85 / 128
▽ 三章 ▽ 其々のカルネアDeath
3-26 Shallow Blue
しおりを挟む
side八参
「ハァハァ、ハァハァっ」
シンドイ。
「ハァハァハっハァハァっ」
こんなシンドイもんなんかよクソ。
自分のせいで好きな人間に何か起きるのは…
薄闇と混じり合う岩肌のトンネルは行きに通った時よりも絶望的に無機質で、振り払えないこの後悔をより一層際立たせてくる。
ザっザっザ…ザ…
「ハァハァ、なぁ八参、気付いてるか?」
「ハァハァっハァっ、俺さ… 」
そう言って足を緩めこっちへ振り返るシロさんは、息が整わない俺の続きを待つ。
「ハァハァ…ダチ、ダチとかっ、ハァ~っツレみたいのっていないんだわ。顔色伺って生き方コロコロ変えらんねーし」
「いや八参… 」
「俺は信じるもんも答えも自分で決めるって……、これはどんなけ重石を乗せられようと、行き止まりだと分かっていても、最期まで絶対ぇ貫くって生きて来た……けど、変わってた周りも変わらない視線も全部が面倒で、でも自分ん中の妙なプライドが深く沈むことも許してくれねぇ。だからこんな世界なんてどうでもイイやって、どっかに行っちまえばって飛行機に乗り込んで、だからこんな所に飛ばされちまっても似合いだなって腹で自嘲ってたんだよ」
押し留めていた感情を言葉にしたら、それは喉の粘膜を削る勢いで吹き出した。
「けどそんなだから俺がっ、俺がリュウコウさんを巻き込んじまった。あんな気の良い人を、俺みたいなっ、終わってるヤツの人生にッ」
「やめろ、もういい」
「よくねーよだってッ、こんな事に、こんな風になっちまったら… 」
あぁ。
こんな言い訳じみた自分語りなんてダサ過ぎてしたくねーよ。
けど、それでもアンタには言っておかなきゃ。
「実は俺、もう長くねんだよ」
ゆっくりとした呼吸二回程。
「……そっか、何なんだろうな」
そんな間を置いてのリアクションは余りにも普通過ぎて…
態度に変化を見せないシロさんだから、俺の告白にもそこまで驚かないとは思ってたけど…
" お前の人生が本当に終わっているとしても、その終わりくらいは選ばしてやりたい…傘代わり程度には "
ふとさっきの台詞が浮かぶ。
「なぁ?もしかして気付いてたのかよ」
「気付いてたと言うか、気にはして見てた。脳か?」
「…あぁ、らしいわ」
俺は肯定の意を含め、クソッタレな頭の横を中指で弾く。
「何で気が付いた?」
「リュウコウ君に酒を注がれた時こぼしたろ?まだ飲み始めの頃に」
そんなことで…
「リュウコウさんも?」
「いや知らないと思う。確証は無かったから話してない」
「…そっか悪い。もっと早くに言… 」
「その自分を貫く生き方にオレ達は動かされた。だから知ってたとしても変わらないよ、リュウコウ君も」
あ~~~、はは…
他人の為に命まで危険に晒せるこの人らはそうなんかもな。
けどそんなアンタらだからこそあの時断るべきだったんだよ、どうしたって。
「それにリュウコウ君はまだ死んでない」
「は?な… 」
何言ってんだよ。
あんな所に流されちまったら生きてる訳…
そう思った言葉と流されて行ったあの光景は、シロさんの真っ直ぐな目線によって霧散した。
「だから自分の事はもういいとかはナシだぞ?オレ達がここで死んだりしたら3人の約束、果たせなくなるからな」
約束…
" きっとシビれるほど最高に美味いはずさ "
リュウコウさん。
アンタらにはホント敵わねぇよ。
そしてさも当たり前の様に疑いなく言い切るシロさんにより、ヒビ割れた胸の隙間が少しだけ塞がれた気がした。
「じゃあ話しを戻すぞ。ここ、本当なら数分前とかにあの拓けた所に着いてる筈なんだよな… 」
そう言われてハッとした俺は後ろを振り返る。
