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三章 ポスティング
二十一話 ポスティング④
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「大変お待たせしました! どうされまし……」
そこで電話がプツンと切れた。俺は茫然と電源の切れたスマホの黒い画面を見つめるしかなかった。
しかし、ぼんやりもしてられない。日が長くなったとはいえ、もう四時を過ぎている。暗くなるまえになんとか脱出せねば……
俺はベランダから、二十一棟が建ち並ぶ公団の東側半分の状況を確認した。
いる。ゾンビがうようよ。二十頭ぐらいの大群が三つ。すぐ下と正面の道を入って奥、それと南方向にいる。自転車を置いたのは反対側だ。回りこもうとしても、どちら側からも塞がれてしまった。
一、二頭なら、なんとかなるが、三頭以上はきつい。ベランダの反対、外廊下側は俺の悲鳴のせいで五十頭くらいの大群が集まっているし……
室内に戻り、俺は外廊下側の様子をもう一度確認しようと思った。なんの不信感も抱かず、勢いよく玄関ドアを開ける。次の瞬間、俺は声を失った。軋み音と共に外の空気が流れ込んでくる。
「ウギヤァアアアアアア」
同時に叫び声も……すぐそばの階段から何頭も上がってくる。そして、まっすぐこちらへと……
「ヒッ」
声にならない悲鳴をあげ、俺はドアを閉めた。反応はゆっくりでも、ゾンビは俺のことを確実にサーチしている。まずいな……これでは八方塞がりだ。
冷静になれと、何度も自らに言い聞かせた。こんな女幽霊もどきがいる廃墟でゾンビに食われて死ぬなんて最後は絶対嫌だ。
まず、避難経路だ。今さっきゾンビたちが上ってきたのは、建物中央に位置する中階段。俺が上ったのは、南端に位置する外階段。ゾンビが階上まで上がって来ているこの状況では、中階段の利用はできない。端部屋から外階段へ飛び移れれば……いや、待てよ……俺の視線はベランダへと移動した。
避難はしご……避難はしごがあるはずだ!!
と、スチール製のドアが激しい音を立て、部屋全体が揺れた。
「バン! バン! バンバン!」
中に入ろうとしてやがる。早くここを出なければ……いや、冷静になれ。ちゃっちいように見えても、ドアはそう簡単に破られないはず。
この公団住宅のドアは内から外へ向かって開くタイプだ。外側から圧力をかけても蝶番は壊れない。廊下側の窓には鉄格子がはまっているし、大丈夫だ。落ち着け、俺。
この部屋のベランダには避難ハシゴは設置されていない。一つの階につき、十部屋並んでいて、俺が今いるのは五部屋目。ちょうど真ん中だ。この規模だと避難ハシゴは階ごとに二カ所設置されているはず。いや、されている、されていないと困る。
俺はゴルフクラブを片手に金槌とフライパンの入ったリュックを背負った。建て付けの悪いサッシ窓を開けてふたたびベランダに出る。ゾンビが出た部屋とは反対方向の隔て板に、俺はゴルフクラブを打ち付けた。
「おっ」
一撃で穴が開いた。この隔て板、破るのは初めてである。想像以上に脆いんだな。音が気になるところではあるが……
数回で通れるくらいの穴を開けることができた。破片や尖った部分に気をつけながら、俺は穴をくぐり抜けた。だが、隣の部屋に避難ハシゴはなかった。
いちいち落胆している暇はない。ゾンビの気配に注意しながら、俺は次の隔て板を破った。
あった!!
