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第1章
3話 団らん
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「やっとついたぁ…」
ゴールデンウィーク初日、莉奈は電車で祖父母の家へ向かっていた。朝から数時間も電車内で代わり映えのない田畑や点々と建てられた家屋を眺めていたため着いた頃には大きなあくびをしてしまっていた。相変わらず緑に囲まれたまさにド田舎と言った場所。トンビの鳴き声が山でもないのに木霊し、日陰部分が少なく直射日光を浴びやすいからか少し暑い。しかし空気が気持ちよく開放感のあふれるこの場所はどこかノスタルジックな気持ちにさせる。
「おじいちゃん久しぶり!お正月ぶりかな?」
「おう莉奈、久しぶりだなぁ。せっかくの休日に悪いなあ」
「全然気にしないで!それより腰の方は大丈夫なの?畑で倒れたなんて聞いたときは本気で心配したんだから」
小屋と間違えてもおかしくないような駅を出た莉奈を待ち構えていた祖父は麦わら帽子を被り片手には杖をもう片方の手は腰に当てられ優しい笑顔を向けていた。白のタンクトプを着ており、露出した腕の筋肉は農業で鍛えられていることを一目でわからせるものであった。
「んん。ワシは大丈夫と言うとるのに婆さんもあの医者も大げさなんだ」
「無理しないでよ?これが夏場だったら洒落にならないんだから」
「こんな優しい孫に畑仕事を手伝ってもらえるなんて野菜も幸せモンだな」
「そんな大げさな…」
莉奈がここに来た理由は、祖父がぎっくり腰で倒れ当分畑仕事を禁止されたため、それに変わり莉奈が畑の世話をする事になったからである。
祖父の軽トラックに乗り込み祖母の待つ家に向かう。コンクリートで舗装のされていない荒い道を不安定な動きで進んでいく中、窓の外を眺める。正月ぶりに来たこの村は何も変わるところがない。積雪や木々の葉の色、咲いている華などの自然の変化以外に時の動きを感じるものがなく過去にタイムスリップでもしたのでないかと言った具合である。
「学校の方はどうだ?楽しいか」
「うん!友だちもできたし楽しいよ」
ふと奏人の顔が頭をよぎる。あの一件があってから少し気まずくなっているがお互いに悪いところはないわけで。ゴールデンウィークが明けた際には怒りの勢いに任せ肝心の奏人に冷たくしてしまったことを謝ろうと思う。少し不思議な雰囲気の子ではあるが話してみれば面白そうでもある。学校へ行くことが少しだけ楽しみになる。
「そうかい、それなら良かった。今回の畑仕事で莉奈の他に若いもんが手伝ってくれるんでな。そいつとも仲良くしてやってくれや」
「へえ~おてつだいねぇ。どんな人なの?」
「ん~…年は莉奈くらいのやつだったな。いや若ぇくせして話が合うのなんのって、最近じゃよく家さ呼んでんだ」
自分ほどの若者が祖父と仲良く…にわかには信じがたい話ではあるがそんな人が手伝いに来るのなら安心だと胸をなでおろす。しかしこんな何も無い村で祖父と仲良く慣れる十代の存在はかなり興味を引く。
「さ、そろそろつくからな」
「はーい」
数分の移動を済ませ正月ぶりに見た建物が見える。祖父母の家はまさに田舎特有と言った和風建築であり、木造を中心に使われており黒い瓦が並べられている。縁側には風鈴が早くも吊るされており優しい風に揺られ心地よい音を奏でる。
「ああ、先に行っておくが農業の道具はあっちにあるからな」
祖父が指差す先には赤いトラクターが止められている小屋があり、農業に使われるであろう機械や道具が入っていることを示していた。使い古された小屋でありながら蜘蛛の巣一つできておらず丁寧に使われていることがうかがえる。
