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第47話 献上品
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「おお! 魔王様! お懐かしゅうございます」
たちまち跪く配下の者に向かって、魔界を統べる王は満足そうに頷いた。
「ザーベナルトよ、よくやってくれた。バルグレンの働きによって奴らの手からは逃れることが出来たが、長い間肉体までは取り戻すことが出来なかった。お前の作ったあれがなければ、余は永遠にあのいまいましい封印石の中に閉じ込められていたことだろう。見事だ」
一同が装置を振り返ると、手下の魔物がレオノーラを中から引っ張り出しているところだった。
ぐったりと疲れ切ったように気を失っている。
「ほう、あれがラルディールの王女か。余にこれほどの屈辱を強いたあの男の末裔というわけだな」
「はっ。我ら魔族の不倶戴天の敵。憎き勇者たちの子孫であります」
「フン。では王女様のご尊顔を拝そうではないか」
心底憎々し気に睨みつけると、魔王は足音を響かせてレオノーラの元へと近づいて行った。
「起きるのだ、小娘!」
レオノーラは頬を張り倒される痛みと衝撃で目を覚ました。
「ひっ! な、何者ですか!」
「小娘、お前の名は何というのだ」
王女は精一杯の虚勢を張って、目の前の魔物を睨みつけた。
「ぶ、無礼な! あなたこそ何者ですか!」
だが魔王は答えずにレオノーラの亜麻色の髪を掴み上げた。
「キャアアアアッ!!」
「余が聞いておるのだ。答えろ、お前の名は?」
王女は髪の痛みをこらえながら渋々答えた。
「レ、レオノーラ・アレクシア・フォン・エーデルシュタインよ」
「フン。エーデルシュタインか。実にいまいましい名前だ。しかしお前はなかなか良い面構えではないか。余は魔界の住人たちを束ねる魔族の王、千年前お前の先祖に封印された魔王だ」
「ま、魔王……あなたが……まさか、伝説では確か勇者によって封印されたはずでは……」
王女の顔はたちまち青ざめた。
「そうだ。そしてお前が余の肉体を復活させてくれたのだ、礼を言うぞ」
魔王と名乗る魔物は、不可解なことを口にした。
「私があなたを復活させた? どういう意味なのです?」
「貴女には勇者の血が流れている事をご存知ですかな?」
進み出て解説を始めたのはザーベナルトであった。
「勇者の血? 何の事ですか?」
「ふむ、やはりご存じないか。まあよろしい。少し説明をしてさしあげましょう」
「千年前、恐れ多くも魔王様を倒した勇者は、魔王様の肉体は討ち果たしたものの、その魂は未だ健在であることを知った。そこで天上の神に願い、聖なる力をもって魔王様の魂を封印した。それが可能だったのは勇者が天に選ばれた者だったからだということですが、その勇者の末裔が貴女なのですよ」
「知りません! 私が勇者の末裔などと、聞いたこともありません!」
「まあ正確には貴女だけではなく貴女の一族、つまりエーデルシュタイン家の者たちですがね。とにかく、かつて魔王様を封印したほどの強力な力を逆用して、魔王様を完全に蘇らせようと作ったのがこの装置で、私の苦労は見事に報われたというわけですよ。貴女の力のおかげでね」
「私の……力?」
「さよう。貴女は勇者の血筋と、聖なる力をも受け継いでいるのです」
「私のせいで、魔王が? そんな……まさか……」
混乱の極みに達した王女は力無く崩れ落ちた。
そこへ部屋中の空気を震わせるほどの大きな笑い声が響いた。
「フハハハハッ! さてこの娘、どうしてくれようか。もはやすでに用済みだがな」
「いかがでございましょう魔王様。殺すのは容易いことですが、どうせならば活かして利用いたしましょう。この娘を使って、守護聖女をおびき寄せるのです」
ザーベナルトはそう進言した。
「なるほど、それもよかろう。そうと決まればようやく身体を手に入れたのだ。守護聖女とやらがやってくるまで、千年ぶりに女の身体を味わわせてもらおうじゃないか」
「それがよろしいかと。この娘はまだ処女ですから、魔王様のお好きなように調教してやって下さい」
ザーベナルトは痩せた手をこすり合わせて追従する。王女はこれから自分の身に降りかかる出来事を察して恐怖に駆られた。
逃げ出したいが腰が抜けて力が出ない。
「勇者の末裔を犯すと言うのも一興だな。積年の怨みをこの女で思う存分晴らしてくれるわ」
「イ、イヤ……来ないで」