避難ハシゴ、あった。飛び上がりたいくらい嬉しい。まだ安心できる状況ではないけどな。
俺は避難ハシゴの上蓋を開けた。ふむふむ……蓋の裏側に絵付きの説明が貼ってある。蓋を固定したあと、このレバーを押すのか。レバーを押したとたん、「ジャラジャラジャラ」と音を立ててハシゴが落下した。
結構うるさいな。ハシゴを下りている途中で襲われたら、一溜まりもない。俺は細心の注意を払いつつ、下りた。しかし、ゴルフクラブ邪魔だ。重いし……
階下にゾンビはいなかった。ひとまず、ホッとする。
二回目以降は最初よりスムーズに下りることができた。梯子を下りるたびに慣れ、緊張感は薄れていく。
四階、三階、二階まで下り、ハシゴが下へ落ちるジャラジャラ音が心地よく感じられるようになった。あと一回下りれば、一階だ! 俺は弾む気持ちで避難梯子の上蓋を開けた。しかし……
希望は一瞬で絶望に変わる。
頭頂部の禿げた青黒いゾンビが呻き声を上げて、こちらを見上げていた。俺はベランダの床に這いつくばり、ゴルフクラブを下へ突き出してみた。
「こんのハゲェーーー!!」
かすりはしても、まったく届かない。ゴルフクラブ、使えねぇー!!
発見した時はあんなに嬉しかったのに、全然使えないゴルフクラブ……どうしよう、あのゾンビをなんとかせねば、一階までは下りられない。何か重い物を落とすか……
すると、かなり大きな音を出してしまうことになる。しかも、その重い物を探すために室内へ戻らなければならず、窓ガラスを割ることになる。
建物の端、外階段のほうと建物中央、正面玄関の辺りに大群がいる。
俺が今いる部屋は正面玄関から二部屋しか離れていない。一階で大きな音をたてれば、奴らは必ず引き寄せられるだろう。
飛び降りるか? いや、運動不足でぽっちゃりさんのこの俺が二階から飛び降りて、捻挫でもしたら最悪だ。走って逃げられなければ、確実に死ぬ。
音で引きつけ、ゾンビを別の所に集めてから走って逃げるか?
まず隔て板を破り、一番端の部屋へと移動する。そこで大きな音を立ててゾンビたちを引きつける。ゾンビたちが移動したら、音を立てずに真ん中の部屋まで戻り、ベランダの窓ガラスを破って中階段から逃げる。
……これが現実的か……待てよ……? 今、邪魔しているのはゾンビ一匹だけだ。
そこで電話がプツンと切れた。俺は茫然と電源の切れたスマホの黒い画面を見つめるしかなかった。
しかし、ぼんやりもしてられない。日が長くなったとはいえ、もう四時を過ぎている。暗くなるまえになんとか脱出せねば……
俺はベランダから、二十一棟が建ち並ぶ公団の東側半分の状況を確認した。
いる。ゾンビがうようよ。二十頭ぐらいの大群が三つ。すぐ下と正面の道を入って奥、それと南方向にいる。自転車を置いたのは反対側だ。回りこもうとしても、どちら側からも塞がれてしまった。
一、二頭なら、なんとかなるが、三頭以上はきつい。ベランダの反対、外廊下側は俺の悲鳴のせいで五十頭くらいの大群が集まっているし……
室内に戻り、俺は外廊下側の様子をもう一度確認しようと思った。なんの不信感も抱かず、勢いよく玄関ドアを開ける。次の瞬間、俺は声を失った。軋み音と共に外の空気が流れ込んでくる。
「ウギヤァアアアアアア」
同時に叫び声も……すぐそばの階段から何頭も上がってくる。そして、まっすぐこちらへと……
「ヒッ」
声にならない悲鳴をあげ、俺はドアを閉めた。反応はゆっくりでも、ゾンビは俺のことを確実にサーチしている。まずいな……これでは八方塞がりだ。
冷静になれと、何度も自らに言い聞かせた。こんな女幽霊もどきがいる廃墟でゾンビに食われて死ぬなんて最後は絶対嫌だ。
まず、避難経路だ。今さっきゾンビたちが上ってきたのは、建物中央に位置する中階段。俺が上ったのは、南端に位置する外階段。ゾンビが階上まで上がって来ているこの状況では、中階段の利用はできない。端部屋から外階段へ飛び移れれば……いや、待てよ……俺の視線はベランダへと移動した。
避難はしご……避難はしごがあるはずだ!!
