32 / 49
第五章 木の街クリソプレーズ
アルビノの協力者
しおりを挟む
何回か話し合った結果、
俺は結局フローレスの家に泊まり、
グレイは宿に泊まることになった。
その時グレイは不機嫌そうにしていたが、
もう決まったことなのだから仕方がない。
「おはようグレイ、
宿ではよく眠れたか?」
「…………おはようございますオルティス様」
これは完全にへそを曲げてるな。
だって普段は名前呼びなんて
烏滸がましいとか言って、
オルティス様なんて絶対言わねえもん。
「何だよまだ根に持ってるのか?
いい加減機嫌直せよ」
「オルティス様なんて…
オルティス様なんて…」
「俺がどうした」
「今までオルティス様がやってきた
問題行為を、ロイド先輩に告げ口しますから!」
「おい、普通に呼び出しくらう嫌がらせやめろ!」
「俺は何言われても響きません!
俺ではなく、フローレスを選んだ
オルティス様なんて、ロイド先輩に怒られれば良いのです!」
「わ、分かった分かった
俺が悪かったから」
「いいえ、全く分かっていません
今まで見てきたことを話しますから!
校長先生の机に置いてある大量の書類の中に、
絵本コーナーの増設申請の書類を紛れ込ませたり、
ロイド先輩の机に虫のおもちゃ入れたことも全て話します!」
「あ、ああ、そういえば、
昔から使ってたペンのインクが無くなりそうなんだよな…
もう新しいの買ったし捨て…」
「そのペンいらないならください!」
「(よし、食いついてきた!)
でも、俺のやってきたことを
ロイドに話そうとする悪い子にはあげられないな?」
「話しません!話しませんから!
だからハワード様のペンください!」
「なら、二度と俺の悪事を
告げ口しないと誓えるか?」
「はい!神に…いえ、
ハワード様に誓って告げ口しません!」
「よし、良い子だ」
「ハワード様…これはどういうことですか?」
いつの間に後ろにいたのか、
背後からフローレスの声が聞こえた。
「羨ましいだろフローレス
俺はハワード様から神器を受け取ったんだよ」
「そんな…
私は神器を受けとる資格は無かったとでも言うの?」
「いやただのゴミだからな?」
「もうこれで分かっただろう?
ハワード様にとって、必要なのはこの俺だ
お前はハワード様のお情けで側にいれているだけだ」
「ハワード様!
他に使わなくなった神器は…」
「いや、そんな1日にいくつも
ゴミは出てこねえよ」
「そんな…」
「ふっふっふっ!良い気味だなフローレス」
「うぅ…悔しい…羨ましい…」
「お前ら何ぎゃーぎゃー騒いでるんだよ」
声が聞こえた方を見ると、
見覚えのないアルビノの男が話しかけてきた。
イーツだけが彼に反応している。
『ヴェイ…』
「知り合いなのか?」
『彼はヴェイゲルン・ギルアード
運命を変える為に創造神を殺そうとしていた獣人だよ』
「へえ、そうなのか」
“していた”ねぇ…この言い方は、
ヴェイゲルンに何か変化でもあったか。
「ハワード様、この人は誰なんですか?」
「こいつはヴェイゲルン・ギルアード
創造神を殺そうとしていた奴らしい」
「それって、敵ってことですか?」
「おいおい、勝手に敵にするな
俺はあんたらの邪魔をする気はねえよ」
「本当ですか?何か怪しいですし、
下手に関わらない方が良いのでは?」
「本当だって!
俺はあんたらの味方だよ!なっ?」
そう言いながらヴェイはにっこりと微笑む。
その笑顔を見たオルティスは何かを察した。
「いや、こいつは今のところ味方だよ
こいつの性格上、面白くないことはしないだろ」
その言葉にグレイも察したようだった。
「なるほど、そういうことですか
ならこの方を退屈させなければ問題無さそうですね」
「え?どういうことですか?
この方は敵ではないのですか?」
「“今”はな
まあ少し魔が差したとしても、
俺達にとってはさほど脅威にならないだろう」
「皆理解力があって助かる
薬草を取るんだったら人手が必要だろう?
