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本編
44.ブリトニーは?②〈第三者side〉
〈第三者side〉
カレンの語った内容は……。
この国で一番の富豪と言われる準男爵の奥方が決まったという話だった。
その準男爵は御歳五十五才、最近息子に商売を任せ隠居を始めたらしく、若い後妻を探していたそうだ。
しかしこの男、あまり評判がよろしくない。
今までに四人の妻がいたそうで、そのいずれもが、三十路を前に離縁か死別している。
若い女が好きらしく、妻がいないと気まぐれでメイドに手を付けるため、親族が常に若い妻を用意しているらしいという噂が実しやかに流布されている。
どうやら妻を紐で縛り。
手や鞭で尻を打ち。
時にはローソクを垂らしたりするらしい。
ここまで聞いた人の中には、そっと顔を逸らしたり、目を泳がせたり、明後日のほうを向く令嬢もいたのだけど……。
これについて意見や感想を述べるものは皆無だった。
しかしここに、顔を強張らせ固まっている者が、若干一名存在する。
「それ、本当なの?」
「いや、噂よ。あくまでも噂」
「それって普通!?」
「え? いやいや、普通じゃないでしょ!?」
慌ててカレンが否定するが、幼いころに両親を相次いで亡くしているステファニーには、普通の夫婦とはどのように家で過ごすのかが分からない。
「何だか私、結婚が怖くなってきたわ……」
「そんなのしないわよ? 異常なの! だから今こんなに騒がれて、噂が流れてるんでしょ? ねぇ?」
カレンは慌てて否定して、今度は周囲にも助けを求めた。
「ステファニー、大丈夫よ。そんな事、ブラッドリーはしないわよ。……たぶん」
「ブラッドリーはステファニーには優しいでしょう? ……きっと」
二人の脳裏にはチラッと、黒いオーラが立ち昇るブラッドリーの姿が過ぎったが、アレをステファニーが見る事は無いはずだと思い直す。
「そうよ。私の婚約者はブラッドだもの。彼は優しいから大丈夫よね?」
「うん」
「そうそう」
「そうですわ」
ようやく落ち着いたステファニーに一同が安堵の息を洩らす。
次からが本題だ。
カレンの語った内容は……。
この国で一番の富豪と言われる準男爵の奥方が決まったという話だった。
その準男爵は御歳五十五才、最近息子に商売を任せ隠居を始めたらしく、若い後妻を探していたそうだ。
しかしこの男、あまり評判がよろしくない。
今までに四人の妻がいたそうで、そのいずれもが、三十路を前に離縁か死別している。
若い女が好きらしく、妻がいないと気まぐれでメイドに手を付けるため、親族が常に若い妻を用意しているらしいという噂が実しやかに流布されている。
どうやら妻を紐で縛り。
手や鞭で尻を打ち。
時にはローソクを垂らしたりするらしい。
ここまで聞いた人の中には、そっと顔を逸らしたり、目を泳がせたり、明後日のほうを向く令嬢もいたのだけど……。
これについて意見や感想を述べるものは皆無だった。
しかしここに、顔を強張らせ固まっている者が、若干一名存在する。
「それ、本当なの?」
「いや、噂よ。あくまでも噂」
「それって普通!?」
「え? いやいや、普通じゃないでしょ!?」
慌ててカレンが否定するが、幼いころに両親を相次いで亡くしているステファニーには、普通の夫婦とはどのように家で過ごすのかが分からない。
「何だか私、結婚が怖くなってきたわ……」
「そんなのしないわよ? 異常なの! だから今こんなに騒がれて、噂が流れてるんでしょ? ねぇ?」
カレンは慌てて否定して、今度は周囲にも助けを求めた。
「ステファニー、大丈夫よ。そんな事、ブラッドリーはしないわよ。……たぶん」
「ブラッドリーはステファニーには優しいでしょう? ……きっと」
二人の脳裏にはチラッと、黒いオーラが立ち昇るブラッドリーの姿が過ぎったが、アレをステファニーが見る事は無いはずだと思い直す。
「そうよ。私の婚約者はブラッドだもの。彼は優しいから大丈夫よね?」
「うん」
「そうそう」
「そうですわ」
ようやく落ち着いたステファニーに一同が安堵の息を洩らす。
次からが本題だ。
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