触れられないのが苦しくて

四出 無衣葉

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ある男の一人語り

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出会ったのは偶然だった。出会ったのは必然だった。出会いなんてどうでもよかった。ただあなたのことを好きになった。

居心地のよい空間だった。嫌悪する人物も居たけれど。私にはあなたしか見えていなかった。そんなことはないんだけれど、でも私にとってはあなたが居てくれることでそこは居場所になった。

遊んでくれる人たちが増えて、いろいろ遊ぶようになってから、私は薄々感づいていた。あなたには既に相手が居ることに。あなたに触れるにはどうしようもなく自分が遠い場所に居ることに。

初めは押し込めていた。態度には出ていなかったと思う。わからないけれど。もしかしたらあなたが私にとっての特別だから、それが表に滲み出ていたかもしれないけれど。それに気づいた人もいたのかもしれないけれど。

しばらくして私がどうしようもなく苦手な人と関わるとお互いに嫌い合うような雰囲気になった。あなたも共にいる空間に行くことが難しくなった。あなたの声をあなたの存在を感じられないことは酷く心苦しかったけど、そこにいる時間も減ってしまった。

ある時、あなたが私に悩みを打ち明けてくれた。私はその時とても嬉しかった。醜い人間だと自嘲する。あなたが真剣に苦しんでいるのに私は、私に話してくれたことを、悩みの内容に喜びの感情を抱いてしまっていたのだから。私は自分がとても、とても醜く、あなたに触れたくともあなたに想いを伝えたくとも、それがあなたを汚す行為になると一人、考えていた。

ある時、あなたは悩みを解決できた。それの過程で思わず私の気持ちを打ち明けてしまったけれど、後悔はしていない。あなたは困惑しているようだった。でも拒絶されたわけではないことに安堵と期待を覚えた。それから私は自分を嘲りはすれど、気持ちを隠すことは諦めた。一度打ち明けてしまったもの。もう隠して生きていくことはできなかった。

あなたとずっと思いが通じ合いますように…

どうぞこれからもよろしく
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