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1章 英雄譚にあこがれた少年
1-1 安定を求めた青年①-とあるギルド職員の朝-
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ふと、目を覚ますと、それは自室の天井だった。
久しぶりに夢を見ていたのだろうか?目から涙が流れ、ひどい寝汗をかいていた。
青年は上半身を起こし、自分の胸に手を当てて深呼吸をする。
(大丈夫。俺はもう大人になったんだ)
ぐっしょりと寝汗で濡れてしまっていた服を脱ぎ、支度を始めるのだが、さすがにこれは水浴びをした方が良いかもしれないと、カーテンを開ける。
「これは、ちょっと急がないと間に合わないかもな…」
眠気を吹き飛ばすような強烈な朝日に目を細めながら時間を確認して青年はそのようにつぶやいた。
急いで井戸に向かって水をかぶる。
「冷たっ!?」
もうすぐ夏が終わるというのに井戸の水はかなり冷たい。だが、そのおかげで完全に目が覚めたので青年は急いで体の水分をふき取り部屋に戻る。
一人で暮らし始めて3年。そうなれば、自然と朝の準備一つ一つをとっても慣れというものが出てくるもので、いつも通りの動きで朝食の準備をする。
昨晩仕事の帰りに買っておいたパンを二つに切り、保存のきくチーズを薄く切り間に挟んだだけのお手軽朝食。数年前からこれが楽で毎日これになってしまった。
いつもならゆっくりお湯を沸かしてお茶ができるのを待つのだが、今日は水浴びをしたため若干時間がない。
本来はそんな使用用途ではない火魔法をポッドの下で発動し高火力で一気に湯を沸かす。準備が遅れている日にこんなことばかりするため、うちのポットはよく壊れるのだが、遅刻をするよりはましだろうと言い聞かせている。
ポットの中に茶葉を入れて通常より濃いめに出してコップに注ぎながら先ほどのパンにかぶりつく。
何度か咀嚼をしているうちに口の中の水分をパンにすべて持っていかれて、チーズの塩分も相まって口が水分を欲したところに濃いお茶を流し込む。そんなことを数度繰り返して朝食を終える。
ポットのお茶を別の容器に入れて職場用に持っていく準備が終われば次は着替えだ。
休みの日に洗っておいたシャツに腕を通し、ギルドの制服を上に着る。まだ暑い時期にこの分厚い上着は職員のやる気と元気、そして命を刈り取ってしまうものだとギルドマスターに何度も提案をしているが一向に変わる気配がない。いつか絶対にこの制服を夏でも過ごしやすいものに変えるというのが青年の今の目標の1つだ。
制服を着終えて乱れがないかを部屋に置いてある他の家具とは違い細かな装飾の入った姿見鏡で確認する。
明らかに部屋の内装と合わないその鏡があるのは、自分の養父に一人暮らしをすると告げたら渡されたものだ。
それまで一緒に過ごしていた家ならば、それ以外の家具も凝った装飾をしたものが多いため浮かないのだが…一人暮らしの男の家にあるにはすごく浮いてしまっている。
好意としてもらっている物なので無下にもできず、使い続けてはいるが、毎日これがこの部屋にあることに違和感を覚える。
なお、もらったときの養父との会話と言えば…
「部屋に対して絶対に合わないです。もっと質素なものでよかったんですけど」
「なにぃ?この家で育ったお前がそんな質素なところに住むと思ってなかったわ!すまん」
これである。何ともまぁ、すべての基準が自分で豪快と言えば聞こえはいいが…正直なところ煽られていると思った。
あの人はそんなところで嫌味を言いたいがためにこれを贈ってくるようなことはないと知っている。知っているからこそ、理解しているからこそ…一周回ってむかついてくる。
「毎日鏡に向かうだけでイラつくとか、やっぱり嫌がらせだろ」
そんな言葉が自然と口をついて出たころ、ふと外を見るとそろそろ家を出なくてはいけない時間になっていることに気が付き、急いで荷物をまとめて玄関を出る。
