後悔しても・・・

ひろきちさん

文字の大きさ
4 / 9

2-2

しおりを挟む
翌日、ビジネスホテルを出た私は、元会社の先輩で数少ない友人の一人だった田丸先輩との待ち合わせ場所に向かった。
スマホに"話したいことがある"とメールがきていたんだ。
多分・・・満さんの件だ。

「バカ恵利!!!」

待ち合わせ場所に着いて早々に私は田丸先輩に頬を叩かれた。
あまり人気のない公園ではあったけど周りに居た人達は驚いて私達を見ている。

「せん・・・ぱい?」
「言ったじゃない!横田君の事を頼むわよって。
 あなたが横田君の事を好きだって言うから私は・・・」
「・・・ごめんなさい」

私と池田さんの事・・・もう知ってるんだ。
満さんから話を聞いたのかな?先輩とは仲が良かったし。
それに・・・先輩は満さんのことが好きだったんだ。
それなのに私が好きだって言ったから遠慮して・・・私先輩の気持ちに気付いていたのに知らないふりして・・・結婚したときは祝福してくれたけど先輩に対しても酷いことしてたんだよね。
叩かれて当然だ。

「否定もしないんだ・・・」
「・・・後悔はしてるけど。浮気してたのは事実だから」

そう。悪いのはすべて私。
満は何も悪くない。

「今日ね。横田君会社休んだのよ」
「え?」
「彼、今まであんまり休み取ったことなかったし心配になって電話したの。
 何でも無い。体調が悪いだけだって最初は言ってたんだけど、しつこく聞いたら・・・あなたと池田君の事を話してくれたわ。精神的に大分弱ってるみたい。
 あんな辛そうな声初めて聞いたわ」

そうだよね。私本当に酷いことしちゃったんだよね。

「どうするつもりなの?」
「え?」
「離婚・・・するの?」

離婚。
そうだよね別れたくないけど・・・無理だよね。
満さん・・・許してくれないよね。
あんな場面見られちゃったら・・・そう思ったら急に悲しくなって涙が出てきた。

「泣いたって駄目よ・・・自業自得。
 自分がやったことを思い返して少し反省しなさい。
 横田君のケアは出来る限り私の方でするわ」
「・・・はい。よろしくお願いします」
「今は無理だと思うけど。落ち着いたらちゃんと謝るのよ」
「・・・はい」

そう言いながら先輩は私にハンカチを差し出してくれた。
先輩なら満君を任せられる。
私と違ってちゃんとしてるから。


--------------------------
先輩と別れた私はマンションに戻ることも出来ず実家へと向かった。

でも、家に帰って早々に両親から激怒された。
お父さんからは初めて頬を叩かれたし、お母さんは・・・泣いていた。

最初、満さんがお父さんたちに報告したのかと思ったけど、たまたまお父さんが私に会うつもりでマンションに行ったらしくて家に居た満さんに事情を聞いたらしい。
だいぶ憔悴して顔色も悪かったみたいだ。


そして実家で数日を過ごした私はお父さんに連れられて満さんの待つマンションへと向かった。
当初、会いたくないと断られたみたいだけどお父さんが説得してくれたんだ。

数日ぶりのマンション。
私と満さんの幸せが詰まっていた場所だ。
ただ、今は家に居るのが辛い。

久しぶりにあった満さんは少しやつれた感じがした。
会社もまだ休んでるらしく目の下にクマもあるし、あんまり寝れて無いのかもしれない。食事もできてないのかな。

それに・・・いつも優しい目で私を見てくれていた満さんも今は冷たい目で私を見ている。

「満君。今回の件は本当に申し訳なかった。娘とは会いたくないだろうし謝罪も受け入れがたいとは思ったが、けじめとして本人から謝らせてくれ」
「・・・」

相変わらず満さんの私を見る目は冷たい。
でもちゃんと謝らないと。
先輩にも約束したんだ。
お父さんに促された私は満さんの前に進み謝罪の言葉を口にした。

「許してもらえるとは思っていません。
 それだけ酷いことをしてしまいました。
 満さんは私にたくさんの愛情をくれたのに私は・・・。
 本当にごめんなさい」
「・・・・・」

最後の方は涙で声になってなかったかもしれない。
会えるのはこれが最後かもしれないけど、満さんは私に声を掛けるでもなく何も言わずにただ見ていた。
許してもらえるとは思っていなかったけど・・・やっぱり悲しいよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

貴方なんか大嫌いです。

雪戸紬糸
恋愛
楡崎ひなの(24才)は、途中入社の新人事務員。高校卒業と同時に入った前の会社は、ブラックだった。なんとか抜け出して、今の会社にはいったはいいが、上司と反りが合わない。あんな毎日がお通夜みたいな顔をしてる上司と、まさかこんなことになるなんて思っても見なかった。すれ違いながらも、心を通わせていく二人を是非ご覧ください。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

社長から逃げろっ

鳴宮鶉子
恋愛
社長から逃げろっ

処理中です...