「わかってるって~。おじゃましまーっす!」
そう適当な返事を済ませ玄関の引き戸を開ける。建付けが悪くなっているのか少し開きにくく、ガラガラと大きな音を立てていた。紅色のキャリーケースを引きながら入り込むと木材と昔ながらの香りに包みこまれる。
玄関は若干薄暗いが歩くことも容易なほどで部屋のドアはすべてふすま。奥行きの感じる廊下が目の前に広がっていた。玄関に入るとその音に反応した祖母がふすまを開き莉奈の下へと向かう。
「おお、莉奈ちゃんや。遠いのによく来たねぇ」
「おばあちゃん!久しぶりぃ」
短髪で全面白髪の祖母は優しい表情をしておりおそらく手作りであろう朱色のエプロンを着ていた。掛けていた老眼鏡を外しながらこちらに向かってきておりその姿勢の良さは育ちの良さを示唆していた。
「ささ、部屋まで案内するからおいで」
「うん!」
ゆっくりと手招きし階段を上り二階の部屋へと案内する。老人が住んでいるとは思えない急な角度に重いキャリーケースが落とそうとしているように感じる。体力に自身のある莉奈もこの階段には冷や汗をかく。何食わぬ顔で上る祖母に唖然とするもそこまでの高さがないためかあっという間に着く。
「この部屋はねぇ、莉奈ちゃんのお母さんの部屋だったんだよ。ベッドや机はそのままだから遠慮なく使いなねぇ」
「へえ~。お母さんが…」
部屋の中はシンプルで特に目立ったものはない。薄く褪せたピンクの掛け布団のベッドと木製のシンプルな勉強机に古臭い蛍光灯と見たこともない少女漫画が巻ごとに並べられている本棚ほどしかなく住んでいたわけでもないのに懐かしさを覚える。
「夕飯までまだ時間はあるからね。明日に備えてゆっくりしなねぇ」
「夕飯の準備、手伝おうか?」
「ありがたいけど何時間も電車に揺られてるんだから、今はゆっくりするといいよ」
優しく断られ部屋に一人残る莉奈。とりあえず携帯の電源をつけるも、
「電波悪っ…!」
通っていないに等しいほどの電波に携帯の動きはとても快適とは言えない。動画を見ようにもロード画面からなかなか動かず禄に見ることもできない。仕方なく本棚に揃えられている少女漫画の一巻を手に取る。昔ながらの過度に輝いた大きな目のキャラクター、展開もどこか現実離れしている。
「いや、意外と面白いなこれ」
最初は乗り気ではなかったものの読み進めると意外と面白く、今まで読んできたようなお決まりの展開ではないこともありある意味新鮮であった。気付けば読んだ数は十巻にまで及び、その頃には外も暗くなっていた。莉奈は部屋の明かりをつけるとまた読み始める。
「莉奈ちゃーん!ご飯だよー!!」
「はーい!!」
階段下からかすかに祖母の声が聞こえ、大きな声で返事をすると読んでいた漫画を閉じ階段を降り食卓へと向かう。廊下からすでに味噌汁の匂いが鼻をくすぐり、途端に腹をすかせる。食卓に着いた頃には白いふっくらとしたご飯に白い湯気を発する味噌汁、山菜の天ぷらが並んでいる。小鉢に入ったお浸しなどもまた食欲を掻き立てられる。
「美味しそう~!」
「苦手なものがあったら遠慮なく残していいからねぇ」
「あってもこれなら克服できちゃうよ~。いただきまーす」
そんなことを言いながら席につき、箸を手に取る。山菜の天ぷらを頬張るもそのうまさに思わず声を上げる。サクサクの衣に山菜の旨味が食べているのに食欲を湧かす。ご飯が進み、たちまち茶碗から米が消える。味噌汁も豆腐とほうれん草といったシンプルなものでありながら絶品に感じ箸が止まらなくなる。
「なにこれめっちゃ美味しい!!」
「あらあら嬉しいねえ。たくさんあるから遠慮なくおかわりしてねぇ」
「おかわりっ!」
そうして至福の時間が過ぎ四杯ほどおかわりをした後、満腹になった莉奈は幸せいっぱいの表情で食後の緑茶を飲む。その幸せそうな表情に祖父母もまた嬉しそうな笑顔を見せる。
「ふぅ~満腹満腹。ごちそうさまでしたぁ」
「お粗末様でした。莉奈ちゃんが美味しそうに食べてくれるからおばあちゃんも嬉しかったわぁ」
「こっちこそこんなに美味しいご飯が食べれて幸せだよぉ」
「お風呂の方も準備はできてるから、いつでも入っていいからねぇ」
「は~い」
若干の食休みも済ませ、準備をして風呂場に向かう。少し狭いがそれもまた田舎らしい味に感じ気にすることはない。少し熱い湯船に浸かり一日の疲れを取る。長時間電車に乗ったこと以外何もしていないということに関しては気づいていないふりをして一息つく。
「私くらいの子か~。おじいちゃんと仲良くなるなんてどんな子なんだろう」
ふと莉奈の頭をよぎったことがわかりやすく声に出る。冷静に考えれば不思議なことでもないのかもしれない。ほとんどの娯楽が一つか二つ世代を遡っているようなものしかない村で通じない話をしろという方が難しいのだから。
「…なんかそう思ったらちゃんと仲良くなれるか不安になってきたな……」
かなり昔の知識を持った高校生と最近の流行の知識で生きている高校生が仲良くなるというのは試練ほどの難しさにも感じる。スマホの存在すら知らないような子だったとしたら未来人による魔法の道具紹介になってしまうかもしれない。そんな某青色の猫型ロボットのような役割は遠慮したいものである。あわよくばよくある漫画のような田舎少年と現代っ子少女による数日限定の甘酸っぱい恋愛に発展したいところだが、そこを大きく逸れてしまっては困る。
「莉奈ちゃん、ずいぶんと長風呂だけど大丈夫なのかい?」
「ちょっと考え事してただけ~!もう少ししたら出るから大丈夫だよ」
くだらないことを考えていると祖母の心配そうな呼びかけが扉の外側から聞こえ、かなりの時間が経っていたことに気付く。冷静になることも兼ねて少しの冷水を桶に溜め、頭から被り風呂場をあとにした。軽くのぼせていた頭をスッキリさせ床についたのだった。
ゴールデンウィーク初日、莉奈は電車で祖父母の家へ向かっていた。朝から数時間も電車内で代わり映えのない田畑や点々と建てられた家屋を眺めていたため着いた頃には大きなあくびをしてしまっていた。相変わらず緑に囲まれたまさにド田舎と言った場所。トンビの鳴き声が山でもないのに木霊し、日陰部分が少なく直射日光を浴びやすいからか少し暑い。しかし空気が気持ちよく開放感のあふれるこの場所はどこかノスタルジックな気持ちにさせる。
「おじいちゃん久しぶり!お正月ぶりかな?」
「おう莉奈、久しぶりだなぁ。せっかくの休日に悪いなあ」
「全然気にしないで!それより腰の方は大丈夫なの?畑で倒れたなんて聞いたときは本気で心配したんだから」
小屋と間違えてもおかしくないような駅を出た莉奈を待ち構えていた祖父は麦わら帽子を被り片手には杖をもう片方の手は腰に当てられ優しい笑顔を向けていた。白のタンクトプを着ており、露出した腕の筋肉は農業で鍛えられていることを一目でわからせるものであった。
「んん。ワシは大丈夫と言うとるのに婆さんもあの医者も大げさなんだ」
「無理しないでよ?これが夏場だったら洒落にならないんだから」
「こんな優しい孫に畑仕事を手伝ってもらえるなんて野菜も幸せモンだな」
「そんな大げさな…」
莉奈がここに来た理由は、祖父がぎっくり腰で倒れ当分畑仕事を禁止されたため、それに変わり莉奈が畑の世話をする事になったからである。
祖父の軽トラックに乗り込み祖母の待つ家に向かう。コンクリートで舗装のされていない荒い道を不安定な動きで進んでいく中、窓の外を眺める。正月ぶりに来たこの村は何も変わるところがない。積雪や木々の葉の色、咲いている華などの自然の変化以外に時の動きを感じるものがなく過去にタイムスリップでもしたのでないかと言った具合である。
「学校の方はどうだ?楽しいか」
「うん!友だちもできたし楽しいよ」
ふと奏人の顔が頭をよぎる。あの一件があってから少し気まずくなっているがお互いに悪いところはないわけで。ゴールデンウィークが明けた際には怒りの勢いに任せ肝心の奏人に冷たくしてしまったことを謝ろうと思う。少し不思議な雰囲気の子ではあるが話してみれば面白そうでもある。学校へ行くことが少しだけ楽しみになる。
「そうかい、それなら良かった。今回の畑仕事で莉奈の他に若いもんが手伝ってくれるんでな。そいつとも仲良くしてやってくれや」
「へえ~おてつだいねぇ。どんな人なの?」
「ん~…年は莉奈くらいのやつだったな。いや若ぇくせして話が合うのなんのって、最近じゃよく家さ呼んでんだ」
自分ほどの若者が祖父と仲良く…にわかには信じがたい話ではあるがそんな人が手伝いに来るのなら安心だと胸をなでおろす。しかしこんな何も無い村で祖父と仲良く慣れる十代の存在はかなり興味を引く。
「さ、そろそろつくからな」
「はーい」
数分の移動を済ませ正月ぶりに見た建物が見える。祖父母の家はまさに田舎特有と言った和風建築であり、木造を中心に使われており黒い瓦が並べられている。縁側には風鈴が早くも吊るされており優しい風に揺られ心地よい音を奏でる。
「ああ、先に行っておくが農業の道具はあっちにあるからな」
祖父が指差す先には赤いトラクターが止められている小屋があり、農業に使われるであろう機械や道具が入っていることを示していた。使い古された小屋でありながら蜘蛛の巣一つできておらず丁寧に使われていることがうかがえる。
「わかってるって~。おじゃましまーっす!」
そう適当な返事を済ませ玄関の引き戸を開ける。建付けが悪くなっているのか少し開きにくく、ガラガラと大きな音を立てていた。紅色のキャリーケースを引きながら入り込むと木材と昔ながらの香りに包みこまれる。
玄関は若干薄暗いが歩くことも容易なほどで部屋のドアはすべてふすま。奥行きの感じる廊下が目の前に広がっていた。玄関に入るとその音に反応した祖母がふすまを開き莉奈の下へと向かう。
「おお、莉奈ちゃんや。遠いのによく来たねぇ」
「おばあちゃん!久しぶりぃ」
短髪で全面白髪の祖母は優しい表情をしておりおそらく手作りであろう朱色のエプロンを着ていた。掛けていた老眼鏡を外しながらこちらに向かってきておりその姿勢の良さは育ちの良さを示唆していた。
「ささ、部屋まで案内するからおいで」
「うん!」
ゆっくりと手招きし階段を上り二階の部屋へと案内する。老人が住んでいるとは思えない急な角度に重いキャリーケースが落とそうとしているように感じる。体力に自身のある莉奈もこの階段には冷や汗をかく。何食わぬ顔で上る祖母に唖然とするもそこまでの高さがないためかあっという間に着く。
「この部屋はねぇ、莉奈ちゃんのお母さんの部屋だったんだよ。ベッドや机はそのままだから遠慮なく使いなねぇ」
「へえ~。お母さんが…」
部屋の中はシンプルで特に目立ったものはない。薄く褪せたピンクの掛け布団のベッドと木製のシンプルな勉強机に古臭い蛍光灯と見たこともない少女漫画が巻ごとに並べられている本棚ほどしかなく住んでいたわけでもないのに懐かしさを覚える。
「夕飯までまだ時間はあるからね。明日に備えてゆっくりしなねぇ」
「夕飯の準備、手伝おうか?」
「ありがたいけど何時間も電車に揺られてるんだから、今はゆっくりするといいよ」
優しく断られ部屋に一人残る莉奈。とりあえず携帯の電源をつけるも、
「電波悪っ…!」
通っていないに等しいほどの電波に携帯の動きはとても快適とは言えない。動画を見ようにもロード画面からなかなか動かず禄に見ることもできない。仕方なく本棚に揃えられている少女漫画の一巻を手に取る。昔ながらの過度に輝いた大きな目のキャラクター、展開もどこか現実離れしている。
