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第一章
第19話
しおりを挟む「…………っ!」
あ、起きた。結構長く寝てたな~。
さっきまで昼だったけど、もう夜遅いね。
「大丈夫?僕が見える?」
「!?」
「あ、そんなに怯えないでよ。さすがの僕も傷つくからね。そうだな、声は出せるかい?」
少女は静かに首を振った。
「生まれつきかい?」
……コクン
これは…嘘かな?
「そっか。まぁいいか。しかし、どうしようかな?これじゃ言葉は通じてもコミュニケーションが取りにくいな」
シュン
「あぁ落ち込まないで。そうだ!スキル作ってあげるよ。………これでいいかな?」
《念話》
頭で念じることで言葉を伝えるスキル。似たようなものはあるが、この固有スキルである念話は、魔力を消費せず、ありとあらゆる労力を必要としない。
距離が如何に離れていようと、どんな壁に阻まれていようとも、念話は伝わる。
但し念話が可能になる対象は一度でも視認した者だけで、かつ相手の姿や位置をある程度、認識していなくてはならない。
念話で聞こえてくる声は所持者のもので声が出せない場合、その者の本来の声が音声として使われる。
これを付与して。
「ステータス見てみて。スキルが追加されてると思う。それを僕に使ってみて」
よくわかっていないような顔をしているが、言ったことを信じてくれたようだ。
〔こうですか?〕
無事に上手く使えたようだ。
涼やかな声が聞こえてくる。
「そうそう、いやーこれで話しやすくなった。そうだ、状況は分かってる?」
〔いえ。奴隷商人に運ばれていてその馬車が襲われて、囮に使われたところまでしか覚えていません。でも周囲の状況を見るに捕まってた私を助けてくれたのだと思います。ありがとうございます〕
「いやー助けたと言うよりか、偶然見つけただけなんだけどね」
〔それでも、です。結果的には、こんな私なんかを助けてくれました。ですが、私のことはどうぞここに置いていってください〕
「なんで?」
〔私は忌み子です。この異なる色の瞳は忌み嫌われて来ました。貴方が気にしなくても貴方の仲間の気分を害します。
それに私は化物です。年を取らないし、死ぬこともなく、ほとんどの人が私を傷つけることすらできないんです。そんな私なんてここでひっそりと死んでいった方が……〕
「え、不老不死って普通にいるもんじゃないの?」
〔え?〕
「え?」
何か僕はやらかしちゃった?
〔分かりました、説明します。
まず人間はどうか知りませんが、この異なる色の瞳は魔族の間では不運を呼ぶとして嫌われています。中には生まれて直ぐ殺されてしまう者もいますからその点私は運が良かったと思います〕
〔それで、不老不死についてですが、これは恐らく人間の中では同じように化物という扱いを受けていると思います。理由としては恐らくそのスキルを持って生まれる子供が非常に少ないということ。私の場合は称号の効果ですが。
それから、大昔に人間も魔族も不老不死に近い化物に大きな被害を受けたこともあるのでしょう。その化物が人型の魔物であったことから、人族至上主義の国家も生まれました。それにどんなに殺しても死なないということがみんな怖いんだと思います〕
「へー、そうなんだ」
不老不死がそういう扱いとは思っても見なかったな。でもバレなきゃいいだけだし、別にそんなに問題はないかな。とりあえずあまり量産しないようにしよう。
〔はい、だから私のような化物は置いていくべきだと……〕
「僕も不老不死だよ」
〔……え?〕
「ついでにいえば僕の仲間もね」
〔冗談ですよね?〕
「うん、見せた方が早いかな」
というより説明が面倒。
僕は武器屋のおじさんに作ってもらったシャーペンのようなものを取り出した。
そうこれ、もともと普通の武器だったんだけど呪い付与したら自殺用のアイテムになっちゃって使い道がほぼないんだよね。鑑定結果がこちら。
《首狩りの筆記具》
首に刺すと首を刈る。
首以外に刺しても効果はない。
筆記具の形に意味はない。普通の筆記具としての使用も可能。
対象限定の呪いがかかっていて、効果発動の対象が限定される。
解呪は不可能。
呪:対象限定(所持者のみ)
これで君も自殺マスターだ! by死神
この呪いで一瞬で使い道がなくなったんだよね。なんか死神?が言ってるけど。
まぁゲンドー君が材料に人間の頭が欲しいとき自分の身体に使ってるのよく見るけど。
で、これを首に刺す。
鋭い痛みの後、ゴトッと頭が落ちた。
<な、何してるんですか!?>
で、頭がジュルンと生えた。
<ヒィッ!>
繰り返し刺す、生える、刺す、生える、刺す、生える、刺す、生える、刺す、生える、刺す生える刺す生える刺す生える刺す生える刺す生える刺す生える刺す生える刺す生える刺す生える刺す生える刺す刺スサスサスサスサスサスサス‼
<わ、わ、わかりましたから~!もうやめてください~!>
刺す手を止めた。
気づけば大量に僕の頭が転がっていた。少しやり過ぎたかな?
「信じた?」
〔あんなもの見せられて信じないわけないじゃないですか~!?もっと自分を大切にしてください!〕
「あはは、ごめんね。ちょっとやり過ぎたかな?」
〔ちょっとじゃないです!絶対やり過ぎです!〕
「まぁこれでわかったと思うんだけど、僕も不老不死なんだよ。で、急に悪いとは思ってるんだけど、君さえ良かったら旅についてこない?」
〔本当に急ですね!〕
「ごめんね。でも元々誘うつもりだったんだよ?
それでね、僕と仲間の人たちで旅してるんだけどさ、仲間の中には料理できる人がいなくてね。しかもみんな常識知らずなんだ。だからついてきてくれれば嬉しいなって」
〔う~ん…その仲間の人に会わせてもらうことって出来ますか?〕
出来るよ!って言いながら生産世界の扉を出現させた。てかゲートじゃなくて扉になったってことは家が完成したのか?
驚くことなく魔族の少女が入ったことは驚いた。聞くと、僕の頭が転がっていたのよりは落ち着いていられるって。
うん、全くもってその通り。
「ゲンドー君、マコトさーん、連れてきたよー!」
魔族の少女とゲンドー君、マコトさんは何事もなく無事に会うことができた。
魔族の少女は少しの間、マコトさんと話をして旅の同行に良い返事をくれた。
「なに話してたの?」
〔私が旅に同行することと嫌悪感はないかということ、それから私は名前が無くなってしまったと言うことです〕
「そんなんで嫌悪するなら連れてきてないよ!
あぁ名前そういえばなかったね。無くなってしまったっていうのはよく分からないけど、どうする?」
〔それに関してはあなたに名前をつけて貰ったらとのことですので、よろしくお願いします!〕
「え、僕がつけるの?」
〔可愛い名前にしてくださいね?〕
参ったな~。ネーミングセンス無いんだよなー。う~ん。
「ポチとかじゃダメ?」
〔さすがにポチはやめてください〕
わがままだなぁ。
う~ん………
「アリア……アリアとかどう?
アベリアって花からとってアリア」
<ありがとうございます!>
気に入ってくれたようでなにより。
「じゃあ今日から君はアリア。そういえば名前言ってなかったね、僕はオーマ。
よろしくねアリア!」
〔私こそよろしくお願いします。ご主人様〕
「ご、ご主人様?」
〔あ、私は奴隷のままの方が面倒事が少なそうなんです。だからご主人様と〕
「う~ん、出来れば名前で読んでくれる?」
〔わかりました。オーマ様〕
「まぁ…それならいいか…」
めでたく仲間が増えました!しかも料理人。これで食事に困ることはないね!
さて次はどこ行こうかな~?
※残った頭はスタッフが美味しく頂きました
(食べきれなかった分はゲンドー君にあげました)
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