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なにもないから
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腹のたつことがあった。無性に悔しくて悔しくて何かに八つ当たりでもしたい気持ちになった。
でもぼくにはなにもないから
空を殴った。ほとんどが窒素で構成された空を。殴っている実感も湧かなければ八つ当たりをできている気さえしないけれど。
でもぼくにはなにもないから
自分で手に入れたものなんて一つたりともない。住む場所も着るものも食べるものも全て、自分で手に入れたなんて胸を張れるものではないのだから。それが無性に悔しくて悲しくて、
でもぼくにはなにもないから
だから空を殴るんだ。悔しくて悲しくて堪えようない怒りも空は優しく受け止めてくれる。あまりにも優しくてまるで殴っている実感は湧かない。だけどものに八つ当たりはできない。ここにあるもの全部、自分のものとは胸を張れないから。人のものは壊しちゃいけない。それが例え自分の身を壊すことになっても。心が壊れるとしても。
ぼくにはなにもないから
昔のぼくはいろんなものを持っていた。だけどぼく一人で手に入れたものなんて一つもないと気づいてからは、なんだか全部を裏切ったような裏切られたような気持ちになった。それを言うのも情けなくてずっと黙りこくったり茶化したりしていたけれど、どうやらそれが気に入らなかったようだ。
ぼくは多くを失った。
失くして無くして亡くしてぼくはお酒に逃げた。ぼくを慰めてくれるのは、窓の外から聞こえる喧騒と少量のアルコール。どれだけ悲しくても涙なんて流れやしないから、ぼくはずっとお酒を飲んだ。自信を喪失した。友達を無くした。元気な自身を亡くした。
ぼくにはなにもないから
でもぼくにはなにもないから、家族がいるけれど、家族がつらくて逃げてきたようなぼくがあそこに自信を持って帰ることなんてできないから。
ぼくにはなにもないけど
なにもないとわかってからもぼくが動くことはなかった。それは諦念でもなんでもなく、それは怠惰という気持ちだ。情けないことに信念よりもぼくのなかでは怠惰が強かった。信念よりも自分を信じることができなかった。
ぼくの足は止まったままだ。だから何一つぼくにはなにもないでいる。これじゃダメだ、ダメなんだ。悔しくて悲しくて仕方ないけど。何かに八つ当たりでもしたいけれど。何一つとしてぼくのものはないから。
ぼくは空を殴るんだ。
でもぼくにはなにもないから
空を殴った。ほとんどが窒素で構成された空を。殴っている実感も湧かなければ八つ当たりをできている気さえしないけれど。
でもぼくにはなにもないから
自分で手に入れたものなんて一つたりともない。住む場所も着るものも食べるものも全て、自分で手に入れたなんて胸を張れるものではないのだから。それが無性に悔しくて悲しくて、
でもぼくにはなにもないから
だから空を殴るんだ。悔しくて悲しくて堪えようない怒りも空は優しく受け止めてくれる。あまりにも優しくてまるで殴っている実感は湧かない。だけどものに八つ当たりはできない。ここにあるもの全部、自分のものとは胸を張れないから。人のものは壊しちゃいけない。それが例え自分の身を壊すことになっても。心が壊れるとしても。
ぼくにはなにもないから
昔のぼくはいろんなものを持っていた。だけどぼく一人で手に入れたものなんて一つもないと気づいてからは、なんだか全部を裏切ったような裏切られたような気持ちになった。それを言うのも情けなくてずっと黙りこくったり茶化したりしていたけれど、どうやらそれが気に入らなかったようだ。
ぼくは多くを失った。
失くして無くして亡くしてぼくはお酒に逃げた。ぼくを慰めてくれるのは、窓の外から聞こえる喧騒と少量のアルコール。どれだけ悲しくても涙なんて流れやしないから、ぼくはずっとお酒を飲んだ。自信を喪失した。友達を無くした。元気な自身を亡くした。
ぼくにはなにもないから
でもぼくにはなにもないから、家族がいるけれど、家族がつらくて逃げてきたようなぼくがあそこに自信を持って帰ることなんてできないから。
ぼくにはなにもないけど
なにもないとわかってからもぼくが動くことはなかった。それは諦念でもなんでもなく、それは怠惰という気持ちだ。情けないことに信念よりもぼくのなかでは怠惰が強かった。信念よりも自分を信じることができなかった。
ぼくの足は止まったままだ。だから何一つぼくにはなにもないでいる。これじゃダメだ、ダメなんだ。悔しくて悲しくて仕方ないけど。何かに八つ当たりでもしたいけれど。何一つとしてぼくのものはないから。
ぼくは空を殴るんだ。
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