「いや、意外と面白いなこれ」
最初は乗り気ではなかったものの読み進めると意外と面白く、今まで読んできたようなお決まりの展開ではないこともありある意味新鮮であった。気付けば読んだ数は十巻にまで及び、その頃には外も暗くなっていた。莉奈は部屋の明かりをつけるとまた読み始める。
「莉奈ちゃーん!ご飯だよー!!」
「はーい!!」
階段下からかすかに祖母の声が聞こえ、大きな声で返事をすると読んでいた漫画を閉じ階段を降り食卓へと向かう。廊下からすでに味噌汁の匂いが鼻をくすぐり、途端に腹をすかせる。食卓に着いた頃には白いふっくらとしたご飯に白い湯気を発する味噌汁、山菜の天ぷらが並んでいる。小鉢に入ったお浸しなどもまた食欲を掻き立てられる。
「美味しそう~!」
「苦手なものがあったら遠慮なく残していいからねぇ」
「あってもこれなら克服できちゃうよ~。いただきまーす」
そんなことを言いながら席につき、箸を手に取る。山菜の天ぷらを頬張るもそのうまさに思わず声を上げる。サクサクの衣に山菜の旨味が食べているのに食欲を湧かす。ご飯が進み、たちまち茶碗から米が消える。味噌汁も豆腐とほうれん草といったシンプルなものでありながら絶品に感じ箸が止まらなくなる。
「なにこれめっちゃ美味しい!!」
「あらあら嬉しいねえ。たくさんあるから遠慮なくおかわりしてねぇ」
「おかわりっ!」
そうして至福の時間が過ぎ四杯ほどおかわりをした後、満腹になった莉奈は幸せいっぱいの表情で食後の緑茶を飲む。その幸せそうな表情に祖父母もまた嬉しそうな笑顔を見せる。
「ふぅ~満腹満腹。ごちそうさまでしたぁ」
「お粗末様でした。莉奈ちゃんが美味しそうに食べてくれるからおばあちゃんも嬉しかったわぁ」
「こっちこそこんなに美味しいご飯が食べれて幸せだよぉ」
「お風呂の方も準備はできてるから、いつでも入っていいからねぇ」
「は~い」
若干の食休みも済ませ、準備をして風呂場に向かう。少し狭いがそれもまた田舎らしい味に感じ気にすることはない。少し熱い湯船に浸かり一日の疲れを取る。長時間電車に乗ったこと以外何もしていないということに関しては気づいていないふりをして一息つく。
「私くらいの子か~。おじいちゃんと仲良くなるなんてどんな子なんだろう」
ふと莉奈の頭をよぎったことがわかりやすく声に出る。冷静に考えれば不思議なことでもないのかもしれない。ほとんどの娯楽が一つか二つ世代を遡っているようなものしかない村で通じない話をしろという方が難しいのだから。
「…なんかそう思ったらちゃんと仲良くなれるか不安になってきたな……」
かなり昔の知識を持った高校生と最近の流行の知識で生きている高校生が仲良くなるというのは試練ほどの難しさにも感じる。スマホの存在すら知らないような子だったとしたら未来人による魔法の道具紹介になってしまうかもしれない。そんな某青色の猫型ロボットのような役割は遠慮したいものである。あわよくばよくある漫画のような田舎少年と現代っ子少女による数日限定の甘酸っぱい恋愛に発展したいところだが、そこを大きく逸れてしまっては困る。
「莉奈ちゃん、ずいぶんと長風呂だけど大丈夫なのかい?」
「ちょっと考え事してただけ~!もう少ししたら出るから大丈夫だよ」
くだらないことを考えていると祖母の心配そうな呼びかけが扉の外側から聞こえ、かなりの時間が経っていたことに気付く。冷静になることも兼ねて少しの冷水を桶に溜め、頭から被り風呂場をあとにした。軽くのぼせていた頭をスッキリさせ床についたのだった。
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