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屋敷の人達

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「まぁまぁ、警戒なさんな」
私はその言葉に唸った
今は龍の姿で由紀を囲んでいる
大勢の人は私の姿を見て何処かキラキラと目を輝かせていた
「私たちから自己紹介しましょう!」
私は大勢の人達を見る
「そうだな」
頷く各々
「まず俺から!俺は帝寺陸」
(陸…)
「私達は皆帝寺だから名前だけね!私は美香!」
(美香…)
「夜風」
(夜風…)
「風生」
「風雅」
(双子の風生と風雅)
「巴」
(巴‥)
「「「「「「宜しくね!」」」」」」
(………)
私はフイッと顔を背ける

「ガゥ」
一応反応はしといた
「俺は由紀、龍の護り手」
由紀は剣を仕舞い、私に触れる
「千歳、俺は大丈夫だから」
「…グルルッ」
よしよしと撫でられて私は嬉しそうに唸った
皆がこちらをじっと見つめる
「私も触れたいけど…嫌よね」
(………美香でしたっけ?)
私はのそりと起き上がり美香の方へ近付く
虹色の鱗が光り輝いた
「フン」
美香を包むように丸くなる
「ふ、触れて良いの?」
「ガゥ」
私の額を恐る恐る撫でる美香
私はぐるぐると喉を鳴らすと美香は嬉しそうに微笑んだ
ー由紀
「珍しい………」
俺は目を見開いて吃驚した
すると
「何が?」
と陸さんが肩を組んでくる
「千歳はあまり人を好きではないから」
俺は其の手を降ろしながらそう言うと陸さんも吃驚した
「あの時はすまなかったな」
「巴さん?でしたっけ、大丈夫ですよ」
巴さんがこちらに頭を下げている
だから俺は困ったように手を左右に振り微笑んだ
「おいおい、何話してんだ?」
風雅さんがこちらに歩いて来る
「こら、虐めてはならないよ」
風生さんがこちらに頭を少し下げて来た
「改めてよろしくね」
「千歳共々宜しくお願いします」
ペコリと頭を下げる
「きゃー!」
「「「「「「!?」」」」」」
美香が叫ぶ
そちらを見ると
美香が頬を舐められていた
「何だよ…ヒヤヒヤさせんな!」
風雅さん………その気持ちわかります
「全くだよ」
「たくヨォ‥」
「困ったやつ…」
男達はヒヤヒヤしつつも千歳の元に行く

「夜風も美香も気に入った?」
「「うん!」」
私に抱きつき微笑む二人
私はぐるぐると喉を鳴らし、二人に擦り寄る
「千歳」
「!」
由紀が両手を広げていた
私は人の姿になり由紀に抱き着く
そして
「由紀!」
とすり寄った
「熱いね~」
「僕たちとも仲良くしてくれる?」
ちらりとそちら見る
其の後、由紀を見た
「仲良くしな?大丈夫だから」
「…うん」
ほっとする息が聞こえた
私はのそりと振り返り頭を下げる
「宜しくお願いします」
それだけ言って
私は外に出る
「「「「「「「!?」」」」」」」
全員が吃驚していた
「あ、大丈夫ですよ」
由紀が言ってくれるだろう
「何故?」
「龍の姿で見回りだけするからですよ」
龍の姿になり空に飛び立つ
そしてくるりと屋敷を見て屋敷の中に入る
すると
美香と夜風が私を抱き締めた
「!?」
「帰って来てくれた」
美香が私を見る
「良かった………」
夜風も見つめる
「………ボソ」
二人に聞こえない声で呟く
「只今」
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