この際とばかりにすがる思いで黒衣の男を見遣ると、男は無言で立ったままこちらを冷たく見据えているだけだった。
「魔王様。閨(ねや)の準備はすでに調えてございます。どうぞこちらへ」
ザーベナルトは魔王を先導して寝室へと向かいかけ、手下たちに鋭く命じた。
「お前たち、その娘を運ぶのだ。魔王様への献上品だからな。丁重に扱えよ」
その言葉を受けて、手下の魔物たちは二人でレオノーラを抱え上げ、部屋を出て行った。
「ところでバルグレンよ。この大陸の支配はどれほど進んでおるか」
「はっ。全体の六割ほどはすでに我が方の手に落ちております。いまだ健在な国があと幾つか残っておりますので、現在侵攻準備を進めているところであります。それが済めば、次は他の大陸にとりかかります」
「勇者の末裔の国は滅ぼしたが、例のあの国はどうした?」
「これもいまだ健在です」
「準備でき次第、次はあの国を叩け。お前の言う守護聖女とやらが間違いなく奴らの差し金だとしたら、あの国が残っているのは厄介だ」
「かしこまりました、魔王様」
「住んでいる人間どもからすれば、全く何のことやらわからぬだろうがな」
魔族の主従たちは、高らかに笑い声を響かせて広間を出て行った。
その後、無人になった広間に置かれた装置の中で、千年の長きにわたる封印が解かれて用済みになったはずの球体が、再び青い光を輝かせ始めたことに気づく者は、誰もいなかった。
その後、魔王の城の最上階にある大きな部屋に、王女は運び込まれた。
どうにかして逃げ出したかったが、恐怖で身体が動かない。
そして、それを見透かしたように魔王が近づいてくる。
「クククッ。誰が助けてくれるものか。さあ、憎き勇者の末裔よ、我が前にひれ伏せ!」
そう言うと魔王は裸のレオノーラを腕を掴み、跪かせた。
下半身に身に着けていた腰当てのような装甲をむしり取ると、人間の目には信じられないほどの太さの男性器が屹立していた。
「イヤアアアアッ!! やめて、やめなさい! 私を誰だと思っているの!? ラルディール王国の第一王女、レオノーラですよ!」
だが魔王は若き王女の威厳など全く意に介する様子は無い。
それどころか、魔物の硬直化した赤黒い巨大な肉棒を、口を塞ぐようにレオノーラの唇の間に押し込んだ。
「うむううううううっ!! ゴホオッ!!」
気高き王女のプライドが破壊される苦い味が、口内に広がって行った。
たちまち跪く配下の者に向かって、魔界を統べる王は満足そうに頷いた。
「ザーベナルトよ、よくやってくれた。バルグレンの働きによって奴らの手からは逃れることが出来たが、長い間肉体までは取り戻すことが出来なかった。お前の作ったあれがなければ、余は永遠にあのいまいましい封印石の中に閉じ込められていたことだろう。見事だ」
一同が装置を振り返ると、手下の魔物がレオノーラを中から引っ張り出しているところだった。
ぐったりと疲れ切ったように気を失っている。
「ほう、あれがラルディールの王女か。余にこれほどの屈辱を強いたあの男の末裔というわけだな」
「はっ。我ら魔族の不倶戴天の敵。憎き勇者たちの子孫であります」
「フン。では王女様のご尊顔を拝そうではないか」
心底憎々し気に睨みつけると、魔王は足音を響かせてレオノーラの元へと近づいて行った。
「起きるのだ、小娘!」
レオノーラは頬を張り倒される痛みと衝撃で目を覚ました。
「ひっ! な、何者ですか!」
「小娘、お前の名は何というのだ」
王女は精一杯の虚勢を張って、目の前の魔物を睨みつけた。
「ぶ、無礼な! あなたこそ何者ですか!」
だが魔王は答えずにレオノーラの亜麻色の髪を掴み上げた。
「キャアアアアッ!!」
「余が聞いておるのだ。答えろ、お前の名は?」
王女は髪の痛みをこらえながら渋々答えた。
「レ、レオノーラ・アレクシア・フォン・エーデルシュタインよ」
「フン。エーデルシュタインか。実にいまいましい名前だ。しかしお前はなかなか良い面構えではないか。余は魔界の住人たちを束ねる魔族の王、千年前お前の先祖に封印された魔王だ」
「ま、魔王……あなたが……まさか、伝説では確か勇者によって封印されたはずでは……」
王女の顔はたちまち青ざめた。
「そうだ。そしてお前が余の肉体を復活させてくれたのだ、礼を言うぞ」
魔王と名乗る魔物は、不可解なことを口にした。
「私があなたを復活させた? どういう意味なのです?」
「貴女には勇者の血が流れている事をご存知ですかな?」