もし良かったら俺も同行するよ」
『えぇ…山の中とかめんどくせ…』
「文句言うなガイル
どうせ寝るなら見晴らしの良い所が良いだろ?」
『…………それもありだな』
「よし、決まりだな
それじゃあ、薬草採取に行こう」
俺は結局フローレスの家に泊まり、
グレイは宿に泊まることになった。
その時グレイは不機嫌そうにしていたが、
もう決まったことなのだから仕方がない。
「おはようグレイ、
宿ではよく眠れたか?」
「…………おはようございますオルティス様」
これは完全にへそを曲げてるな。
だって普段は名前呼びなんて
烏滸がましいとか言って、
オルティス様なんて絶対言わねえもん。
「何だよまだ根に持ってるのか?
いい加減機嫌直せよ」
「オルティス様なんて…
オルティス様なんて…」
「俺がどうした」
「今までオルティス様がやってきた
問題行為を、ロイド先輩に告げ口しますから!」
「おい、普通に呼び出しくらう嫌がらせやめろ!」
「俺は何言われても響きません!
俺ではなく、フローレスを選んだ
オルティス様なんて、ロイド先輩に怒られれば良いのです!」
「わ、分かった分かった
俺が悪かったから」
「いいえ、全く分かっていません
今まで見てきたことを話しますから!
校長先生の机に置いてある大量の書類の中に、
絵本コーナーの増設申請の書類を紛れ込ませたり、
ロイド先輩の机に虫のおもちゃ入れたことも全て話します!」
「あ、ああ、そういえば、
昔から使ってたペンのインクが無くなりそうなんだよな…
もう新しいの買ったし捨て…」
「そのペンいらないならください!」
「(よし、食いついてきた!)
でも、俺のやってきたことを
ロイドに話そうとする悪い子にはあげられないな?」
「話しません!話しませんから!
だからハワード様のペンください!」
「なら、二度と俺の悪事を
告げ口しないと誓えるか?」
「はい!神に…いえ、
ハワード様に誓って告げ口しません!」
「よし、良い子だ」
「ハワード様…これはどういうことですか?」
いつの間に後ろにいたのか、
背後からフローレスの声が聞こえた。
「羨ましいだろフローレス
俺はハワード様から神器を受け取ったんだよ」
「そんな…
私は神器を受けとる資格は無かったとでも言うの?」
「いやただのゴミだからな?」
「もうこれで分かっただろう?
ハワード様にとって、必要なのはこの俺だ
お前はハワード様のお情けで側にいれているだけだ」
「ハワード様!
他に使わなくなった神器は…」
「いや、そんな1日にいくつも
ゴミは出てこねえよ」
「そんな…」
「ふっふっふっ!良い気味だなフローレス」
「うぅ…悔しい…羨ましい…」
「お前ら何ぎゃーぎゃー騒いでるんだよ」
声が聞こえた方を見ると、
見覚えのないアルビノの男が話しかけてきた。
イーツだけが彼に反応している。
『ヴェイ…』
「知り合いなのか?」
『彼はヴェイゲルン・ギルアード
運命を変える為に創造神を殺そうとしていた獣人だよ』
「へえ、そうなのか」
“していた”ねぇ…この言い方は、
ヴェイゲルンに何か変化でもあったか。
「ハワード様、この人は誰なんですか?」
「こいつはヴェイゲルン・ギルアード
創造神を殺そうとしていた奴らしい」
「それって、敵ってことですか?」
「おいおい、勝手に敵にするな
俺はあんたらの邪魔をする気はねえよ」
「本当ですか?何か怪しいですし、
下手に関わらない方が良いのでは?」
「本当だって!
俺はあんたらの味方だよ!なっ?」
そう言いながらヴェイはにっこりと微笑む。
その笑顔を見たオルティスは何かを察した。
「いや、こいつは今のところ味方だよ
こいつの性格上、面白くないことはしないだろ」
その言葉にグレイも察したようだった。
「なるほど、そういうことですか
ならこの方を退屈させなければ問題無さそうですね」
「え?どういうことですか?
この方は敵ではないのですか?」
「“今”はな
まあ少し魔が差したとしても、
俺達にとってはさほど脅威にならないだろう」
「皆理解力があって助かる
薬草を取るんだったら人手が必要だろう?
もし良かったら俺も同行するよ」
『えぇ…山の中とかめんどくせ…』
「文句言うなガイル
どうせ寝るなら見晴らしの良い所が良いだろ?」
『…………それもありだな』
「よし、決まりだな
それじゃあ、薬草採取に行こう」
0
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる