Friday.13

HINAKANA

文字の大きさ
上 下
1 / 2
第一幕:First-Friday.

13日のコンビニ強盗

しおりを挟む
20XX年9月13日(金)
温暖化の影響によるものかまだまだ暑さが収まる様子を見せない頃、その事件が突然起きた。


その近辺では比較的客足が多いコンビニに、ひとりの怪しいヒトが入店した。

声を聞いた時、店員がそのヒトが男であることがわかった。だがそんことはどうでもよかった。

-嫌な予感がしていたからだ-

その男の格好は黒の革のジャンパーに動きやすそうな黒のズボン、そして大きな茶色のカバンを持っていた。ここまでは良かった。

男の顔には、赤い目をしたジェイソンのマスクが被られていた。
ハロウィンの仮装にしてはまだ早すぎる。次の男の言葉で、店員は嫌な予感が的中したことを理解した。

「金を出せ」

店員は仕事中に聞くなかでこんなに短く恐怖を感じる言葉を今まで聞いたことがなかった。
周りを見渡すが客は誰もいない。深夜だからだろう。今店員としてここにいるのが自分だけだということも知っていた。

拳銃を向けられる。

何をしていいのか分からず指示通りレジを開け、カバンに入りきらなくなるまで金を詰める。

男が早々と店を出ると、店員は自分が大量の汗をかいていることにようやく気づいた、ひと安心し、ふう、とため息をつく。だがまだ通報していないことに気づき、店をかけ出た。男は黒いボディに赤いラインが引かれたバイクに乗って、どんどんと離れていく。
店員がナンバーを確認したが、そこには何も記されていなかった。
焦って警察に通報する。

警察は2分ほどでパトカーで到着。警官が3名、パトカーから降りてくる。
店員はあったことをそのまま全て話した。

犯人の手がかりは170cm~180cm、年齢は20代前半~30代前半、赤目のジェイソンマスク、黒い革ジャンパー、正確なズボンの種類は分からないが、動きやすそうな黒いズボン、大きな茶色のカバン、拳銃所持、ナンバーがない黒いボディに赤いラインが引かれたバイク。
これほどの手がかりがあれば、すぐに逮捕ができる。

-はずだった-

犯人は1ヶ月経っても逮捕されることはなかった。

犯人はコンビニの近くにあるトンネルの中で突然消えたのだ。逮捕が不可能とまで言われ始め、無駄なあがきとわかっていたが、指名手配をすることが決定された。
しおりを挟む

処理中です...