了承して作ったとはいえね」
上玉、中玉、と並べた奴隷に品定めと品質を判断して、下っ端に札を付けさせながら、流すように聞いていた。というよりも完全に流した。
「んでー14号はー?」
「何で手紙じゃ書けるのに口では言えないんだ……カ リ ス テ ィ アだ。計画通りにディザの運命読みは聞いてないし……あー……勿論だけど、この世界に来た時に無理矢理やっぱ前の世界の記憶消そうとしたのが悪かったな。全然スキルの使い方忘れてるって自然の意思が嘆いてたぞ」
異世界の魂を降臨させるために、厳選して見繕った適正のある奴隷の子供に魂を……鍵倉雅美を呼び出したんだが……。来たのは別の魂で失敗かと思って破棄しようとしたら、錯乱してあたりを手当たり次第に破壊した。破棄する奴隷の記憶を消すために傍においていた強化剤を、取り押さえて飲ませたんだけど余計に暴れたあげくにスキルを使って逃げやがった。
確認したら、その当初呼ぼうとしていた人物よりも優秀なスキル持ちだって自然の意思がしてきしてきたんだけれど。やっぱ無理矢理は流石にダメだったか。
「あーはいはい、そこは自然の意思様々がすくい上げてくれた異世界の魂をちょっと危ない状態にしてすいやせーんってエルフ司祭流にお詫び言っといて」
「元司祭だ。言われなくとも何度お前の為に俺が謝罪したと」
「あーはいはい。そんなことよりも今の状況をどうするか考えなきゃなんないんだ」
小言を遮って、もうお前の言うことはぜーんぶ聞かないという意思を込めて、品定めし終わった奴隷を下がらせて自身の机に座りうつ伏せになる。
我が一族の悲願……成し得なかったリチェルリットとその悪魔の終焉をもたらす為に次はなにをする。宗教国家も適当に上層部をあおっていつかは、対リチェルリットとなるように仕向けて、アダムス……も戦争に参加させる手筈だったが、今は期待しないほうが良さそうだ。
当初の予定だったペルマネンテもリチェルリットの傘下へと入ったからダメだ。悪魔族の国も魔族の国も細々となってるから期待ができない。劣勢だな、ならば……。
うつ伏せの体勢を立て直して、姿勢をただし忌々しい虹色の髪を掻き上げる。
絵本の悪魔の呪いによってもたらされたこの屈辱の髪を自分の代で断ち切ってみせる。絵本の物語で綺麗な終わりの約束を何百年に渡る悲願を達成するために手段は選ぶことはできない。
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