リュウコウさんの事で頭がいっぱいだったのと、代わり映えしない景色で気にしてなかったけど…
確かにそうだ、かなり進んで来た。
「な?まるで悪夢だよ。今のとこアレが追い付いて来ないからまだ良いけど」
そう言って水を飲むシロさん。
「いや、悪夢みたいな世界で何でそんな冷静なん?」
「冷静?目の前の事に集中してるだけで今にもへこたれそうだよ。疲れと不安から逃げ出したいし布団に包まりたい」
全っ然感情こもっちゃねーしその態度。
そもそもあんな正面から殺し屋とバトって、いきなりの天変地異に敵にまで気遣ってただろ。
「悪夢って言うから俺も言うけどさ、……ここ、生きモンの体内とかじゃねぇよな?」
だからかこの人と居ると何とかなりそうな気がするわ。
実際どうにもなんなくても。
「フっ、お前意外とファンタジー脳なんだな」
「うるせぇよっ、こんな滅茶苦茶リアルに考えられっか。けど道が変わっちまうとか物語や映画でもあんだろ?」
「生き物ね。まぁ見てるモノ知覚してるモノが全てじゃないのは同意だけど、………ここが何処にしろ今は進むしかないから行くぞ。あと何かあるかもだから最大限注意な?危険な生物は勿論通れそうな道とかも」
そう言って頷き合った俺達はまた先へと走り出す。
……
…
ザっザっザっ
「フゥーーー~~、一応着いた…な」
行きに来た時の、おそらくは倍以上掛かってたどり着いたあの拓けた場所だけど、こんな仕様はまるで俺達を逃さない為みたいだ。
だからゆっくりと吐き出した息と淡々とした口調だけど、流石のシロさんにも隠せない安堵が滲み出ていた。
「ハァハァハァ、ここは、まんまだよな?」
「……、……、そう…っ⁉︎ 八参、壁際に寄るぞ」
デッケェ空間の奥まで見渡していたシロさんは、突然押し殺しながらも強い口調で素早く動く。
((……何か居たのか?急にどうしたんだよ ))
壁際にしゃがみ込み小声でそう言うと、何も言わないシロさんがしゃくったアゴの先はあの〆縄岩の穴。
祟り?バチ?
そんなもん今まで信じる気にもならなかったけど、流石にこんな場所に来た日には…
(( ちょ、やめてくれよ ))
冗談は…と続けようとした時そこから漏れ出る気配に胸がザワつくと、それはあっという間に鮮明な足音へ変わる。
(( けどこれ人間のだよな?何で隠れんだよ ))
俺は水でも汲みに来た誰かが怖いもの見たさに覗いたんだと思い言う。
(( いや音がおかしいし多過ぎる ))
けどただただ真剣なシロさんに気圧された俺は口をつむぎ
「………っ⁇⁈ 」
そして凝視していたそこから現れたのは、明らかに普通じゃない奴。
いや、次々と引っ切り無しに出て来る人数は20人を優に超え、物々しい異様な奴らが集団を形成した。
な、何だよアレ…
武装、してるのか…
ソイツらは全員手に槍?を持ち、同じような鎧らしき物を纏っている。
これは…
あの雰囲気はとても友好的な感じがしねぇ…
殺し屋の次は軍隊と言う予想外のその光景は正直さっき迫って来た光る渦よかもショックがデカく、何者かとか、何で行き止まりから来たとかの思考が定まらない内に、俺達の元来た旅客機のある方の穴へと消えて行った。
「……ぁ、なぁ、ヤバくね?旅客機に居る奴ら」
「そうだな。けど一本道じゃ報せに行くことも出来ない」
「そ、そうだけどよ…何か、何か出来ねぇのか?」
「戦うか?と言っても2人では無理…だから、向こうで混戦になってからの話しだけど」
「んならすぐ追わねぇとっ」
(( ちょっと待て八参っ ))
ザっザっザっ
「何だよ急ごうぜ?」
そう言って走り出した俺を見るシロさんの視線は、何故か俺ではないもっと向こうを見つめていた。
まさかっ
『ズザッ』
急ブレーキを掛けシロさんの向いてる方へ首を動かすと、そこに更に現れた奴らと俺は目が合った…気がした。