扉を閉める前に部屋に置かれているある物に向けて一言「行ってきます」と言って扉の鍵を閉めた。
「おはようございます」
ギルドの扉を開きながら挨拶をする。
そこに誰が居ようが居まいが、挨拶をしながらギルドに入るのが彼の習慣である。
「あ、レオ先輩!おはようございます」
俺の声に反応したのはちょうどその時準備を終えて控室から出てきたキリエだ。
このギルドでは数少ない正採用の職員で俺の2つ後輩のキリエは、鬼種と呼ばれる種族だ。珍しく体は大きくなく、その角さえなければ人と区別はつかないであろう、うちのギルド看板受付嬢である。
いつも思うのだが、キリエの髪はすごくきれいな黒色をしている。なぜか光に当たると若干の赤色を帯びて反射するのだが…その理屈がよくわからん…
「レオ先輩は今日も早いですね」
「俺より先に来ているやつに言われてもなぁ…」
「私は、先輩の後輩なのでいろんなことを勉強中なんです!それなのに先輩がいつも早く来て仕事を片付けちゃうから仕方がないんですぅ~!」
なぜか朝から後輩に怒られつつ準備をする。なぜ俺が怒られなくてはいけないのだろうか…
とりあえず、荷物を自分のロッカーの中に放り投げ、すぐにキリエの居る受付の方へ向かう。
「先輩準備早すぎません?いっつも制服を着て出勤してきますし…普通の服って持ってないんですか?」
「別に規則の中に制服を着て出退勤してはいけないって書いてないからな。楽なんだよ」
「えぇ…まぁそうですけど…暑くないんですか?この時期は暑くて外じゃ着てられないですよ」
やはり女性用の制服でもそう思うってことはもう一回ギルドマスターに提案していいか。
「これ、昨日の依頼の報告書です。一番上にあるのが《白狼の牙》の報告書なんですけど、やっぱりココアちゃんの報告書は何回見てもきれいで素晴らしいです。何より字がかわいいので…」
字が可愛いとは…?確かにキリエの書く字は達筆であるから対称的ではあるが…そんなこと思ったこともなかったな。
「それよりも、先輩が言っていた通りでしたよ」
そう言ってキリエが資料の中ほどを指をさす。
『今回討伐したモンスターはこれまで森の南部の浅いところでは見かけることがなかった脅威度の高めのモンスターでした。以前レオ君が言っていたようにここ最近のモンスターは生息域が変わってきているようです」
ここ最近ギルドにいくつかの相談が来ていた。今まで見かけなかったモンスターを見かけたという報告や小型のモンスターの生息域に中型が突如現れ想定外の事態にケガをしてしまった等だ。
最初のうちは1~2件ほどの相談だったが、ここ数日でその内容は増えてきていた。そのため《白狼の牙》に調査依頼を出していたのだが、これは悪い予想が当たってしまったかもしれない。
「キリエ、急ぎで依頼書の修正をするぞ。具体的には討伐系の依頼と南東部の素材依頼も全部1ランク上げておく」
簡単に言うが、その日に扱う依頼の数は10や20ではない。それをすべてとなると…当然のようにキリエはすごく嫌そうな顔をする。
「それって勝手にやっちゃっていいんですか?ギルドマスターは今日お昼過ぎまで来れませんよ?私ギルドマスターに許可取るのとか嫌ですからね?」
「いいんだよ。副ギルドマスター(仮)だからな。ギルドマスターが居ない時は俺がいろいろ決めていいんだ」
本来副ギルドマスターなどという役職は存在しないのだが、ギルドマスターが不在時に何かを決定しなくてはいけない場合も少なくはない。そのため、このギルドで試験的にその制度を導入しているというか押し付けられたのだ。
「それとなキリエ。あの人は理由さえちゃんとしていれば全部通してくれるから問題ない。最終的な許可などもぎ取ればいいんだよ。もぎ取れば」
うわぁ…と言いたげな顔をしているキリエは何かを思いついたように急いで依頼書をすべて俺のもとに持ってくる。
「それじゃ、副ギルドマスター(仮)が言い始めたんですもんね!こちらの業務よろしくお願いしまーす!私はレオ先輩が普段やっているそれ以外の業務全部準備しておくんで!」