と、スチール製のドアが激しい音を立て、部屋全体が揺れた。
「バン! バン! バンバン!」
中に入ろうとしてやがる。早くここを出なければ……いや、冷静になれ。ちゃっちいように見えても、ドアはそう簡単に破られないはず。
この公団住宅のドアは内から外へ向かって開くタイプだ。外側から圧力をかけても蝶番は壊れない。廊下側の窓には鉄格子がはまっているし、大丈夫だ。落ち着け、俺。
この部屋のベランダには避難ハシゴは設置されていない。一つの階につき、十部屋並んでいて、俺が今いるのは五部屋目。ちょうど真ん中だ。この規模だと避難ハシゴは階ごとに二カ所設置されているはず。いや、されている、されていないと困る。
俺はゴルフクラブを片手に金槌とフライパンの入ったリュックを背負った。建て付けの悪いサッシ窓を開けてふたたびベランダに出る。ゾンビが出た部屋とは反対方向の隔て板に、俺はゴルフクラブを打ち付けた。
「おっ」
一撃で穴が開いた。この隔て板、破るのは初めてである。想像以上に脆いんだな。音が気になるところではあるが……
数回で通れるくらいの穴を開けることができた。破片や尖った部分に気をつけながら、俺は穴をくぐり抜けた。だが、隣の部屋に避難ハシゴはなかった。
いちいち落胆している暇はない。ゾンビの気配に注意しながら、俺は次の隔て板を破った。
あった!!
避難ハシゴ、あった。飛び上がりたいくらい嬉しい。まだ安心できる状況ではないけどな。
俺は避難ハシゴの上蓋を開けた。ふむふむ……蓋の裏側に絵付きの説明が貼ってある。蓋を固定したあと、このレバーを押すのか。レバーを押したとたん、「ジャラジャラジャラ」と音を立ててハシゴが落下した。
結構うるさいな。ハシゴを下りている途中で襲われたら、一溜まりもない。俺は細心の注意を払いつつ、下りた。しかし、ゴルフクラブ邪魔だ。重いし……
階下にゾンビはいなかった。ひとまず、ホッとする。
二回目以降は最初よりスムーズに下りることができた。梯子を下りるたびに慣れ、緊張感は薄れていく。
四階、三階、二階まで下り、ハシゴが下へ落ちるジャラジャラ音が心地よく感じられるようになった。あと一回下りれば、一階だ! 俺は弾む気持ちで避難梯子の上蓋を開けた。しかし……
希望は一瞬で絶望に変わる。
頭頂部の禿げた青黒いゾンビが呻き声を上げて、こちらを見上げていた。俺はベランダの床に這いつくばり、ゴルフクラブを下へ突き出してみた。
「こんのハゲェーーー!!」
かすりはしても、まったく届かない。ゴルフクラブ、使えねぇー!!
発見した時はあんなに嬉しかったのに、全然使えないゴルフクラブ……どうしよう、あのゾンビをなんとかせねば、一階までは下りられない。何か重い物を落とすか……
すると、かなり大きな音を出してしまうことになる。しかも、その重い物を探すために室内へ戻らなければならず、窓ガラスを割ることになる。
建物の端、外階段のほうと建物中央、正面玄関の辺りに大群がいる。
俺が今いる部屋は正面玄関から二部屋しか離れていない。一階で大きな音をたてれば、奴らは必ず引き寄せられるだろう。
飛び降りるか? いや、運動不足でぽっちゃりさんのこの俺が二階から飛び降りて、捻挫でもしたら最悪だ。走って逃げられなければ、確実に死ぬ。
音で引きつけ、ゾンビを別の所に集めてから走って逃げるか?
まず隔て板を破り、一番端の部屋へと移動する。そこで大きな音を立ててゾンビたちを引きつける。ゾンビたちが移動したら、音を立てずに真ん中の部屋まで戻り、ベランダの窓ガラスを破って中階段から逃げる。
……これが現実的か……待てよ……? 今、邪魔しているのはゾンビ一匹だけだ。
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