不老不死

日暮 雪夜

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間話

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間話

…*蝦夷地(えぞち=現在の北海道)へ移動中*……⇒《間話》

 《恋花》「あれっ?」
《白百合(しらゆり)》「どうしたんじゃ?」
《恋花》「あそこに人が倒れて居る様に見えるんじゃが白百合(しらゆり)殿はどうかのう?」
《白百合(しらゆり)》「わしにも人が倒れとる様に見えるがそれがどうかしたのか?」
 《恋花》「いや…何となくあの人から職人の気配がする」《白百合(しらゆり)》「なんじゃそれは…」《恋花》「まぁまぁ取り敢えず助けてみよう、何か良い事があるかも知れないし」

 ……*人助け中*……⇒《助けた人の家》

《???》「危ない所を助けて頂き本当にありがとうございます…あなた方が助けてくれなければ今頃私は明日の朝には冷たくなって居たでしょう…本当ににありがとうございますじゃ……。」
 《恋花》「いえいえ、此方こそ貴方のおかげで今晩は屋根のある場所でゆっくりと眠れますから…」
 《???》「此方こそ狭い家ですがそう思って頂けたなら幸いですじゃ」《恋花》「そうですか…それでつかぬ事をお伺いしますが貴方の御名前を伺っても良いでしょうか?」 《???》「おっとこれは失礼しましたのぅわしの名前は村正景光(むらまさ かげみつ)と申しますどうか景光(かげみつ)と呼びくださいですじゃどうぞよろしくお願いするのじゃよ」
 《恋花》「此方こそ私の名前は日暮恋花と申します隣の子は白百合(しらゆり)と申します私の事は恋花とお呼びください…よろしくお願いします…」《恋花》「所で景光(かげみつ)殿は刀鍛冶をされて居るのですか?」
《景光(かげみつ)》「ああ…そうじゃ見ての通りの生い先短い上に下手なくせに辞められないだけの詩がない刀鍛冶じゃよ」
 《恋花》「景光(かげみつ)殿が下手なんてとんでもない、道は違えど多少なりともその道を極め職人と呼ばれた人間ならば景光(かげみつ)殿がそれこそ隠居した何処ぞの名匠だと言われても信じられるだけの技量が行動の節々に滲み出て居るのですから…」
《景光(かげみつ)》「やっぱり恋花殿には分かるのかのぅ…と言うかそれを言うなら恋花殿の方こそ名工いやどちらかと言えば死線を幾つも潜り抜けた剣豪いや老剣士みたいな雰囲気を纏ってるんだからなぁ一体どうやったらそんな気配がする様になるのかわしには全く分からんわい…」
 《恋花》「ははは…まぁ確かに幾つも死線を潜ってきけどまぁ…そんな事は置いておいて景光(かげみつ)殿にお願いがあるんです」
《景光(かげみつ)》「なんだ?」
《恋花》「私を景光(かげみつ)殿の弟子にして頂けないでしょうか?」
《景光(かげみつ)》「何でわしなんかの弟子になりたいんじゃ?恋花殿なら別に刀鍛冶なんぞせんでも幾らでも食って行けるじゃろう?」
《恋花》「それはただ単純に景光(かげみつ)殿の気配と刀に魅入られただけのことですよ?」
《景光(かげみつ)》「そう…か…ならわしが教えられる限りのことを教えてやろうただしわしが死ぬ前に全てのわしの技術を受け継げ!良いな!!」
 《恋花》「はい!!」

 ……*《村正景光(かげみつ)》の弟子になっ数ヶ月後*……⇒

 《恋花》「親方次は何をすれば良いですか?」
 《景光(かげみつ)》「恋花、お前にわしが教えられる事はもうねぇ…まったく…あっという間にわしに追いつきおって……」
《恋花》「親方っ、そんな事はありませんだって…私なんてまだまだ親方の足元にも及びませんから…」
 《景光(かげみつ)》「そんな事は無いお前さんにはわしの全てを教えた…そしてお前さんはわしが教えた事を全て多少つたない所もあったが一度見れば直ぐに覚えた…後はお前さんが自分自身でお前さんにあったお前さんだけの技を磨いて行くんじゃ…恋花…お前さんはわしが取った最初で最後のたった一人の愛弟子じゃ…それとお前さん…いつか本当のお前さんの事を知ってそれでも好きじゃと言ってくれる者や心の底から愛してくれる人に出会ったならそれが男だろうが女だろうが例え人ではなかろうが絶対に離すな…それから人との出会いや思い出を大切にしろ…例えそれがお前さんからすれば一瞬の様な時間でもそいつらと過ごした時間はきっと掛け替えの無い思い出になる…何でもええくだらん話しで笑った事やちょっとした痴話喧嘩だろうがその記憶が…そいつらとのその思い出がきっと何か辛いことがあったときや一人の孤独や苦しい時にきっとお前さんの心の支えになるじゃから一緒に居て楽しいと思える奴らとのの思い出は大切にしろ…そんで一緒に居て楽しいと思える奴らがたらそいつらとの関係を縁を大切にするんじゃ…よいな?」
 《恋花》「親方…」
《景光(かげみつ)》「ゲホッゲホッゴフッ(びしゃっ)」(吐血)
 《恋花》「親方っ大丈夫ですか!!?」
《景光(かげみつ)》「大丈夫だ心配するんじゃねえわしはまだ大丈夫じゃ」
《恋花》「そんな事言ったって…」
《景光(かげみつ)》「お前さんが考えとる通りわしはもう長く無いじゃからお前さん…わしが死ぬ前にお前さんとわしで全身全霊を込めた刀を一緒に打って欲しいのじゃが…頼めんかのう……」
 《恋花》「親方!…もちろんです!!」
《景光(かげみつ)》「そうか!聞いてくれるか!ならさっそく炉に火を入れるぞ!!」
《恋花》「はい!!」

 ……*数週間後*……⇒

 《恋花》「色々あったがやっと出来ましたね!親方!」
《景光(かげみつ)》「ああ…この刀はわしの刀鍛冶としての人生での…いや最初で最後の合作だ…そしてわしの刀鍛冶としての全てを注ぎ込んだわしの人生…いや…わしらの最高傑作だ…ありがとう…最後にお前さんと会えて本当に良かった…これで思い残す事はもう無い…」
《恋花》「親方……ええ…そうですね親方…私も私の長い人生でこれ以上の刀は一生…打てないでしょう…親方…本当にありがとう…私も親方と会えて本当に良かった…ありがとう…」
《景光(かげみつ)》「そんな事は……ゴホッゴフッ(吐血)」
《恋花》「親方!!」
《景光(かげみつ)》「恋花よ我が最初で最後の愛弟子よ…自由に生きろ…幸せになるのじゃよ……」
 《恋花》「親方……う…うぁぁぁ…親方ぁぁ……(号泣)」

 ……*親方の死から数週間後*……《蝦夷地(えぞち=現在の北海道)》

 
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