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本編
第一話 良く似た双子【前編】
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ここは死者の世界、冥府。
太陽のない、暗闇の世界。
月明かりが空を支配するこの世界では、
夜にしか咲かぬ花が咲き乱れ、
冥府にしか生えない植物が生い茂る。
でも生活は生きた人間とあまり変わらない。
次の転生を待つ住人達の世界を舞台とした物語である。
「こっちです、刑事さん」
一人の若い男が警察を引き連れ、ある場所へと案内する。
男の表情は酷く動揺しているようにも見えた。
「それで、女性の遺体を見つけたのは、
この辺りで間違いないですか?」
「はい、山の中を歩いていたら、女性が倒れていて…
良く見たら血が出ていたんです」
「なるほど、この辺りは崖が多いですし、
恐らく誤って落ちてしまったのでしょう」
女性はうつ伏せに倒れており、バッグからは中身が散乱している。
警察は荷物の中から財布の中身を確認し、
身分証から遺体の身元を判別した。
「被害者の名前は…」
場所は変わり、
零時探偵事務所には女性の依頼人がやってきていた。
女性はメガネをかけていて、服装も大人しい印象を受ける。
泣きぼくろが魅力的な女性だった。
女性に対して、探偵の助手である
三成 椎名が話しかける。
「飲み物は何にします?」
「あ、じゃあホットココアで」
「分かりました、ホットココアですね」
三成からホットココアを受け取ると、
女性は猫舌なのか、ちびちびと飲んでいた。
この事務所を立ち上げた本人である
零時 時人は、彼女に名前をたずねる。
「それでは、お名前を教えて頂けますか?」
「白浜 春瑠(しらはま はる)と申します」
「では白浜さん、今回はどのような依頼で?」
「行方不明になった姉を、探して下さい」
「行方不明になったお姉さんの捜索ですか」
「はい、姉は見た目は派手な印象がありますが、
中身はとても優しい自慢の姉なんです
それなのに、突然いなくなってしまって…」
「それでは、お姉さんの特徴などを教えて頂けますか?」
「私と姉は、双子なんです
この泣きぼくろ以外は同じ顔なので、すぐに分かると思います」
「お姉さんとは双子なんですね」
「はい、小さい頃からいつも一緒で、
喧嘩だって数えられる程度しかしていませんでした
それなのに突然いなくなって、
怖い人達も私に話しかけてくるし、もう何が何だか…」
「最後に、お姉さんの名前を教えて頂けますか?」
「白浜 春賀(しらはま はるか)です」
「分かりました、あなたのお姉さんは
俺が必ず見つけ出して見せます」
「宜しくお願いします…」
白浜が探偵事務所を出たのを確認すると、
零時は三成の方へと視線を向ける。
「よし、さっそく
白浜 春賀という女性を見なかったか聞き込みに行くぞ」
「はい!」
零時と三成は白浜のお姉さんの写真を見せて、
近くの住人に聞き込みをした。
「この女性に心当たりはありませんか?」
「この子?申し訳ないけど知らないね」
「この女性に心当たりはありませんか?」
「うーん、知らないな
こんな綺麗な女性、一度見たら忘れないと思うがね」
「なかなか情報が集まりませんね」
「仕方ない、ここは彼岸警察の力を使うか」
「そうですね、私の職場なら、
誰か知っている人がいるかもしれません」
零時達は三成が働いている彼岸警察の本部へと向かった。
彼岸警察本部には一人の警官がいた。
三成の後輩であり、種族は鬼の彼岸警察マコトである。
「あ!マコトくん!」
マコトは三成に気がつくと、いつもの無表情で対応した。
「三成先輩、お疲れ様です
今日は探偵のお仕事ですか?」
「そう、マコトくんはお仕事終わり?」
「そうですね
つい最近、山中で遺体が見つかったので、
ちょうどその処理が終わったところです」
「山中で遺体?」
「はい
ここから離れた山で、女性の遺体が見つかったんですよ
私達は事故死と判断しています」
「もし良かったらなんだけど、その女性の名前って分かる?」
「女性の名前は白浜 春賀
遺体の近くに散乱した身分証から、身元が判明しました」
「…………白浜 春賀は、既に亡くなっていた?」
「どうするんですか?零時さん
お姉さんが亡くなっているんじゃ、これ以上捜査する必要が…」
「いや、もう少しだけ調べてみよう
少し気になることがあってな」
