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本編
31.ぶりっ子ブリトニー②
普通に考えれば一族の行事に部外者を連れて来るなどあり得ない話だ。
しかし次の辺境伯になると勘違いしていたデニスは、自分なら多少のルール違反は許されると思っていたのだろう。
その点で、今まで私の婚約者でお婿さん決定だった彼を甘やかしてしまった私たちにも責任はあるかもしれない。
何しろおじい様は剣の腕が立つデニスをとても可愛がっていた。
実の祖父でもないのに『おじい様』呼びを許していた事にもそれは現れている。
鍛錬においては厳しくとも、生活面では非常に甘やかした自覚があるはずだ。
「デニス。お前はなぜ、彼女を連れてきたのだ?」
「えーと、おじい様に『ブリトニーを紹介する良い機会かなぁ』って思って……」
「お前も狩猟祭のしきたりは知っていると思っていたが……どうやら間違いだったようだな」
「でも、ブラッドリーだって来てるんだから、ブリトニーだって……」
「ブラッドリーはステファニーと正式に婚約して初めて、お披露目のために連れて来たのだ。フォールン男爵令嬢はお前の恋人なのだろう? 彼と一緒にされては困る」
「だから、ここで婚約を認めてもらおうとしてたんだけど……」
「ほう。先ほどはステファニーと結婚する相手を決闘で決めようとしていたのではなかったか?」
「……それはさっき、やっぱり元に戻してもらおうと……」
おじい様が深く息を吐き首を横に振った。
「デニス、お前は本当にフォールン嬢を好きになったのか?」
「え? 好きだよ」
「ではなぜ、ステファニーの婚約者に戻ろうとした?」
「なぜって、それは辺境伯になるのは俺だったのに……ブラッドリーに取られるなんて悔しくて……」
「そんなだから、ホイホイ女の甘言に騙されるのだろう!」
「騙される?」
「そうだろう。フォールン嬢はお前がステファニーとよりを戻すことに何か言ったか?」
デニスは何を言われたのかよく分かってなさそうだけど、それでも素直に考えているようだった。
しかし次の辺境伯になると勘違いしていたデニスは、自分なら多少のルール違反は許されると思っていたのだろう。
その点で、今まで私の婚約者でお婿さん決定だった彼を甘やかしてしまった私たちにも責任はあるかもしれない。
何しろおじい様は剣の腕が立つデニスをとても可愛がっていた。
実の祖父でもないのに『おじい様』呼びを許していた事にもそれは現れている。
鍛錬においては厳しくとも、生活面では非常に甘やかした自覚があるはずだ。
「デニス。お前はなぜ、彼女を連れてきたのだ?」
「えーと、おじい様に『ブリトニーを紹介する良い機会かなぁ』って思って……」
「お前も狩猟祭のしきたりは知っていると思っていたが……どうやら間違いだったようだな」
「でも、ブラッドリーだって来てるんだから、ブリトニーだって……」
「ブラッドリーはステファニーと正式に婚約して初めて、お披露目のために連れて来たのだ。フォールン男爵令嬢はお前の恋人なのだろう? 彼と一緒にされては困る」
「だから、ここで婚約を認めてもらおうとしてたんだけど……」
「ほう。先ほどはステファニーと結婚する相手を決闘で決めようとしていたのではなかったか?」
「……それはさっき、やっぱり元に戻してもらおうと……」
おじい様が深く息を吐き首を横に振った。
「デニス、お前は本当にフォールン嬢を好きになったのか?」
「え? 好きだよ」
「ではなぜ、ステファニーの婚約者に戻ろうとした?」
「なぜって、それは辺境伯になるのは俺だったのに……ブラッドリーに取られるなんて悔しくて……」
「そんなだから、ホイホイ女の甘言に騙されるのだろう!」
「騙される?」
「そうだろう。フォールン嬢はお前がステファニーとよりを戻すことに何か言ったか?」
デニスは何を言われたのかよく分かってなさそうだけど、それでも素直に考えているようだった。
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