それだけ言い残して走って行ってしまった。やられた…後輩ってたくましく成長するんだなぁ…
久しぶりに夢を見ていたのだろうか?目から涙が流れ、ひどい寝汗をかいていた。
青年は上半身を起こし、自分の胸に手を当てて深呼吸をする。
(大丈夫。俺はもう大人になったんだ)
ぐっしょりと寝汗で濡れてしまっていた服を脱ぎ、支度を始めるのだが、さすがにこれは水浴びをした方が良いかもしれないと、カーテンを開ける。
「これは、ちょっと急がないと間に合わないかもな…」
眠気を吹き飛ばすような強烈な朝日に目を細めながら時間を確認して青年はそのようにつぶやいた。
急いで井戸に向かって水をかぶる。
「冷たっ!?」
もうすぐ夏が終わるというのに井戸の水はかなり冷たい。だが、そのおかげで完全に目が覚めたので青年は急いで体の水分をふき取り部屋に戻る。
一人で暮らし始めて3年。そうなれば、自然と朝の準備一つ一つをとっても慣れというものが出てくるもので、いつも通りの動きで朝食の準備をする。
昨晩仕事の帰りに買っておいたパンを二つに切り、保存のきくチーズを薄く切り間に挟んだだけのお手軽朝食。数年前からこれが楽で毎日これになってしまった。
いつもならゆっくりお湯を沸かしてお茶ができるのを待つのだが、今日は水浴びをしたため若干時間がない。
本来はそんな使用用途ではない火魔法をポッドの下で発動し高火力で一気に湯を沸かす。準備が遅れている日にこんなことばかりするため、うちのポットはよく壊れるのだが、遅刻をするよりはましだろうと言い聞かせている。
ポットの中に茶葉を入れて通常より濃いめに出してコップに注ぎながら先ほどのパンにかぶりつく。
何度か咀嚼をしているうちに口の中の水分をパンにすべて持っていかれて、チーズの塩分も相まって口が水分を欲したところに濃いお茶を流し込む。そんなことを数度繰り返して朝食を終える。
ポットのお茶を別の容器に入れて職場用に持っていく準備が終われば次は着替えだ。
休みの日に洗っておいたシャツに腕を通し、ギルドの制服を上に着る。まだ暑い時期にこの分厚い上着は職員のやる気と元気、そして命を刈り取ってしまうものだとギルドマスターに何度も提案をしているが一向に変わる気配がない。いつか絶対にこの制服を夏でも過ごしやすいものに変えるというのが青年の今の目標の1つだ。
制服を着終えて乱れがないかを部屋に置いてある他の家具とは違い細かな装飾の入った姿見鏡で確認する。
明らかに部屋の内装と合わないその鏡があるのは、自分の養父に一人暮らしをすると告げたら渡されたものだ。
それまで一緒に過ごしていた家ならば、それ以外の家具も凝った装飾をしたものが多いため浮かないのだが…一人暮らしの男の家にあるにはすごく浮いてしまっている。
好意としてもらっている物なので無下にもできず、使い続けてはいるが、毎日これがこの部屋にあることに違和感を覚える。
なお、もらったときの養父との会話と言えば…
「部屋に対して絶対に合わないです。もっと質素なものでよかったんですけど」
「なにぃ?この家で育ったお前がそんな質素なところに住むと思ってなかったわ!すまん」
これである。何ともまぁ、すべての基準が自分で豪快と言えば聞こえはいいが…正直なところ煽られていると思った。
あの人はそんなところで嫌味を言いたいがためにこれを贈ってくるようなことはないと知っている。知っているからこそ、理解しているからこそ…一周回ってむかついてくる。
「毎日鏡に向かうだけでイラつくとか、やっぱり嫌がらせだろ」
そんな言葉が自然と口をついて出たころ、ふと外を見るとそろそろ家を出なくてはいけない時間になっていることに気が付き、急いで荷物をまとめて玄関を出る。
扉を閉める前に部屋に置かれているある物に向けて一言「行ってきます」と言って扉の鍵を閉めた。
「おはようございます」
ギルドの扉を開きながら挨拶をする。