「気になること?」
「ああ、まずは事故現場から調べよう」
太陽のない、暗闇の世界。
月明かりが空を支配するこの世界では、
夜にしか咲かぬ花が咲き乱れ、
冥府にしか生えない植物が生い茂る。
でも生活は生きた人間とあまり変わらない。
次の転生を待つ住人達の世界を舞台とした物語である。
「こっちです、刑事さん」
一人の若い男が警察を引き連れ、ある場所へと案内する。
男の表情は酷く動揺しているようにも見えた。
「それで、女性の遺体を見つけたのは、
この辺りで間違いないですか?」
「はい、山の中を歩いていたら、女性が倒れていて…
良く見たら血が出ていたんです」
「なるほど、この辺りは崖が多いですし、
恐らく誤って落ちてしまったのでしょう」
女性はうつ伏せに倒れており、バッグからは中身が散乱している。
警察は荷物の中から財布の中身を確認し、
身分証から遺体の身元を判別した。
「被害者の名前は…」
場所は変わり、
零時探偵事務所には女性の依頼人がやってきていた。
女性はメガネをかけていて、服装も大人しい印象を受ける。
泣きぼくろが魅力的な女性だった。
女性に対して、探偵の助手である
三成 椎名が話しかける。
「飲み物は何にします?」
「あ、じゃあホットココアで」
「分かりました、ホットココアですね」
三成からホットココアを受け取ると、
女性は猫舌なのか、ちびちびと飲んでいた。
この事務所を立ち上げた本人である
零時 時人は、彼女に名前をたずねる。
「それでは、お名前を教えて頂けますか?」
「白浜 春瑠(しらはま はる)と申します」
「では白浜さん、今回はどのような依頼で?」
「行方不明になった姉を、探して下さい」
「行方不明になったお姉さんの捜索ですか」
「はい、姉は見た目は派手な印象がありますが、
中身はとても優しい自慢の姉なんです
それなのに、突然いなくなってしまって…」
「それでは、お姉さんの特徴などを教えて頂けますか?」
「私と姉は、双子なんです
この泣きぼくろ以外は同じ顔なので、すぐに分かると思います」
「お姉さんとは双子なんですね」
「はい、小さい頃からいつも一緒で、
喧嘩だって数えられる程度しかしていませんでした
それなのに突然いなくなって、
怖い人達も私に話しかけてくるし、もう何が何だか…」
「最後に、お姉さんの名前を教えて頂けますか?」
「白浜 春賀(しらはま はるか)です」
「分かりました、あなたのお姉さんは
俺が必ず見つけ出して見せます」
「宜しくお願いします…」
白浜が探偵事務所を出たのを確認すると、
零時は三成の方へと視線を向ける。
「よし、さっそく
白浜 春賀という女性を見なかったか聞き込みに行くぞ」
「はい!」
零時と三成は白浜のお姉さんの写真を見せて、
近くの住人に聞き込みをした。
「この女性に心当たりはありませんか?」
「この子?申し訳ないけど知らないね」
「この女性に心当たりはありませんか?」
「うーん、知らないな
こんな綺麗な女性、一度見たら忘れないと思うがね」
「なかなか情報が集まりませんね」
「仕方ない、ここは彼岸警察の力を使うか」
「そうですね、私の職場なら、
誰か知っている人がいるかもしれません」
零時達は三成が働いている彼岸警察の本部へと向かった。
彼岸警察本部には一人の警官がいた。
三成の後輩であり、種族は鬼の彼岸警察マコトである。
「あ!マコトくん!」
マコトは三成に気がつくと、いつもの無表情で対応した。
「三成先輩、お疲れ様です
今日は探偵のお仕事ですか?」
「そう、マコトくんはお仕事終わり?」
「そうですね
つい最近、山中で遺体が見つかったので、
ちょうどその処理が終わったところです」
「山中で遺体?」
「はい
ここから離れた山で、女性の遺体が見つかったんですよ
私達は事故死と判断しています」
「もし良かったらなんだけど、その女性の名前って分かる?」
「女性の名前は白浜 春賀
遺体の近くに散乱した身分証から、身元が判明しました」
「…………白浜 春賀は、既に亡くなっていた?」
「どうするんですか?零時さん
お姉さんが亡くなっているんじゃ、これ以上捜査する必要が…」
「いや、もう少しだけ調べてみよう
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「気になること?」
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