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現実のエドウィン③
「知っているはずのない場所……?」
「どうしたアンセム」
「殿下、思い出したことがあります。──キミは校内でも迷子になっていたと言いましたよね?」
「え? あ、そうだけど?」
「では……迷子の者がなぜ、教えもしてない医務室に行けるのですか?」
「へ?」
パナピーアは目を丸くした。
まさか自分の前世の記憶が悪いほうへ作用するとは思わなかったからだ。
「えーと、何となく走ったら……着いて……?」
「それを僕たちが信じると思うのですか?」
「え……でも……」
まったく好感度が上がっていない状態のアンセムでは、パナピーアの味方になってくれない。
それが分かった彼女は、一番攻略がし易かったガイウスに目を向ける。
「ガイウス様……」
しかし彼もまたパナピーアを見る目は冷たかった。
「これで決まりだな」
「え?」
「なに驚いているんだよ。俺はキサマとは初対面だ。それなのにキサマは俺の名を知っていた。……どう考えてもおかしいだろう?」
「そんな……。でも、ガイウス様の活躍は学園でも有名でしょう? あたしがその噂を知っていたってだけで疑うんですか?」
二度目の失言にしまったと思ったが、パナピーアは何とか言い繕って逃れようとしていた。
しかし、ガイウスは自分で危険人物だと確信した相手の言葉には耳を傾けたりしない。
「あのな、俺はこの学園ではミドルネームの『カウロ』で通している。ガイウスと呼ぶのはごく少数の近しい者だ。もし噂を聞いたのならカウロでなければおかしいんだよ」
「あたしそんな設定あったのなんか知らな──」
「やはり密偵と会ってたのか! だからあの林にいたんだな?」
「え? ガイウス様、違います!」
「それならあなたはどこの者です? 誰に頼まれて僕たちに近付いたんですか?」
「アンセム様、違います。あたしはエドウィン様の事が好きで──」
「ほう。男爵令嬢……それも庶子如きが、私に嫁げるとでも思ったのか?」
エドウィンは獲物をいたぶる捕食者のように冷淡な瞳でそう告げた。
「だってあたしは、これから聖魔法が使えるようになるんだもん!」
「それがどうした?」
「だから、あたしは聖女になるって決まってるのよ」
「ほう、聖女に? 今からそんな事が分かるのか?」
「エドウィン様! あたしの話信じてくれるのね?」
「どうしてそうなる……」
エドウィンが害虫を見るような視線を彼女に向け、後をアンセムに引き渡すと合図する。
きっとこれ以上は気味が悪くて耐えられないのだろうが、振られたアンセムも嫌そうに眉を顰めた。
「聖女ですか……キミが選ばれるという根拠を聞きたいのですが?」
「根拠? そんなの無いわよ。だって最初から決まってるのよ? そういうふうにできてるの、この世界は!」
「なるほど。それは組織的な犯行だと自供しているわけですね?」
「へ? なんでそうなるの? おかしいわよ!」
喚きはじめたパナピーアに、エドウィンの我慢の限界がきた。
「喧しい!」
「ヒェッ!」
これにはパナピーアも驚いて黙った。
「これならこの先は近衛に引き継ぎできるだろう。──ジョナサン、あとは任せていいな?」
「はい。陛下には私からご報告しておきます」
戸口で控えていた騎士が豪快な笑顔で頷いた。
「え? え? 待って! 近衛って……騎士団より怖いとこじゃない! あたしまだ何もしてないのに? おかしいわよ! それに聖魔法だってこれからよ? 授業で習った時に覚醒するの! それで聖女になるんだもん! ねぇ、ちょっと、ちゃんと聞いてよぉ。 ──今日始まったのに何で? なんで、もうバットエンドになっちゃうの? おかしいわよぅ~!」
「どうしたアンセム」
「殿下、思い出したことがあります。──キミは校内でも迷子になっていたと言いましたよね?」
「え? あ、そうだけど?」
「では……迷子の者がなぜ、教えもしてない医務室に行けるのですか?」
「へ?」
パナピーアは目を丸くした。
まさか自分の前世の記憶が悪いほうへ作用するとは思わなかったからだ。
「えーと、何となく走ったら……着いて……?」
「それを僕たちが信じると思うのですか?」
「え……でも……」
まったく好感度が上がっていない状態のアンセムでは、パナピーアの味方になってくれない。
それが分かった彼女は、一番攻略がし易かったガイウスに目を向ける。
「ガイウス様……」
しかし彼もまたパナピーアを見る目は冷たかった。
「これで決まりだな」
「え?」
「なに驚いているんだよ。俺はキサマとは初対面だ。それなのにキサマは俺の名を知っていた。……どう考えてもおかしいだろう?」
「そんな……。でも、ガイウス様の活躍は学園でも有名でしょう? あたしがその噂を知っていたってだけで疑うんですか?」
二度目の失言にしまったと思ったが、パナピーアは何とか言い繕って逃れようとしていた。
しかし、ガイウスは自分で危険人物だと確信した相手の言葉には耳を傾けたりしない。
「あのな、俺はこの学園ではミドルネームの『カウロ』で通している。ガイウスと呼ぶのはごく少数の近しい者だ。もし噂を聞いたのならカウロでなければおかしいんだよ」
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「やはり密偵と会ってたのか! だからあの林にいたんだな?」
「え? ガイウス様、違います!」
「それならあなたはどこの者です? 誰に頼まれて僕たちに近付いたんですか?」
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「ほう。男爵令嬢……それも庶子如きが、私に嫁げるとでも思ったのか?」
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「どうしてそうなる……」
エドウィンが害虫を見るような視線を彼女に向け、後をアンセムに引き渡すと合図する。
きっとこれ以上は気味が悪くて耐えられないのだろうが、振られたアンセムも嫌そうに眉を顰めた。
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「根拠? そんなの無いわよ。だって最初から決まってるのよ? そういうふうにできてるの、この世界は!」
「なるほど。それは組織的な犯行だと自供しているわけですね?」
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「喧しい!」
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「はい。陛下には私からご報告しておきます」
戸口で控えていた騎士が豪快な笑顔で頷いた。
「え? え? 待って! 近衛って……騎士団より怖いとこじゃない! あたしまだ何もしてないのに? おかしいわよ! それに聖魔法だってこれからよ? 授業で習った時に覚醒するの! それで聖女になるんだもん! ねぇ、ちょっと、ちゃんと聞いてよぉ。 ──今日始まったのに何で? なんで、もうバットエンドになっちゃうの? おかしいわよぅ~!」
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