勘とノリでやってたら、七戦士に選ばれた

札神 八鬼

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第四章 水の街アクアマリン

神買いの男

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「それじゃ、今さっき話した
作戦をまとめようか」

「まず俺が囮になって、
リヴァイアサンをひきつけて」

「その隙に僕やミシェル、王様が攻撃」

「それで、俺は後方支援に回って」

「で、俺は止めに回るのか?」

「え?そんなのあったっけ?」

「いや、止めはプロの騎士団に任せるよ
そもそもこの依頼は討伐の手助けだからね」

「それだと俺の出番がないじゃねえか!」

「いや流石に神様の手を煩わせる訳には…」

「いや是非使ってくれ
力を使っていないと腕が鈍るんでな」

「え?パシリに使って良い?」

「誰がそんなこと言ったよ」

「え?パセリですか?
俺はあれ嫌いですけど、それがどうかしました?」

「そうなんだよ
校長がパセリになりたくないってごねるんだよ
グレイ奇遇だな、俺もパセリ美味しくないから嫌いだ」

「そもそも神様って、パセリになれるんですかね?」

「知らねえけど、そのうちなるんじゃね?」

「おい、雑に悪ノリすんな」

「オルテ、神様に意地悪しないであげて」

「いや何でもするって言ったから…」

「使ってくれとは言ったが、
何でもするとは言ってねえぞ」

「ところでマーフィー」

「おい無視すんな」

「昨日話してた問題、解決したのか?」

「問題?」

「最近この街に神買いが出入りし始めてね
何かあってからじゃ遅いから、
騎士団に身辺の警備を頼んでいたんだ」

「で、その騎士団が今
リヴァイアサンの討伐に行っているわけだ」

「やけに対応が早いと思ったら、
少し前から警備をしていたからだったんですね」

「ちなみに僕もそれの対応に来たんだ」

「リヴァイアサンの?」

「ああ、違う違う
僕は神買いを探しに来たんだよ」

「じゃあ紛らわしいタイミングで
会話に入ってくんなよ」

「オルテって、いつも僕に厳しくない?」

「当然の反応だから気にしなくて良いぞ」

「僕泣いちゃうからね?」

「勝手に泣いてろ」

「酷い」

「ハワード様とオースティン先輩って、
仲良かったんじゃないんですか?」

「前に俺らが入れ替わった時あったろ?」

「そんなこともありましたね」

「その時返ってきた服が
どこかに引っかけたのか少し破れてたんだよ
直そうとしたのか雑に縫われてたけどな
俺はあの時オースティンと仲良くすることをやめた」

「あの時は本当にごめんね
ちょっと木登りしてたら枝に引っかかって…」

「待て、王族から木登りなんて
とんでもない言葉が聞こえたぞ」

「城の庭でやったら怒られるからね
あの時にしか出来ないことをやりたかったんだ」

「いや、そりゃ王様が
猿みたいに木を登り始めたら怒るだろ」

「僕もそれは同意見かな」

「でもね、行動を制限されると
普段出来ないことがやりたくな…」

「そろそろ本題に戻って良いかな?」

「ああ、さえぎって悪かった
話を続けてくれ」

「神買いって、どんな人達なんですか?」

「神買いっていうのは、
文字通り神の使いを売る人達のことだよ」

「神の使いを?人ではなくて?」

「人を買うのが人買いだけど、
身寄りのない傍観者を買うのが神買いなんだよ
どういうわけか最近傍観対象のいない
傍観者が急増していてね
それを狙って傍観者を買う人が出てきたんだよ」

「そして、そんな神買いを
捕まえに来たのが僕ってことだよ」

「いつも王護団任せのお前が、
自らに捕まえに来た…だと?」

「この問題は僕の目で直接見た方が早いと思ってね
絶対止められるって分かってたから、
使用人の皆には黙って来たんだ」

「お前…余計な面倒事持ってくるなよ…」

「余計なって…僕がいた方が心強いだろ?」

「いや、別に?」

「ちょっと僕に冷たすぎない?」

「オルテ、クッキーあるけど食べる?」

「あ、俺チョコクッキーが良い」

「クッキーってのはシンプルが良いんだよ
マーフィー、プレーンのクッキーをくれ」

「俺はチョコチップクッキーが良いです」

「私はココアクッキーで」

「マーフィーの家って
いつもお菓子常備してるよな」

「来客が多いからね
お茶うけはいつも補充されているんだよ」

「ねえ、皆僕の話聞いてる?」

「何だよ、クッキーいらねえのか?」

「いる!」









オルティス達がマーフィーの家で寛いでいる頃、
不穏な陰が動き始めていた…

「♪~♪~」

鼻歌を歌いながら道を歩く男は、
何人もの傍観者を引き連れていた。

「今日は随分と機嫌が良いな」

「ああ、今日は大量だからね
それに、今回の傍観者は高く売れそうだ」

中性的な顔をした竜人は男の傍観者だった。

「そうか、高く売れると良いな」

男の傍観者は興味が無さそうに目を逸らした。

値段が高いか低いかで男の機嫌も大分違うが、
結果がどうであったとしても、
自分に危害が加えられるわけではない。

元より他の傍観者には一切感心がないのだ。

「次も頼んだよ、ガイル」

「ああ、任せてくれ」

傍観者ガイルの役目は、傍観対象を失った傍観者を、
新たな傍観対象の人間に売ることであった。
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