明かりのない場所と120~130mの距離の中、突如開始されたダルマさんが転んだみたいに固まる俺。
「…………… 」
やらかした…
その間にも穴から後続の兵士がゾロゾロ来る。
(( ゆっくりだ、ゆっくりと屈め ))
その声に金縛りが解かれた俺は指示通りに動く。
ッ⁉︎ ダメだ。
目が合ったソイツは隣の奴と何やら話した後、2人でこっちへと向かって歩き出した。
最悪だ…
また俺のせいで。
「悪い…完全に俺のミスだ。シロさんは何とか逃げてくれ」
何処にだよクソっと自分を殴りたくなるけど、俺にはそう言うことしか出来ない。
ザ、ザ、ザ、ザ、ザ…
「遅かれ早かれだ。もし襲って来た場合出来る限りオレが倒すから、お前はオレから5m以内でとにかく致命傷を避けろ。良いな?絶対に無理はするなよ?」
普通じゃない環境、人殺しや重犯罪者に囲まれて、それなりの暴力の中生き抜いて来たって自負があった。
大抵は屈服させたり利用するのが目的の暴力は、明確な報復以外殺しは延長上でも端の端にあったし、精神異常系の奴は自分より弱い奴しか狙わない。
でも戦闘力と殺意を兼ね備えたガチの芝木らと対面し、しかもそれらが罪ですらないここじゃそんな自負何の頼りにもならないことを痛感した。
「ー~ッ、わ、分かった」
だからここまで迷惑を掛け続けた俺はいい加減この感情くらいは押さえ、情けなくともこの人に全てを預けるのが道理。
ザっザっザっ
ザっザっザっ
遠慮など感じられない足音だけど、敵だって決まった訳じゃ…
そんな期待は即裏切られ、兵士達は武器を構え臨戦態勢へ。
はぁ…またサバイバルかよ。
けどそうだな。
ここが俺の死に場所だとしても悪くない。
いや、違うか。
「ハッ」
思っていたよりかずっと…ずっと良いぜ。
どうせ先の見えてるこの命だ。
最後の一欠片までこの人の為に丸ごと使ってやんよ。
目の前に立つ頼もしい背中を見ながら俺は、腹の底から本気でそう思えたんだ。
「ハァハァ、ハァハァっ」
シンドイ。
「ハァハァハっハァハァっ」
こんなシンドイもんなんかよクソ。
自分のせいで好きな人間に何か起きるのは…
薄闇と混じり合う岩肌のトンネルは行きに通った時よりも絶望的に無機質で、振り払えないこの後悔をより一層際立たせてくる。
ザっザっザ…ザ…
「ハァハァ、なぁ八参、気付いてるか?」
「ハァハァっハァっ、俺さ… 」
そう言って足を緩めこっちへ振り返るシロさんは、息が整わない俺の続きを待つ。
「ハァハァ…ダチ、ダチとかっ、ハァ~っツレみたいのっていないんだわ。顔色伺って生き方コロコロ変えらんねーし」
「いや八参… 」
「俺は信じるもんも答えも自分で決めるって……、これはどんなけ重石を乗せられようと、行き止まりだと分かっていても、最期まで絶対ぇ貫くって生きて来た……けど、変わってた周りも変わらない視線も全部が面倒で、でも自分ん中の妙なプライドが深く沈むことも許してくれねぇ。だからこんな世界なんてどうでもイイやって、どっかに行っちまえばって飛行機に乗り込んで、だからこんな所に飛ばされちまっても似合いだなって腹で自嘲ってたんだよ」
押し留めていた感情を言葉にしたら、それは喉の粘膜を削る勢いで吹き出した。
「けどそんなだから俺がっ、俺がリュウコウさんを巻き込んじまった。あんな気の良い人を、俺みたいなっ、終わってるヤツの人生にッ」
「やめろ、もういい」
「よくねーよだってッ、こんな事に、こんな風になっちまったら… 」
あぁ。
こんな言い訳じみた自分語りなんてダサ過ぎてしたくねーよ。
けど、それでもアンタには言っておかなきゃ。
「実は俺、もう長くねんだよ」
ゆっくりとした呼吸二回程。
「……そっか、何なんだろうな」
そんな間を置いてのリアクションは余りにも普通過ぎて…