進み出て解説を始めたのはザーベナルトであった。
「勇者の血? 何の事ですか?」
「ふむ、やはりご存じないか。まあよろしい。少し説明をしてさしあげましょう」
「千年前、恐れ多くも魔王様を倒した勇者は、魔王様の肉体は討ち果たしたものの、その魂は未だ健在であることを知った。そこで天上の神に願い、聖なる力をもって魔王様の魂を封印した。それが可能だったのは勇者が天に選ばれた者だったからだということですが、その勇者の末裔が貴女なのですよ」
「知りません! 私が勇者の末裔などと、聞いたこともありません!」
「まあ正確には貴女だけではなく貴女の一族、つまりエーデルシュタイン家の者たちですがね。とにかく、かつて魔王様を封印したほどの強力な力を逆用して、魔王様を完全に蘇らせようと作ったのがこの装置で、私の苦労は見事に報われたというわけですよ。貴女の力のおかげでね」
「私の……力?」
「さよう。貴女は勇者の血筋と、聖なる力をも受け継いでいるのです」
「私のせいで、魔王が? そんな……まさか……」
混乱の極みに達した王女は力無く崩れ落ちた。
そこへ部屋中の空気を震わせるほどの大きな笑い声が響いた。
「フハハハハッ! さてこの娘、どうしてくれようか。もはやすでに用済みだがな」
「いかがでございましょう魔王様。殺すのは容易いことですが、どうせならば活かして利用いたしましょう。この娘を使って、守護聖女をおびき寄せるのです」
ザーベナルトはそう進言した。
「なるほど、それもよかろう。そうと決まればようやく身体を手に入れたのだ。守護聖女とやらがやってくるまで、千年ぶりに女の身体を味わわせてもらおうじゃないか」
「それがよろしいかと。この娘はまだ処女ですから、魔王様のお好きなように調教してやって下さい」
ザーベナルトは痩せた手をこすり合わせて追従する。王女はこれから自分の身に降りかかる出来事を察して恐怖に駆られた。
逃げ出したいが腰が抜けて力が出ない。
「勇者の末裔を犯すと言うのも一興だな。積年の怨みをこの女で思う存分晴らしてくれるわ」
「イ、イヤ……来ないで」
この際とばかりにすがる思いで黒衣の男を見遣ると、男は無言で立ったままこちらを冷たく見据えているだけだった。
「魔王様。閨(ねや)の準備はすでに調えてございます。どうぞこちらへ」
ザーベナルトは魔王を先導して寝室へと向かいかけ、手下たちに鋭く命じた。
「お前たち、その娘を運ぶのだ。魔王様への献上品だからな。丁重に扱えよ」
その言葉を受けて、手下の魔物たちは二人でレオノーラを抱え上げ、部屋を出て行った。
「ところでバルグレンよ。この大陸の支配はどれほど進んでおるか」
「はっ。全体の六割ほどはすでに我が方の手に落ちております。いまだ健在な国があと幾つか残っておりますので、現在侵攻準備を進めているところであります。それが済めば、次は他の大陸にとりかかります」
「勇者の末裔の国は滅ぼしたが、例のあの国はどうした?」
「これもいまだ健在です」
「準備でき次第、次はあの国を叩け。お前の言う守護聖女とやらが間違いなく奴らの差し金だとしたら、あの国が残っているのは厄介だ」
「かしこまりました、魔王様」
「住んでいる人間どもからすれば、全く何のことやらわからぬだろうがな」
魔族の主従たちは、高らかに笑い声を響かせて広間を出て行った。
その後、無人になった広間に置かれた装置の中で、千年の長きにわたる封印が解かれて用済みになったはずの球体が、再び青い光を輝かせ始めたことに気づく者は、誰もいなかった。
その後、魔王の城の最上階にある大きな部屋に、王女は運び込まれた。
どうにかして逃げ出したかったが、恐怖で身体が動かない。
そして、それを見透かしたように魔王が近づいてくる。
「クククッ。誰が助けてくれるものか。さあ、憎き勇者の末裔よ、我が前にひれ伏せ!」
そう言うと魔王は裸のレオノーラを腕を掴み、跪かせた。
下半身に身に着けていた腰当てのような装甲をむしり取ると、人間の目には信じられないほどの太さの男性器が屹立していた。
「イヤアアアアッ!! やめて、やめなさい! 私を誰だと思っているの!? ラルディール王国の第一王女、レオノーラですよ!」
だが魔王は若き王女の威厳など全く意に介する様子は無い。
それどころか、魔物の硬直化した赤黒い巨大な肉棒を、口を塞ぐようにレオノーラの唇の間に押し込んだ。
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