【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵

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舞台裏

65.騎士科〈デニスside〉

〈デニスside〉



 俺は生まれてからずっと、南の辺境伯領で育ってきた。

 それはおじい様が直接俺に剣を教えるためだ。

 アンバー伯爵家三男の俺は、同じ年に生まれた本家──グランデ辺境伯のステファニーと結婚することが生まれてすぐに決められた。

 だから、おじい様って言っても、実際には本家の当主で、俺は本当の孫じゃない。

 だけど俺はそんな事知らなかったし、それが特に何か重要な事だとも思ってなかった。



 ただ『大人になったらステファニーと結婚して、俺が辺境伯になる』って、そう思ってたんだ。



 そんな俺も十五歳になって、王都の学園に行くことになり、寮生活が始まった。

 ここで俺は初めて、おじい様の訓練が普通じゃ無かったことを知る。

 初めはみんな、ふざけてるのかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい。



「騎士科 舐めてた……」

「もう走れない!」

「え……これから腹筋? 嘘だろ!?」

「素振り千回は……死ねる」

「は? 休み明けから遠征!?」



 せっかく休みの日に遊ぼうとしても、あいつら筋肉痛やら体力限界で一日中ダラダラしてるから、俺はひとりでヒマだった。

 だから街にひとりで遊びに行ったりしてたんだけど、毎回女の子に囲まれるようになった。

 

「デニス様。すごくお強いのですってね」

「デニス様って絵本に出てくる『白馬の王子様』みたいですわよね?」

「私、デニス様とお話ししてみたかったのです!」

「もし宜しかったら、これからカフェに行きませんこと?」

「まぁ、今はわたくしとお話ししていましたのに、日を改めて下さいませ」

「えぇー。あなたついこの間、中庭でデニス様を独り占めしたばかりでしょう? ルールは守って頂きませんと……」



 俺が特に返事しなくても、女の子たちは勝手に寄ってきて、勝手に喋り出す。

 そして俺に気に入られようとして、喜ばせる事を競い合ってやる。



 最初はビックリした。



 俺の知ってる女の子って辺境伯領の子たちだけだったし、特にステファニーは家庭教師より口うるさかったから。

 その点、学園の女の子たちは華やかだし、優しくしてくれるし、すごく褒めてくれるし……あと柔らかくて、スゴく良い匂いがする。

 それに女の子に取り合いされるのも、なんかすごく気分がいい。

 ステファニーももう少し俺の言うこと聞いてくれたり、可愛く話しかけて来たら良かったのに……。

 まぁとにかく、俺は訓練して女の子と遊んで……そんな生活を繰り返し、学園生活を満喫していた。
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