態度に変化を見せないシロさんだから、俺の告白にもそこまで驚かないとは思ってたけど…
" お前の人生が本当に終わっているとしても、その終わりくらいは選ばしてやりたい…傘代わり程度には "
ふとさっきの台詞が浮かぶ。
「なぁ?もしかして気付いてたのかよ」
「気付いてたと言うか、気にはして見てた。脳か?」
「…あぁ、らしいわ」
俺は肯定の意を含め、クソッタレな頭の横を中指で弾く。
「何で気が付いた?」
「リュウコウ君に酒を注がれた時こぼしたろ?まだ飲み始めの頃に」
そんなことで…
「リュウコウさんも?」
「いや知らないと思う。確証は無かったから話してない」
「…そっか悪い。もっと早くに言… 」
「その自分を貫く生き方にオレ達は動かされた。だから知ってたとしても変わらないよ、リュウコウ君も」
あ~~~、はは…
他人の為に命まで危険に晒せるこの人らはそうなんかもな。
けどそんなアンタらだからこそあの時断るべきだったんだよ、どうしたって。
「それにリュウコウ君はまだ死んでない」
「は?な… 」
何言ってんだよ。
あんな所に流されちまったら生きてる訳…
そう思った言葉と流されて行ったあの光景は、シロさんの真っ直ぐな目線によって霧散した。
「だから自分の事はもういいとかはナシだぞ?オレ達がここで死んだりしたら3人の約束、果たせなくなるからな」
約束…
" きっとシビれるほど最高に美味いはずさ "
リュウコウさん。
アンタらにはホント敵わねぇよ。
そしてさも当たり前の様に疑いなく言い切るシロさんにより、ヒビ割れた胸の隙間が少しだけ塞がれた気がした。
「じゃあ話しを戻すぞ。ここ、本当なら数分前とかにあの拓けた所に着いてる筈なんだよな… 」
そう言われてハッとした俺は後ろを振り返る。
リュウコウさんの事で頭がいっぱいだったのと、代わり映えしない景色で気にしてなかったけど…
確かにそうだ、かなり進んで来た。
「な?まるで悪夢だよ。今のとこアレが追い付いて来ないからまだ良いけど」
そう言って水を飲むシロさん。
「いや、悪夢みたいな世界で何でそんな冷静なん?」
「冷静?目の前の事に集中してるだけで今にもへこたれそうだよ。疲れと不安から逃げ出したいし布団に包まりたい」
全っ然感情こもっちゃねーしその態度。
そもそもあんな正面から殺し屋とバトって、いきなりの天変地異に敵にまで気遣ってただろ。
「悪夢って言うから俺も言うけどさ、……ここ、生きモンの体内とかじゃねぇよな?」
だからかこの人と居ると何とかなりそうな気がするわ。
実際どうにもなんなくても。
「フっ、お前意外とファンタジー脳なんだな」
「うるせぇよっ、こんな滅茶苦茶リアルに考えられっか。けど道が変わっちまうとか物語や映画でもあんだろ?」
「生き物ね。まぁ見てるモノ知覚してるモノが全てじゃないのは同意だけど、………ここが何処にしろ今は進むしかないから行くぞ。あと何かあるかもだから最大限注意な?危険な生物は勿論通れそうな道とかも」
そう言って頷き合った俺達はまた先へと走り出す。
……
…
ザっザっザっ
「フゥーーー~~、一応着いた…な」
行きに来た時の、おそらくは倍以上掛かってたどり着いたあの拓けた場所だけど、こんな仕様はまるで俺達を逃さない為みたいだ。
だからゆっくりと吐き出した息と淡々とした口調だけど、流石のシロさんにも隠せない安堵が滲み出ていた。
「ハァハァハァ、ここは、まんまだよな?」
「……、……、そう…っ⁉︎ 八参、壁際に寄るぞ」
デッケェ空間の奥まで見渡していたシロさんは、突然押し殺しながらも強い口調で素早く動く。
((……何か居たのか?急にどうしたんだよ ))
壁際にしゃがみ込み小声でそう言うと、何も言わないシロさんがしゃくったアゴの先はあの〆縄岩の穴。
祟り?バチ?