そこに誰が居ようが居まいが、挨拶をしながらギルドに入るのが彼の習慣である。
「あ、レオ先輩!おはようございます」
俺の声に反応したのはちょうどその時準備を終えて控室から出てきたキリエだ。
このギルドでは数少ない正採用の職員で俺の2つ後輩のキリエは、鬼種と呼ばれる種族だ。珍しく体は大きくなく、その角さえなければ人と区別はつかないであろう、うちのギルド看板受付嬢である。
いつも思うのだが、キリエの髪はすごくきれいな黒色をしている。なぜか光に当たると若干の赤色を帯びて反射するのだが…その理屈がよくわからん…
「レオ先輩は今日も早いですね」
「俺より先に来ているやつに言われてもなぁ…」
「私は、先輩の後輩なのでいろんなことを勉強中なんです!それなのに先輩がいつも早く来て仕事を片付けちゃうから仕方がないんですぅ~!」
なぜか朝から後輩に怒られつつ準備をする。なぜ俺が怒られなくてはいけないのだろうか…
とりあえず、荷物を自分のロッカーの中に放り投げ、すぐにキリエの居る受付の方へ向かう。
「先輩準備早すぎません?いっつも制服を着て出勤してきますし…普通の服って持ってないんですか?」
「別に規則の中に制服を着て出退勤してはいけないって書いてないからな。楽なんだよ」
「えぇ…まぁそうですけど…暑くないんですか?この時期は暑くて外じゃ着てられないですよ」
やはり女性用の制服でもそう思うってことはもう一回ギルドマスターに提案していいか。
「これ、昨日の依頼の報告書です。一番上にあるのが《白狼の牙》の報告書なんですけど、やっぱりココアちゃんの報告書は何回見てもきれいで素晴らしいです。何より字がかわいいので…」
字が可愛いとは…?確かにキリエの書く字は達筆であるから対称的ではあるが…そんなこと思ったこともなかったな。
「それよりも、先輩が言っていた通りでしたよ」
そう言ってキリエが資料の中ほどを指をさす。
『今回討伐したモンスターはこれまで森の南部の浅いところでは見かけることがなかった脅威度の高めのモンスターでした。以前レオ君が言っていたようにここ最近のモンスターは生息域が変わってきているようです」
ここ最近ギルドにいくつかの相談が来ていた。今まで見かけなかったモンスターを見かけたという報告や小型のモンスターの生息域に中型が突如現れ想定外の事態にケガをしてしまった等だ。
最初のうちは1~2件ほどの相談だったが、ここ数日でその内容は増えてきていた。そのため《白狼の牙》に調査依頼を出していたのだが、これは悪い予想が当たってしまったかもしれない。
「キリエ、急ぎで依頼書の修正をするぞ。具体的には討伐系の依頼と南東部の素材依頼も全部1ランク上げておく」
簡単に言うが、その日に扱う依頼の数は10や20ではない。それをすべてとなると…当然のようにキリエはすごく嫌そうな顔をする。
「それって勝手にやっちゃっていいんですか?ギルドマスターは今日お昼過ぎまで来れませんよ?私ギルドマスターに許可取るのとか嫌ですからね?」
「いいんだよ。副ギルドマスター(仮)だからな。ギルドマスターが居ない時は俺がいろいろ決めていいんだ」
本来副ギルドマスターなどという役職は存在しないのだが、ギルドマスターが不在時に何かを決定しなくてはいけない場合も少なくはない。そのため、このギルドで試験的にその制度を導入しているというか押し付けられたのだ。
「それとなキリエ。あの人は理由さえちゃんとしていれば全部通してくれるから問題ない。最終的な許可などもぎ取ればいいんだよ。もぎ取れば」
うわぁ…と言いたげな顔をしているキリエは何かを思いついたように急いで依頼書をすべて俺のもとに持ってくる。
「それじゃ、副ギルドマスター(仮)が言い始めたんですもんね!こちらの業務よろしくお願いしまーす!私はレオ先輩が普段やっているそれ以外の業務全部準備しておくんで!」
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