そんなもん今まで信じる気にもならなかったけど、流石にこんな場所に来た日には…
(( ちょ、やめてくれよ ))
冗談は…と続けようとした時そこから漏れ出る気配に胸がザワつくと、それはあっという間に鮮明な足音へ変わる。
(( けどこれ人間のだよな?何で隠れんだよ ))
俺は水でも汲みに来た誰かが怖いもの見たさに覗いたんだと思い言う。
(( いや音がおかしいし多過ぎる ))
けどただただ真剣なシロさんに気圧された俺は口をつむぎ
「………っ⁇⁈ 」
そして凝視していたそこから現れたのは、明らかに普通じゃない奴。
いや、次々と引っ切り無しに出て来る人数は20人を優に超え、物々しい異様な奴らが集団を形成した。
な、何だよアレ…
武装、してるのか…
ソイツらは全員手に槍?を持ち、同じような鎧らしき物を纏っている。
これは…
あの雰囲気はとても友好的な感じがしねぇ…
殺し屋の次は軍隊と言う予想外のその光景は正直さっき迫って来た光る渦よかもショックがデカく、何者かとか、何で行き止まりから来たとかの思考が定まらない内に、俺達の元来た旅客機のある方の穴へと消えて行った。
「……ぁ、なぁ、ヤバくね?旅客機に居る奴ら」
「そうだな。けど一本道じゃ報せに行くことも出来ない」
「そ、そうだけどよ…何か、何か出来ねぇのか?」
「戦うか?と言っても2人では無理…だから、向こうで混戦になってからの話しだけど」
「んならすぐ追わねぇとっ」
(( ちょっと待て八参っ ))
ザっザっザっ
「何だよ急ごうぜ?」
そう言って走り出した俺を見るシロさんの視線は、何故か俺ではないもっと向こうを見つめていた。
まさかっ
『ズザッ』
急ブレーキを掛けシロさんの向いてる方へ首を動かすと、そこに更に現れた奴らと俺は目が合った…気がした。
明かりのない場所と120~130mの距離の中、突如開始されたダルマさんが転んだみたいに固まる俺。
「…………… 」
やらかした…
その間にも穴から後続の兵士がゾロゾロ来る。
(( ゆっくりだ、ゆっくりと屈め ))
その声に金縛りが解かれた俺は指示通りに動く。
ッ⁉︎ ダメだ。
目が合ったソイツは隣の奴と何やら話した後、2人でこっちへと向かって歩き出した。
最悪だ…
また俺のせいで。
「悪い…完全に俺のミスだ。シロさんは何とか逃げてくれ」
何処にだよクソっと自分を殴りたくなるけど、俺にはそう言うことしか出来ない。
ザ、ザ、ザ、ザ、ザ…
「遅かれ早かれだ。もし襲って来た場合出来る限りオレが倒すから、お前はオレから5m以内でとにかく致命傷を避けろ。良いな?絶対に無理はするなよ?」
普通じゃない環境、人殺しや重犯罪者に囲まれて、それなりの暴力の中生き抜いて来たって自負があった。
大抵は屈服させたり利用するのが目的の暴力は、明確な報復以外殺しは延長上でも端の端にあったし、精神異常系の奴は自分より弱い奴しか狙わない。
でも戦闘力と殺意を兼ね備えたガチの芝木らと対面し、しかもそれらが罪ですらないここじゃそんな自負何の頼りにもならないことを痛感した。
「ー~ッ、わ、分かった」
だからここまで迷惑を掛け続けた俺はいい加減この感情くらいは押さえ、情けなくともこの人に全てを預けるのが道理。
ザっザっザっ
ザっザっザっ
遠慮など感じられない足音だけど、敵だって決まった訳じゃ…
そんな期待は即裏切られ、兵士達は武器を構え臨戦態勢へ。
はぁ…またサバイバルかよ。
けどそうだな。
ここが俺の死に場所だとしても悪くない。
いや、違うか。
「ハッ」
思っていたよりかずっと…ずっと良いぜ。
どうせ先の見えてるこの命だ。
最後の一欠片までこの人の為に丸ごと使ってやんよ。
目の前に立つ頼もしい背中を見ながら俺は、腹の底から本気でそう思えたんだ。
0
あなたにおすすめの小説
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?
行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。
貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。
元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。
これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。
※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑)
※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。
※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる